2011年2月15日 11時31分 更新:2月15日 13時9分
東京都心部など関東地方の広い範囲で降った雪は、15日朝にはほぼ収まった。しかし、転倒による骨折などで140人がけがをしたほか、JRなど交通機関にも影響。受験生は早めに家を出るなどの対策を取ったが、バスや車が動かないため歩いて駅に向かう生徒もいた。建設中の東京スカイツリー(東京都墨田区)では、展望台などから落下する雪で通行人がけがをしないよう、工事関係者40~50人がほうきなどで「雪落とし」をした。
法学部の入試があった早稲田大(東京都新宿区)では、新潟市の県立高校3年、布施微沙寿(びしゃす)さん(18)は「東京では雪は降らないと思っていたので驚いた。電車が止まるかもしれないと思ったが影響はなかった」。1時間早く家を出たという埼玉県日高市の県立高校3年の女子生徒(18)は「雪道で少し滑ったので嫌な感じ」とマフラーに顔をうずめていた。早大と中央大は、雪の影響で遅れた受験生に対し、開始を30分繰り下げて試験を実施した。
県立高校の入試があった千葉県。松戸市立栗ケ沢中学3年の村松昂(こう)君(15)は、自宅近くのバス停でバスを待ったが渋滞で到着せず、親の運転する車で駅へ向かった。
しかし渋滞で車が進まず、途中で降りて歩いたという。流山市の市立中学3年、渋谷崇行君(15)は「靴底に雪解け水がしみこんでびちゃびちゃ。でも気にせず実力を出し切りたい」と笑顔を見せた。
交通機関も乱れた。JR東日本によると、常磐線の我孫子駅(千葉県我孫子市)構内で電車の屋根やパンタグラフなどの除雪作業をしたため、上下6本が運休。中央線と総武線も津田沼駅構内(千葉県習志野市)の車両基地で電車11本のパンタグラフが上がらなくなり、点検のため上下39本が運休した。武蔵野線と成田線では倒木の影響で、上下33本が運休した。
東海道新幹線は始発から徐行運転。JR東海によると、新大阪発東京行き「のぞみ202号」が品川駅に26分の遅れで到着したのを最大に、上下37本が10分以上遅れ約3万2000人に影響した。
高速道路は14日深夜から15日午前にかけ、東京外郭環状道路の全線や、常磐自動車道と東北道、関越道の一部区間が雪の影響で通行止めになった。東名高速上り線では雪の影響で15日早朝、大井松田IC(インターチェンジ)を先頭に最大89キロの渋滞が発生した。
死者やけが人も相次いだ。15日午前9時半ごろ、群馬県東吾妻町大戸の剱持香さん(58)が、除雪用トラクターの下敷きになって死亡。午前9時10分ごろには、東京都渋谷区南平台町の路上で、目黒区の主婦(31)が運転する親子3人乗りの自転車が転倒。後部座席の幼稚園の女児(5)が投げ出され、ワンボックスカーにひかれ肺挫傷の重傷を負った。
静岡県御殿場市では喫茶店経営の男性(43)が雪下ろし中に屋根から約3メートル転落し、顔を打撲する軽傷。市内では当時、約17センチの積雪があった。