政府で東京電力福島第1原発事故対応の実務を担う細野豪志首相補佐官(39)は3日、放射性物質の外部への放出、漏えいを止めるには少なくとも数カ月を要するとの認識を示した。
原子炉の冷却、安定化はさらに「その先」になると指摘。収束に向け、具体的な作業工程や達成目標の詰めを急ぎ、早期に国民に説明する方針も表明した。政府当局者が放出阻止に数カ月かかるとの見解を初めて示したことで、住民避難の長期化は必至の情勢となった。
細野氏はフジテレビ番組などで「これ以上、(放射性物質を)外部に放出し、国民に不安を与えることは許されない」と強調。ただ収束の時期的な見通しに関しては「(放出阻止は)数カ月後がひとつの目標になる。その先には、原子炉を冷却する仕組みを完全に作って安定させる目標がある」と述べた。
放出阻止の時期的な目標は、大気中、水中、土壌のそれぞれに設定すると説明。作業工程をめぐっては「目指すべき方向性を打ち出した上で、(国民に)説明する時期がきている。目標までにやるという決意を政府、東電も持たないといけない」とした。
原発の現状については「危機的な状況は脱していないが、若干の落ち着きは取り戻している」と説明し、農作物の被害補償に早急に取り組む考えも示した。
枝野幸男官房長官(46)は記者会見で、細野氏の見解について「(作業が)一番オーソドックスに進んでいけば、そういうことかなと理解している」と同調しつつ、「予断を許さない状況だ」とも繰り返した。
菅直人首相(64)は1日の会見で「長期戦を覚悟」とする一方、「(収束の)時期的なめどは、いまの時点で明確に言うことはできない」と述べるにとどめていた。
(紙面から)