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[推薦数:2] 2010/09/26 良い [編集・削除/削除・改善提案/(誰でも可)] by JR (私書を送る/表示スキップ) 評価履歴[良い:31(91%) 普通:1(3%) 悪い:2(6%)] / プロバイダ: 47087 ホスト:46937 ブラウザ: 4541 Houkago Tea Time Protocol 略して…いや、何でもない。 なかなかよくできたアニメだったと思います。良くも悪くも色々語りどころが多い。 こういう作品が良くも悪くもいろんな人から反応を受けるのは、 多分私たちのいろんな「価値観」にずかずか踏み込んでくるからじゃないでしょうか。 乱雑ですがいくつか視点を述べていきます。 ・女の子らしい可愛さ、女の子らしい価値観にあふれた、女性視点の物語 作品内でたくさんの女性的な可愛さや価値観や考え方が随所に反映されています。 私服、EDや版権イラストで見せる刺青・シールやアクセサリー類、いろんな種類のケーキとお菓子に囲まれた団欒、といった具体的な物であったり、 出来る限り誰かと時間を共にしようとして集団行動を取り、かき氷を選ぶにしてもきちんとみんなで何を食べるか言い合って、協調をとにかく優先して 細かいことはキニシナイ。何でもない会話が延々と続くグダグダな時間の過ごし方。「かわいい」をキーにして、「女の子らしさ」をとことん抱きしめて楽しむ 徹底した明るさと華やかさを存分に魅せつけてくれます。部室のガラス貼るシールとか、使う食器一つ一つのデザインとか、いちいち細かいですよね。 そういった「かわいい」の視点がとても女性的でした。男性を意識したアニメが多い中で、これだけ女性視点を意識したことはこれが深夜アニメって点で 見てもかなり特色のある部分だと思います。 ・「とにかく楽しく!」「青春謳歌!」「私たちが一番!」「私たちは永遠!」という価値観と安心感 このへんのテーマはもう言わずもがなだと思いますが、けいおん部の中に流れる価値観ってこんな感じのとてつもなくでっかくて確固たるものですよね。 彼女たちの行動や発言、物語の展開からそんな価値観を感じます。彼女たちって妙に自信があって、自分たちの在り方に疑問を殆ど持ってないようですし。 ただ、梓だけが違う。彼女は時々不安な様子を視聴者に見せていました。彼女は比較的視聴者に近い存在で、自分の立ち位置に不安を感じる現代の人々の 代弁者のようにも見えます。5人の結束を確認するのも彼女の視点からが多かったように思いますし。不安をかき消す、安心のおける存在が「けいおん部」 みたいな感じでした。作中でも頻繁に、特に後半から梓視点の話が目立ちましたが、梓のような子が視聴者にとって一番感情移入しやすいのではないでしょうか。 そこに「けいおん!!」のミソがあるように思います。 ・一方で閉鎖的なコミュニティ まぁそれはそれで楽しいんですけど、自分はそのあたりに同時に閉鎖性を見た気がします。 第一話で、唯の言葉を聞いて梓がやっぱり今年も一年間先輩たちとやりたいといった時、彼女が考えていたことは、例えば、このメンバーじゃないと駄目だって言う 連帯意識・仲間意識や、もしからしたら、新しいメンバーが入ってきてこの仲良しグループ、仲良しクラブに変化が生じてしまうことへの「不安」などでは無いでしょうか。 梓は後輩を抱えることの不安や大変さをなんとなく感じたのではないかとも思えてしまいますが、どう考えていたにせよ、とにかくあのシーンに、 この「けいおん部」のちょっとした脆弱さを見た気がします。 第二期では堂々の新キャラとかって展開をせずあの5人による幸せな環境はずっと続くよという「安心感」を視聴者に与えましたが、その理由付けを 梓の(なんとなく閉鎖的な)仲間意識に与えたところに、安定志向のあのメンバーと、そして視聴者の期待(を汲み取った製作陣の意図)を見ることが出来るように思います。 今って変化が激しくて先が見えないので、個人がどこかで「変化と孤独を避ける心理」を抱えているってのはよく言われるんですけど、それがそのまんま 反映されているように思います。 ・各キャラクターの描き方の、無理のなさ 上に述べたようにとにかく彼女たちは協調性がハンパなく高い。視聴者の8〜9割は彼女たちの日常を「理想」だと述べるだろうけど、 それは彼女たちの自己主張と譲歩のバランスがすごく適切で、それを自然に出来ていて、そのことをいちいち意識することもない。 マイペースさと気遣いが気持よく共存していて、そういう彼女たちの連携の完璧さがちょっと高度すぎて「理想」だって思うんですよね。 (まぁ、唯がちょっと頭二つほど抜けている感じだけど。) 普通なかなかない関係で、やっぱり幾らかの人は「現実はそうはうまくいかないよ」ってのを意識せざるをえないと思うのですが、 しかしそれでも彼女たちがまとまっている理由が無理なく理解できてしまうのは、キャラの性格の設定と言動の描き方がとことんうまい証拠でしょう。 