2011年2月14日 8時58分 更新:2月14日 12時49分
内閣府が14日発表した10年10~12月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質GDP(季節調整値)が前期比0.3%減、年率換算では1.1%減と、09年7~9月期以来5四半期ぶりにマイナス成長に陥った。昨年9月のエコカー補助金終了など政策効果のはく落で個人消費が低迷したうえ、海外経済の減速で輸出も減少し、景気の「踊り場」状態を裏付けた。同時に発表した10年の年間GDPは実質で前年比3.9%増と3年ぶりのプラス成長だった。
10年10~12月期は、GDPの約6割を占める個人消費が前期比0.7%減で、2四半期ぶりのマイナス。エコカー補助金終了に加え、10月のたばこ増税前の駆け込み需要や昨年夏の猛暑の反動減が響いた。輸出も前期比0.7%減と09年1~3月期以来7四半期ぶりのマイナス。欧米など海外経済の減速と円高が影響した。
住宅投資はエコポイントやローン金利優遇などの政策効果によって3.0%増。設備投資は0.9%増と5四半期連続でプラスだったが、前期(1.5%増)に比べ伸びは鈍化した。公共投資は5.8%減と4四半期連続のマイナスだった。
また、物価の動きを反映し生活実感に近い名目GDPは、10年10~12月期が前期比0.6%減(年率換算で2.5%減)となり、2四半期ぶりのマイナス成長。10年の年間は前年比1.8%増と実質GDPの伸びを下回り、物価が持続的に下落するデフレが続いたことを示した。総合的な物価指標となるGDPデフレーターは10年10~12月期が前年同期比1.6%低下、10年は前年比2.1%低下だった。
一方、年明け以降は、輸出が回復に転じ、生産も持ち直しの動きが出ている。
与謝野馨経済財政担当相は14日の会見で、「(10年10~12月期の)マイナス成長は特殊な要因によるもの。このところは自動車の生産・販売の底打ちなど一部に持ち直しの動きがみられ、海外経済の改善や政策効果による持ち直しを期待したい」と述べた。【高橋昌紀】