2011年2月14日 11時8分 更新:2月14日 13時16分
【カイロ支局】政権の座を追われたエジプトのムバラク前大統領が、18日間続いた抗議デモの間に一族の資産を海外の口座に移していた疑いがあることが分かった。13日付の英サンデー・テレグラフ紙が報じた。デモの拡大に辞任は避けられないと判断し、最大400億ポンド(約5兆3400億円)とも言われる巨額資産の保全を図ったとみられる。
同紙によると、欧米の情報筋が「ムバラク氏はここ数週間で、(海外に)資産を移動させ始めた」と明かした。スイス政府は既にムバラク氏の資産凍結を発表しているが「ムバラク一族は資産保全のために緊急会議を開き、意向を受けたアドバイザーが既に金を動かしている。チューリヒに資産を預けていたとしても、もう(ほかの場所に)移された後だろう」と指摘した。
エジプトに先立つ反政府デモで失脚したチュニジアのベンアリ前大統領がスイスの銀行に資産を凍結されたことを受け、先手を打った可能性があるという。資金の移動先は明らかにはなっていないが、友好関係のある湾岸諸国が取りざたされている。
長期独裁に対する国民の厳しい批判を背景に、今後、ムバラク氏周辺に対する汚職や不正蓄財疑惑の追及が行われる可能性もあり、その資産の行方が注目されている。