2011年2月15日 21時17分 更新:2月15日 23時16分
民主党は15日夜、国会内で常任幹事会を開き、強制起訴された小沢一郎元代表の処分について、役員会から発議された党員資格停止処分を倫理委員会に付託し、意見を聞く手続きに進むことを決めた。16日午後に倫理委を開き、処分方針の是非を協議する。常任幹事会では輿石東参院議員会長ら9人が反対したため、執行部側は採決に踏み切り、賛成多数で決定した。党内の亀裂が鮮明になり、今後の党運営に懸念を残す結果となった。
常任幹事会のメンバーは35人。常任幹事会は約1時間半続き、反対派からは「一番大切なのは予算を成立させることだ。党内で団結したほうが支持率はあがる」などの意見も出た。川内博史衆院議員が「処分に明確な理由がない」などと質疑を繰り返したため、土肥隆一常任幹事会議長が挙手による採決を宣言した。
この日は菅直人首相(党代表)と、羽田孜最高顧問が欠席し、岸本周平衆院議員は採決前に所用で退席。32人による採決では賛成が23人に達する一方、山岡賢次副代表ら9人が反対に回った。採決時には川内氏が「採決には反対だ」と大声で叫び、平田健二参院幹事長も「異議あり」と声を上げるなど、党内の抵抗の強さが浮き彫りになった。
菅政権は衆院で再可決が可能な3分の2以上の議席確保を目指しているが、仮に社民党や与党系無所属議員の協力が得られたとしても議席数はぎりぎりだ。小沢氏に近い川上義博参院議員は採決で反対した後、記者団に対し「党内がまとまっていないのに、なぜ予算に賛成しなければならないという波及が出る」と指摘。予算関連法案の採決時に造反が出る可能性にふれた。
これに対し、安住淳国対委員長は記者会見で「できれば全会一致が望ましかったがやむをえない」としたうえで、造反について「政権党においてそういう行動は出ない」とけん制した。
執行部は倫理委員会からの意見を待って再び臨時に常任幹事会を開き、早期に処分を正式決定したい構えだ。倫理委員会の渡部恒三委員長は記者団に「本人の弁明も聞かなければならない」と述べ、16日に開く倫理委員会で、弁明聴取のため、小沢元代表の出席を呼び掛ける方針を明らかにした。倫理委員会には小沢グループの所属議員はいない。
一方、小沢元代表を支持する中堅若手議員で作る一新会は15日、国会内で約20人が会合。「小沢元代表は2回も不起訴になっているが処分にあたって考慮されていない」などの意見が出た。会合後、一新会会長の鈴木克昌副総務相らが岡田克也幹事長に抗議文を手渡した。【野口武則】