米国:大統領が予算教書提出 財政赤字、過去最大規模に

2011年2月14日 19時37分 更新:2月15日 0時26分

 【ワシントン斉藤信宏】オバマ米大統領は14日、12会計年度(11年10月~12年9月)の当初予算にあたる予算教書を議会に提出した。予算総額は3兆7300億ドル(305兆円)。大統領は予算教書の中で、11年度の財政赤字が1兆6500億ドル(約138兆円)と過去最大規模に膨らむとの見通しを示し、米国の財政状況が一段と悪化していることを明らかにした。10年末に期限切れの予定だったブッシュ前政権時代の大型減税を2年間延長したことなどに伴う税収減の影響を加味した。

 オバマ大統領は、今後10年間で財政赤字を計1兆1000億ドル(約92兆円)縮小する方針を表明。「政権1期目の終わりには赤字を半減させる」との従来方針は堅持した。

 米政権は今後10年間での赤字縮小分のうち3分の2を歳出削減で賄う計画で、1月の一般教書演説に盛り込んだ国防費を除く政策的経費の伸びを12年度から5年間凍結するとの方針を堅持し、10年間で最大4000億ドルの節約につなげたい考えだ。ただ、11~12年度には、失業保険の給付延長措置などで歳出が膨らむほか、公的医療保険や年金といった義務的支出が、高齢化の進展で今後10年、大幅に膨らむ見通しで、大統領の目算通りに歳出削減を実現できるかは不透明だ。

 米政府は、ブッシュ減税を2年間延長したものの、11年度の税収については景気回復などによる大幅な伸びは期待できないと慎重な見方を示した。ブッシュ減税については、中低所得層に限り12年末の期限をさらに延長し、年収25万ドル超の富裕層は除外する方針だが、米国内では「中低所得層の減税廃止を合わせて実現しない限り、財政赤字を大幅に削減するインパクトはない」(米エコノミスト)との指摘が大勢を占めている。

 大統領は予算教書で、国内総生産(GDP)に占める財政赤字の割合を17年までに3%をやや上回る水準に低下させるとの財政健全化目標を示したが、12年度も赤字が高止まりすると予想される中、目標達成は難しくなりそうだ。

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