八百長問題:関与事実は出ず…78人の1回目聴取、調査委

2011年2月12日 20時9分 更新:2月12日 21時28分

土俵などが全て取り除かれた両国国技館=東京都墨田区で2011年2月9日、手塚耕一郎撮影
土俵などが全て取り除かれた両国国技館=東京都墨田区で2011年2月9日、手塚耕一郎撮影

 大相撲の八百長問題で、全容解明を進める日本相撲協会の特別調査委員会(座長=伊藤滋・早稲田大特命教授)は12日、東京都内で幕内・高見盛や関ノ戸親方(元小結・岩木山)らから聞き取り調査を行い、疑惑が持たれている14人以外で調査対象となっている78人(09年九州場所~11年初場所に十両以上を務めた力士と当時力士だった親方)の1回目の聴取を終えた。調査委は、78人からの聴取で「故意による無気力相撲(八百長)に関与したと判断すべき事実は出てきていない」としている。

 この日、聴取された立川親方(元関脇・土佐ノ海)は「1時間くらい聴かれた。(調査を)徹底的にやるということなので、良かったと思います」と話した。約2時間聴取された佐ノ山親方(元大関・千代大海)は報道陣の問いかけに無言だった。

 一方、疑惑が持たれている14人の中には12日までに複数回の聴取を受け、使用している携帯電話などの任意提出に応じている者もいるという。これまでの聴取で、竹縄親方(元前頭・春日錦)、十両・千代白鵬、三段目・恵那司の3人が八百長への関与を認めているほか、十両・清瀬海が調査委から「関与していたと認定せざるをえない」と報告されている。

 放駒理事長(元大関・魁傑)はこの日、報道陣の取材に「全容解明、関与者の処分、再発防止策の3点セットだと思っている」と述べ、関与者に処分を科す前の段階から再発防止策の検討に着手する考えを示した。

 調査委は14日に東京・両国国技館で会合を開き、今後の調査方針について協議するとともに、同日までの調査結果を同夜に開かれる協会の臨時理事会に中間報告する。【大矢伸一】

 ◇解説…調査委、証拠収集し本腰

 特別調査委は、疑惑を持たれている14人だけでなく、09年九州場所以降に関取を経験した78人に対象を広げ、1度目の事情聴取を終えた。新たな八百長疑惑は浮上していないが、78人について追加調査が不要とも考えていないという。伊藤座長が5日の会見で「しつこくやる」と強調した調査である。78人を「白」と判断したというより、一応の認否を確認した段階にすぎないのだろう。

 現時点で、調査委が頼りとするのは、文部科学省経由で入手した、メール履歴が記された捜査資料と、既に関与を認めた竹縄親方、千代白鵬、恵那司の3人の供述だけだ。

 ただ、14人からは任意で携帯電話の提出を受け、データ解析に着手している。今後は、新たな証拠の収集作業を進め、聴取を継続することで矛盾点をついていくと見られる。事実、伊藤座長も調査への構え方として「警察からいただいた資料、これがスタートになる。4人の担当弁護士はそれをスタートに話題を広げる。結局は力士と弁護士の時間のかけた対話からいろんなものが生まれてくる」「まず全体像を把握する。それから弁護士特有の調査から疑問が出てくる。その分析はその後」などと話している。

 放駒理事長は本場所を無期限中止として徹底調査することを約束している。文部科学省の芦立訓・競技スポーツ課長も「野球賭博と違い、八百長は相手がいる。双方が認めなければ、処分もできない。事実認定には時間がかかるだろう」との見方だ。真相解明にメスが入るのは、まだまだこれからだ。【藤野智成】

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