2011年2月14日 21時12分 更新:2月14日 23時57分
民主党は14日の役員会で、強制起訴された小沢一郎元代表について裁判で判決が確定するまで党員資格停止とする処分案を15日の常任幹事会に提案することを了承した。常任幹事会で議論し、週内にも開く予定の倫理委員会(委員長・渡部恒三最高顧問)の意見を聞く手続きを経て処分を正式決定する。決定機関となる常任幹事会は小沢元代表と距離を置く議員が多数を占めるため、近く執行部の方針通りで決着する公算が大きい。
役員会には菅直人首相も出席。岡田克也幹事長が(1)国会議員本人が起訴された事実は重い(2)元秘書3人が逮捕・起訴された(3)衆院政治倫理審査会(政倫審)の出席に応じていない--の3点を指摘。「政治資金規正法違反など政治倫理に反し、党の品位を汚す」など「倫理規範に反する行為」に該当すると認定、処分対象とした。最も軽い党員資格停止としたのは、検察審査会による強制起訴は通常の検察当局による起訴と異なると説明した。
役員会では輿石東参院議員会長、平田健二参院幹事長、羽田雄一郎参院国対委員長の3人が「判決確定まで処分は不要」などと反対したが、首相が「幹事長の提案の方向で了としたい」と押し切った。執行部は当初「離党勧告」も視野に入れていたが、法案採決で小沢グループの離反を回避するためにも軽い処分にしたとみられる。
常任幹事会での処分決定は全会一致でなく、多数決でもできる。1月の内閣改造に伴う党役員人事を経て、首相を除く常任幹事会メンバー35人のうち、小沢元代表に近い議員は10人前後しかおらず、提案が覆される可能性は低い。岡田氏は役員会後の記者会見で「民主党が公党としての責任を果たす事案だ」と強調。首相は14日夕、官邸で記者団に「民主党としてのひとつのけじめだ」と述べ、党としての区切りとしたい考えを示した。
党員資格停止は党の指針では期間は最長6カ月だが、「裁判期間を予見できない」として例外措置とした。裁判は1審だけでも判決まで1年程度はかかるとみられている。判決結果によっては改めて処分を検討する。
党員資格が停止されると、党の役職に就けないなど制約がかかる一方、法案などの採決にあたっては党議拘束がかかるため、党方針に違反すれば「造反」とみなされ、処分対象になる可能性もある。【野口武則】