2011年2月15日 21時8分 更新:2月15日 21時25分
【カイロ樋口直樹】ロイター通信は14日、エジプト暫定内閣を率いるシャフィク首相が近く内閣改造を行い、野党勢力のメンバーを受け入れる考えをヘイグ英外相に伝えたと報じた。旧政権から引き継がれたシャフィク内閣には国民の不信感が根強いため、野党側を取り込むことで「挙国一致内閣」をアピールする狙いがあるとみられる。
同国はムバラク政権の崩壊で反政府デモが収束する一方、待遇改善を求める公務員デモが全国的に続発するなど、依然として不安定な状況が続いている。政権崩壊を受け実権を握った軍最高評議会は、民主化プロセスの核となる改憲作業を加速させることで、国民の不満解消を図ろうとしているようだ。
軍最高評議会側の求めに応じて意見交換した若手活動家らによると、評議会は10日以内に改憲草案をまとめ、2カ月以内に国民投票にかける考えを示したという。
軍側は16日にも再び、若手活動家代表らと会談する予定。代表の中には、旧政権に拘束され「英雄」視されたインターネット検索最大手グーグル幹部、ワエル・ゴニム氏(30)も含まれている。旧政権が既成の野党勢力との対話に軸足を置いた結果、若者を中心とする民心から遊離してしまったことが、若手活動家を重視する背景にある。
一方、AP通信などによると、14日には全国各地で公共交通機関や救急車の運転手、警察官らが賃上げなどを求めてデモを展開した。旧政権の崩壊によって長年にわたって積もった不満が一気に噴き出した格好だ。
事態を重くみた軍最高評議会は14日夕、ストの中止を呼び掛ける声明を発表した。集会の禁止令には至らなかったが、祝日の15日をはさんでデモやストライキが拡大した場合、軍側が厳しい対応に出る可能性もある。