原作知識リアルタイムで見てたワールドユース編まで
原作設定とは異なる点があります
例:森崎が南葛小にいる、翼と出会う時期
さらに原作キャラの模造設定あり
そしてネタです
突然ではあるが、俺こと「渡部宏太」は前世の記憶がある。
意識がはっきりとしてきたのは3歳頃だったと思う。まぁ3歳児の成長しきってない脳に26歳まで生きた知識を突っこんでも大丈夫なのか、とか心配していたけど大丈夫なようだった。
このまま天才児!となっても最初だけで、所詮中の人が俺なので高校に行く頃には一般人レベルの頭脳になってるだろうし止めた。
ではなぜ記憶が残っているのかと思い何年か掛けて色々調べてみた。
結論。魔法少女もいないし異世界へのゲートもなければ魔術師もいない普通の地球だった。まぁ若干年代が巻き戻ってるが、許容範囲でしょう。
別段「俺TUEEE」など厨二的思考もなかったので平和ならいいかなぁと思い、ダラダラと小学生生活を満喫していた。
しかし俺の今後を決める決定的な出来事が起こったのはある日の放課後だった。
「宏太! サッカーしに行こうぜ!」
「えー……めんどくさいなぁ。俺サッカーより野球派なんだよね」
今話しかけてきた人類の進化を否定し、ホモサピエンスからクロマニョン人まで戻ってやるぜ! と言いたいかのような猿顔の名前は石崎。周りの友人からは「サル」とか影で言われている。
俺も心の中では思っているが、コイツはこんな顔して結構ナイーブなので声に出しては言わない。俺は大人なのである。
そんな大人な態度をとっていたせいか石崎に気に入られ、俺のことを「とても仲のいい友人」だと公言している。
「なに言ってんだよ! 男ならサッカーだろ!」
意味のわからない理屈だが、周りのモブキャラたちも「うんうん」と頷いている。
俺の家族は去年静岡のこの町に引っ越してきた。静岡と言えばキングカ○さん家のもんじゃ、黒はんぺん、お茶、そしてサッカーである。
思った通りサッカーが盛んで都心から微妙に離れているためか土地が比較的安く、学校の校庭も広いし公園に作られた野良サッカー場みたいな場所も多い。
ここら辺ではサッカーとはガキンチョどものステータスなのである。
この町で「サッカーより野球が好き」と公言しようものなら、阪神ファンの巣窟にブチ込まれた巨人ファンの心情を味わえるだろう。俺も最初喧嘩になったし。
「わかったわかった。で、どこでやるんだ?」
俺は空気が読める男なのでしぶしぶ了承する。何度も言うが俺は大人なのである。というか俺、サッカー部に入った記憶はないんだが……。
「校庭は3、4年たちが使ってるから近くのサッカー場だな。 あそこなら今日は空いてるはずだぜ」
「はいよ。じゃあ家に帰ってから準備して行くわ」
「よーし! じゃあお前等もランドセル置いたらすぐに来いよな! 一番遅かったやつはキーパーだからな!」
「うえぇー」と声が上がり、我先にと走って教室を出て行くガキンチョども。
いつの時代もこの年代の子供にとってキーパーはハズレポジションである。人気ポジションはフォワードだ。
「フッ、わかってないな」
閑散となった教室で呟いた。そう、奴等はわかっていない。シジ○ールを舐めてかかった読売ヴェ○ディくらいわかってない。
キーパーとはおいしいポジションなのである。なんといっても走らないで済むからね!
まぁ俺が一番舐めている。
「やっと来たか宏太。おせーぞ!」
「悪い悪い、ちょっと親の手伝いをしててな。俺が最後か?」
「いや、まだ森崎のやつがきてないからな」
森崎か。あいつかなりの大家族で弟や妹が4人もいるんだよなぁ。なので必然的に親の変わりに兄弟のめんどうを見ないといけないし大変である。
忙しいらしくいつも遅れて来るため、キーパーを押し付けられているのだ。彼はこの歳のガキンチョにしては心やさしい穏やかな好人物なので、本人もフォワードなどがやりたいだろうが文句も言えずキーパーになるしかない。
まぁ流石に毎回ではないが、たまにキーパーを変わってあげてるため、森崎からもかなり好かれているようだ。俺にとっても森崎はガキンチョの中でもまともな人物なので彼とは大分友好的である。
そんな感じで合流した森崎を加えてワイワイサッカーをしていた俺たちであったが、そこに乱入者が現れた。
「今日からここは修哲小の二軍が使わせてもらうぜ!」
市営の公園なのにそれはどうなのよ、とか色々ツッコみたかったが一時棚に上げて叫んでたやつらを見てみると、多分俺等と同じ6年くらいのやつらが20人くらいいた。
「なに言ってやがる! このグラウンドは俺たち南葛小が使ってるんだから俺たちの物だぞ!」
お前もなに言ってやがる石崎。市営つってんだろうが。
「フン、うちの修哲小は全国優勝をしてる超有名校だから部員が多いんだ。グラウンドが足りないから今日から使わせてもらうぜ」
なんというジャイアニズム。
俺がこの場合の連絡先は学校の職員室か、市役所のスポーツ課か、すぐやる課……は違う町だった。を悩んでいると乱入してきたやつらの後ろから上が真っ赤で下が真っ黒というハデな格好をしたガキンチョが前に出てきた。
帽子にでっかくadi○asとかはずかしすぎるだろ……。アジデスではないのは僥倖である。
「じゃあサッカーでケリをつけるっていうのはどうだ?」
「後から来て何言ってんだよ! 俺たちが先に使ってたんだぞ!」
「ほう、負けるのが怖いのか?」
「なんだと!? いいじゃねーか! 受けてやるぜ!」
とまぁ石崎が典型的な煽りに怒って勝手に受けてしまったので試合をして負けた方がグラウンドを譲るというような感じになるようだ。
しかしあのハデ好きなんか見たことあるなぁ。どっかで会ったっけ?
