CO2:北半球から南に大量流入 気象研など初めて確認

2011年2月12日 15時1分 更新:2月12日 17時3分

地球規模のCO2の動き(イメージ)
地球規模のCO2の動き(イメージ)

 北半球で発生した高濃度の二酸化炭素(CO2)が、上空を経由して南半球に大量に流れ込んでいることを、気象研究所と国立環境研究所の共同チームが初めて確かめた。その量は推定約7億トン(炭素換算)で、南半球全体の排出量を大きく上回る。北半球中心の地球温暖化対策を、地球全体で考えるべきだとしている。4月にオーストリアで開かれる欧州地球科学連合学会で発表する。【田中泰義】

 人間が排出するCO2は年間約72億トン。海や森林が約32億トンを吸収し、残る40億トンは大気中に蓄積される。

 CO2の95%は北半球が排出しているにもかかわらず、大気中の濃度測定から推定される年間蓄積量は、南北半球ともに約20億トン。北半球から南半球へCO2が流入していると推定されていたが、地上以外でのデータが乏しく、実態は謎だった。

 チームは日本航空の協力を得て、旅客機5機に、大気を機内で観測できる装置を搭載。地表-高度12キロのCO2濃度を05年から5年間測定し、豪州便など赤道を越える航路約1500便のデータを詳しく解析した。

 その結果、南半球のCO2濃度は、1~3月には北半球より低かったが、4月ごろから赤道-南緯30度の上空6~12キロで北半球並みに上昇。その傾向は9月まで続いた。

 半年間の濃度上昇率を基に試算したところ、年間約7億トンのCO2が北半球から流れ込んでいると推定された。これは南半球の蓄積量の3分の1に当たる。残りがどこから来ているかも今後調べる。チームの澤庸介・気象研究所主任研究官(大気化学)は「CO2の動きが地球規模で分かれば、効果的な温暖化対策につながるのでは」と話す。

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