現在は、時代サイクルを考えれば、1941年、つまり太平洋戦争が始まった年に似ている。1日にして、戦時下に入ったと思ったらいい。
こうした危機下においては、戦争を体験した高齢者だけが、何が人間としてふさわしい行動かということを十分に知っている。
しかし、われわれは彼らに学ぶことをせず、耳を傾けなかった。
そんな平和ボケのなかで、自分の利益だけを考えて生きることが賢いという世の中で生きてきた日本人が、こうした緊急時に的確な判断をできるはずがない。一部の人が食糧を買い占めに走るなど、ある種のパニック状況が起きたが、そのときに最も困る人は誰なのかを考えて行動できるかどうかは、あまりにも難しすぎる。
それにもかかわらず、社会が安定化の兆しを見せているのは、30~40代のソーシャルメディアスキルの高さではないかと私は感じている。
勝間和代さんがいち早くブログで、「お互いの批判をするのではなく、情報については、ソースはどこか身元確認や事実確認をして自分自身で判断せよ」といった旨の発言をしていた。
この発言から考えるに、もしソーシャルメディアがパニックボタンを押さず、理知的な判断ができているとすれば、勝間さん的なビジネスリテラシーや判断能力を自身に根づかせている30~40代の方が合理的な判断を危機の間でもできるようになっているからではないだろうか。
今後のソーシャルメディアは、そうしたスキルをベースにいままでの序章から本格的な第二幕に進んでいくだろう。
人と人を結ぶ“呼びかけの作法”
「70年前の動乱期」の本だからこそ役立つ
――このたび神田さんが監訳された『伝説のコピーライティング実践バイブル』が出版されましたが、70年前に書かれたこの本をあえていま出版することの意義をどうお考えでしょうか。