これだけ「何でもないコミュニケーション」が盛り沢山であるのに、「なんでそこでそういう発言が出てきて行動が取れるのか」に違和感を感じることがほぼありません。 「人間を描く」ってのはこうやるんだっていう手本を見ているかのようです。それは主人公たちだけでなく周囲の人物も同様。人間って何気ない仕草に その性格が出てくるんですよね。 ・日常生活はドラマ 高校生時代は人生で一番楽しい時期だって言う人って結構居ると思うんですけど、今実際に高校生な人も、またかつて高校生だった人も、 「修学旅行で夜更かし」「夜に友達と二人でしんみり話し合い」みたいな、青春時代にしか出来ないむずがゆい経験を思い起こして 楽しかった思い出に浸れるのがこのアニメの魅力といえるでしょう。でも注目すべき点はそういう大きな物語だけじゃなくて、 細かい一つ一つの発言や行動にも出ているんです。修学旅行の班メンバーで唯を気遣って代わってあげた和の行動や、 (はがきじゃなくて)携帯の暑中見舞いの文章にいちいち悩む梓の姿とか、教室内での手紙回しとか、そういう何でもないさりげない行動一つ一つが 「あるあるw」っていう人間関係の間で生まれる気遣いやイベントであって、それって友達がいるからこそできることなんですよね。 「何も無い日常を描いているのに…」っていうのは違うんです。「日常ってイベントの連続」なのであって、そのことを想起させるからこのアニメって楽しいんです。 ・現代的、現実で女性が使う「萌え」をアニメで表現した 「萌え」ばっかとかって批判が多いんですけど、そもそもこの作品における「萌え」は多分批判者の想定するそれと意味をやや異にしていると思います。 「萌え」という言葉の起源はさておき、02〜03年ごろ、某巨大掲示板がメジャーになり始めてからネットのいろんなところでこの言葉が使われるようになったのですが、 その頃は「美少女系ゲーム」あるいはそれに類する二次元の女の子それ自身を指して使う言葉になっていて、「萌え」の名詞化と目的化が起きていました。 「〜ちゃんは萌え〜」という述語から「萌えキャラ」なる名詞へという具合に。 この頃は「萌え」という言葉の意味を巡って「要するに性的に興奮したって意味だろ」って批判と「純粋にかわいいものに使う言葉だ」っていう擁護論みたいに、 ちょっと不毛な論争があったりしたのですが、少なくともそれはまだネット上の一部の人が使う二次元の女の子やその性格それ自体に対して使われる言葉でした。 一部の「変な人達の使う内輪の言葉」って状態だったんですよね。 電車男以降、一般人にもそのへんのネットの言葉が知られるようになってから堂々とした言葉になったのですが、その頃から女性が同性のかわいい仕草や言動、 性格に対して「それ萌えやねー」みたいに使うのを見る機会が増えました(あくまで個人的体験談ですけども)。 けいおんの表現する「萌え」ってそういう、後者のカワイイに類する感情感覚を指したずいぶん現代的なニュアンスになるのではないでしょうか。 今時の深夜アニメって「エロ」がとにかくその売りになっているのですが、その中で性的なニュアンスを一切出さないで「萌え」を表現したことは逆に凄いことだと思います。 「現実」「現在」から率直な「かわいい」が形成されています。 ・時間 今、高校生の人にとって「けいおん!!」は今現在であるし、また卒業を含む部分は「未来」になる。 一方、大学生・社会人その他の人にとっては「けいおん!!」は懐かしい「過去」でノスタルジーの対象となる。 見る人の年齢によって作品の楽しみ方が異なり、それを所与とした作り方がされています。 「けいおん!!」はとことん「時間」を私たちに意識させてくれます。時間の使い方、時間の流れ方、時間が流れて変わること・変わらないこと。 物事の移り変わりの中に変わるものと変わらないものを見つけることが出来て、それって現実に自分たちが時々やっていることで、 それがまんまこのアニメの中で経験できる。彼女らの高校生活の使い方はとても贅沢で、ゆったりした時間の流れをもっている。 そのゆったりした時間は、そのまま視聴者の「けいおん!!」を鑑賞する時間の流れを形作る。これをテレビの前で視聴している間、 その人にゆったりまったりした時間を提供してくれる。視聴者の時間と空気を創りだすのがこの作品です。24話でほぼ強制ノスタルジー。 未来も過去も描いていないのに、それなのにコレほどにまで「時間」をはっきり意識させるアニメがテレビシリーズで見れるとは思いませんでした。 ・13話 梓が夢と現実の狭間を行き来しながら幸福な「今」を噛み締める物語。この話は夢オチを連発するけど、白昼夢という夏の不思議な体験それ自体を ドラマとして扱っています。夢の内容自体が楽しい夏休みのちょっとおかしな一幕であり、夢から覚めることによって確認するのもまた楽しい日常の存続。 ここに、本来架空であるアニメの中に、現実が存在することの安心感を(梓と共に)視聴者も共有できる接点が出来ています。 