2011年2月11日 1時26分 更新:2月11日 1時31分
【カイロ樋口直樹】ムバラク大統領(82)の即時退陣を求めて、全土でストライキやデモが続いているエジプトで10日、シャフィク首相がムバラク大統領が辞任する可能性があると、英BBCに明らかにした。また、米CNNは、ムバラク氏が軍最高司令官の職務を軍部に移譲する可能性を伝えた。大規模デモの圧力を受けムバラク氏が今年9月に予定される任期満了を待たずに辞任すべきだとする意見が政権内で高まっているようだ。ただ、辞任を否定する報道もあり、予断は許されない。
シャフィク首相はBBCで、ムバラク氏の任期途中での辞任が検討されていることを明らかにした。また与党幹部もBBCに同様に辞任の可能性を示唆しているという。ロイター通信は同日、政府高官が辞任の可能性に言及したと伝えた。
報道によると、軍の幹部は同日、デモの中心地であるカイロのタハリール広場で、「人々の要求は満たされる」とムバラク氏辞任を示唆するような発言をした。
ムバラク大統領は同日に国民向けに演説するとの情報もある。
政権には、全土で続くデモに加え、スエズ運河を運営する企業など主要産業でストライキが起こり、国民の反発が頂点に達したとの判断があるようだ。
軍のスポークスマンは同日に声明を発表、幹部が現在の状況を協議していることを明らかにし、引き続き、中立的に治安の維持にあたる意思を明確にした。ムバラク氏の進退には触れなかった。
ムバラク氏は今月1日、国営テレビで演説し、次期大統領選に出馬しない考えを明らかにしていた。スレイマン副大統領が野党勢力との協議を開始し、憲法改正など野党側の要求を協議している。
ただ、全国各地で続く大規模な反政府デモや、最大の同盟国・米国からの一層の民主化要求圧力などを受け、81年以来約30年間続くムバラク政権は最大の窮地に立たされている。