「フフフ、あいつらもかわいそうにな。若林キャプテンがキーパーなのに勝てるはずないだろう」
ニヤニヤしながら小声で話すモブの会話に引っかかるものがあった。
若林……? キーパー、派手な服、万年怪我キャラ、太いマユゲ……まさかっ!!
「SGGK! SGGKじゃないか!」
「……は?」
「あんた、いえ貴方は若林源三さんですよね?」
「た、確かに俺は若林源三だが……」
「うひょー! SGGK! SGGK!」
突如大声を上げ、ニコニコ顔で握手を求める俺にわけがわからないながらも握手に応じてくれる若林ことSGGKはきっと根はいい人なんだろう。
「おい宏太! なに敵と仲良くしてんだよ!」
いやこれはしょうがないね。だってSGGKだし。お前等も知ってたら絶対握手くらいするだろ。
「なにわけのわかんないこと呟いてんだよ! いいから離れろ!」
石崎に間に入られて無理やり離されてしまった。なんてことをするんだこいつ。
しかしこの世界はキャプテン翼だったのか。全く気付かなかったぜ。というか今まで石崎や森崎が居たのに関連付けられなかったのが不思議だ。
物語の重要なキープレイヤーに会うと思い出すようになってたのか? アレ、とすると石崎とか森崎はどうでもいいキャラに……。
まぁいいや。毎回死亡フラグが建つような剣や魔法の世界じゃなくてよかったぜ。
「――ッ!!」
その時、一瞬頭に過ぎったことがあった。
”このままだと将来は16頭身になるのではないか……”
背中に冷たい汗が流れる。
流石にアレは誇張表現だよね? 親も普通だし大丈夫だよな。いや、頼むぜマジで……。アレは小顔とかいうレベルじゃないからな。
「ま、まぁいい。来週の放課後ウチと南葛小でグラウンドを賭けて勝負だ。勝った方が今後このグラウンドを使う。文句はないな?」
「おもしれーじゃんか。そっちこそ負けてから文句言うなよ」
「フフフ、威勢がいいな。それまで必死に練習しておくんだな。まぁ無駄だろうけどな。おい! 行くぞ」
頭身について考えている間にSGGKとモブたちはジャンプ的な展開を伴って帰ってしまった。あぁ……サインもらおうと思ったのに。
今なら誰ももらってないからサイン第一号として十年後くらいにはヤ○ーオークションで超プレミアが付く価格になってるハズだ。
来週また会えるっぽいしその時でいいか。
「ただいまー」
家に帰って風呂場を目指す。汗かいたまま夕飯食べるのは嫌だしね。
子供って小さいから足伸ばせるのがいいなぁ。ヒゲも剃らなくていいし。皮は被ってるけどな!
しかし翼っていつ転校してくるんだっけ? 全然覚えてないんだが。岬も来るんだったよね?
来月くらいにある修哲小と南葛小のスポーツ対抗大会で戦うのは覚えてるんだよなぁ。
うーん、参った。どうするか……。
「宏太ー? 夕飯できてるから早く出ちゃいなさーい」
「はいよー」
とりあえず飯だ。
「そういえば今日お隣に引越して来た方があいさつに来たのよ」
「へぇ隣入ったんだ。なんて人?」
……嫌な予感しかしない。なんとなく読めるんだけど一応聞いておく。
「大空さんって言うのよ。宏太と同じ学年の子供もいたわ。早ければ明後日にも南葛小学校へ編入するんですって。とってもいい子そうよ」
うん。だと思ったよ。大空なんて苗字あんまいないし確定だな。
まぁ隣なのはいいけど、となるとあのロベルトとかいう若干浮浪者に見えなくもない人も来るのか。治安大丈夫だろうな。
ちなみに夕飯はJリーグカレーだった。ラ○ス化はしていない。