2011年2月15日 16時28分 更新:2月15日 20時14分
地下鉄、松本両サリン事件など6事件で殺人罪などに問われたオウム真理教元幹部、土谷正実被告(46)に対し、最高裁第3小法廷(那須弘平裁判長)は15日、被告側の上告を棄却する判決を言い渡した。1、2審の死刑判決が確定する。弁護側は「教祖や教団の影響から完全に脱却し、反省を深めている」と減刑を求めたが、小法廷は「公判で帰依の姿勢を貫いており、真摯(しんし)な反省の情を認めることはできない」と退けた。
一連の事件で死刑が確定するのは教団元代表、松本智津夫(麻原彰晃)死刑囚(55)らに続き11人目。裁判が続いているのは1、2審で死刑判決を受けて上告中の中川智正(48)、遠藤誠一(50)両被告だけとなる。
小法廷は、サリンやVXなど化学兵器開発の中心人物とされた土谷被告の役割について「凶悪な犯行の実現に極めて重要な役割を果たした」と述べた。
判決後、地下鉄サリン事件で霞ケ関駅助役だった夫(当時50歳)を亡くした高橋シズヱさん(63)は「いまさら謝罪といわれても逆に憤りを感じる」と語った。同事件の被害者で今も寝たきりの浅川幸子さん(47)を世話している兄一雄さん(51)は、法廷には姿を見せなかったが「死刑判決が出ても、妹の姿や私たち家族の生活は何も変わらない」と話した。
判決によると、土谷被告は93年以降、他の幹部らと共謀してサリンや猛毒のVXを製造。94~95年、松本サリン事件で11人▽地下鉄サリン事件で26人▽VXで3人を殺傷するなどした。【伊藤一郎】