こういうのが、この作品の世界に視聴者を引きずり込むからくりの一つなんじゃないでしょうかね。まあそれは置いといても、この話は「けいおん!!」らしからぬ 独特の物語で面白かったです。けいおんって基本的に回想シーンみたいに時間を飛ぶカットって入れないですからね。 ・進学に対する考え方 なんか最近新聞でよく「トイレ飯」って話を聞くようになり、「大学で友人ができずに学習意欲をなくして退学する」って人が増えているとかいうニュースも見る中では、 4人が同じ大学に行くという結末は案外ラディカルな意見に見えてこれもまたすごく時代を反映したそれなりに意味のある考え方だと思います。 彼女たちのように(とりわけ唯)勉学には大して意欲があるわけではなく、とりあえず大学へ行けば何とかなるさって言うアバウトな決め方なら どんな大学行ったってその人の生き方には大差ないだろうし、本作のテーマの一つ、私たちは永遠だっていう価値観に沿うならあの結末はむしろ立派なものだと思います。 今ある人間関係をもっとも重視することは、将来に何か明確な希望・目標があるわけでない人には、むしろ魅力的な選択肢でしょう。 そういう価値観と人生観を堂々と肯定して見せることは、ある意味では有意な判断です。進路はもっと将来に対して真剣に考えるべきだというのは最もな意見であるけども、 人間関係を重視する選択を、きちんと説得力を以て肯定しようとするところがなかなか大胆で侮れないところです。「自律して一人で行動できなければならない」 っていう考えって、実際の所近代に輸入された西欧的な価値観で考え方のひとつに過ぎないし、別に友達と繋がりを保ち続けて社会人になっても楽しく生活できたら むしろ万々歳でしょう。(それにアレだけ明るい性格ならなんとなくで就職できそうだし…。) ・二面性 「けいおん!!」が持つテーマって、一方は現代的で時代的テーマ、「かわいい」「萌え」「楽しければそれでいい」という、今を反映したテーマで、 もう一方はもうちょっと普遍的なもの、「友情」「卒業」「思い出」などで、年齢とか生きた時代とか越えて、人が共感できるものでした。 「けいおん!!」は「現代」を反映しただけに過ぎないと考えるのは過小評価だし、でも誰にでも楽しめるはずって言い切るのも一面的です。 時代を反映した多様な価値観・テーマを、学校生活という誰でも経験する普遍的な物語の中に折り重ねて作られたとても多面的な作品がこの「けいおん!!」です。 そして何よりも、その多様な価値観とテーマの一つ一つ視聴者にはっきりと意識できるほどに明確に描かれていた。「いろんなものが伝わってくる」のが凄いんです。 一見してテーマが明確に見えて、このサイトの多くの論客さんがそれなりにいろんな視点を持ち出しているのも、そういう事の現れではないでしょうか。 作中の価値観に賛同するかどうかは別としても、「やるなぁ」と思わせるずるい作り方をしたと思います。 ・評価の地平 実際のところこの作品を高く評価する理由は十分あると思います。でもその評価の地平って、例えばガンダムSEEDやコードギアス、涼宮ハルヒシリーズと同じ地平で、 (いわゆる硬派)アニメ映画作品とかの評価の地平とは明らかに異なります。まぁつまりこの時代だからこそ評価されるものであるかそうでないか、という感じで。 これって実際、評価するとしても難しいですよね。所詮イマドキの作品に過ぎないって評価しても、むしろ時代をよくつかんで成功させたことを高く評価しても どっちも説得力があって…。ただやっぱり「とても良い」って言い難いのが、率直な感想ですね。 いずれにしても作品を評価することに対してものすごく挑戦的なアニメでなかなか凄いものに仕上がったということは言えると思います。 ・唯絶対主義 最後にちょっと気になったところ。みんなそれぞれの個性が存分に発揮された素晴らしいコミュニティーで、まとまりの良さってのがすごく気持ちいいんですが、 さすがに唯がちょっと持ち上げられすぎってか、彼女に関する部分だけなんか「いやいくらなんでもありえんだろう」って思うことが多い。小学生か…。 けいおんが「リアリティ無い」って批判はひとえに彼女に帰するのではないでしょうか。でもここが「けいおん!!」のアイデンティティーだろうし…。 これが良くも悪くもあるポイントでしょうか。 自分も正直言って一期見たときは中途半端で面白いとは思わなかったのですが、二期は色々吹っ切れたような軽快な感じがしました。 作画の良さも言うまでもないし。ダイレクトに肯定はしづらいんですが、そこそこ良い評価がされることには十分納得行きます。 ただ最初に書いたように、キャラのたった一つの言動すらもある人には納得が行くもので、別の人にはおかしいと思えるもので… そんな具合に、人の価値観に真っ向勝負してくるあたりが「凄いけどいい作品だとは率直に言い難い」みたいなもどかしさを生む作品ですね。 実は平成のガンダムシリーズみたいな性格をした作品だと思います。
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