2011-03-29
危険デマも安全デマもどちらも有害―ジャーナリストの役割は正しい情報の提供
今心の底から怒ってます。
よく怒る瞬間湯沸し機のような私ですが、もう色んなものに怒りすぎて精神のバランスが保てません。感情が抑えられず、目眩がします。東電の作業管理のダメさ加減や、農水省や厚労省の情報の出し方にもそれなりに怒っていますが、マスコミへの怒りが止まりません。
特にジャーナリストを名乗るのやめろ、といいたいのがデマ拡声器の上杉隆。ヘラヘラした態度と、はしゃぎっぷり、情報の正確性に全く配慮せず、自分を擁護するコメントや批判するコメントをRTして”おれバランスとれてるでしょ?”みたいな態度。すべてがカンに障る。どうやら彼やその信者の論理によると、デマをデマと見抜く必要性を提示しているつもりらしい。真性のバカじゃないか。twitterばっかりやってる暇人だけだよ、いちいちそんなことを考えてられるのは。多くのひとは、忙しく、受動的に報道を受け取り、その権威性に信頼をおいている。それはリテラシー云々以前の社会的分業に過ぎない。職業人たるジャーナリストは速報性と正確性の両方を求められるのは間違いないが、上杉隆などが垂れ流している、プルトニウム検出器*1なるものがこの世に存在しないことは理系の大学教育を受けた人ならわかると思うし、文系教育を受けた人でも1分をGoogle先生に使うだけで微量プルトニウムの検出法がいかにめんどくさいかはわかる類のもので、こんな事をやらない人間はジャーナリストなどと名乗らせてはいけない。そもそも半減期が2万年以上あるプルトニウムは、ここ100年以内の大気圏内核実験によって、地球上にばらまかれている。これも基本的な放射性物質の理解がある人に聞くなり、Google先生の中から選択する能力があれば、わかることだ。こういう作業を個々の受け手がやることを求める社会の生産性の低さは想像するだけでおそろしい。そういう能力はジャーナリストの職能だ。記者クラブがどうとかいっているが、最低限のレベルを満たせていないフリージャーナリストを排除したくなる気持ちは今ならとてもよくわかる。記者クラブがそれを満たした組織だとも思わないが。
今朝までは上杉隆のようなセンセーショナリストへの怒りは上記の程度だったわけだが、福島県の農家の方が自殺された、と聞いてもう爆発しそうになった。風評被害の責任ガー、とか二度とその口でいうんじゃねぇぞ、人間のクズども。
茨城、千葉、福島の平野地帯は首都圏の野菜の最も重要な供給地です。この地域の食品を全て拒否した生活というのはなりたちません。消費者が過剰反応する気持ちはわかりますが、正確なリスクを把握する必要があります。このまま原発からの大きな放射性物質の放出がなければ、大きなリスクはないと思います。このあたり、放射性物質の計測が、放射線量の測定に比べて簡便ではないため、定量的な議論をするための一次データがまだ足りないので、詳しくは述べられないのが残念ですが、農家の人たちには絶望はしてほしくない。セシウムに関していえば、植物が吸収するセシウムの量は当然ですが土壌の汚染レベルより遥かに低く、根にたまりやすいので、可食部においては相当低くなるものも多いでしょう。根菜類に関しても、そもそも植物が吸収する量が微量なので、問題ないレベルになると思います。植物の中にはセシウムを吸収しやすい種もありますので、注意が必要ですが、逆にいうと、土壌がきれいになるスピードが早くなる、ということです。こういう植物を利用したファイトレメディエーション、という技術もあります。すぐ、というわけにはいかないでしょうが、プレスリリースも農水省から出てくるでしょう。放射性物質の長期的影響は半減期だけに左右されるものではなく、人間が摂取する量のコントロールは可能です。本当に微力ですが、私も実害と風評被害を区別するために、知り得る情報をこんな零細ブログにではありますが、今後とも出していきたいと思いますし、風評被害に心を痛めている人も多いはずです。がんばりましょう。
東京などの人たちにも、地震と津波で大きな生活へのダメージを受けた人たちにさらに鞭打つような行為に手を貸さないよう、バカなジャーナリスト気取りが出してくるようなツイートなどをRTする前にほんの少しでいいから考えましょう。本当に重要な情報はあなたがRTしなくてもちゃんと広がります。
追記:id:sekizukaさんに、土壌肥料学会が出した現在の知見に関する情報をおしえて頂きました。
http://jssspn.jp/info/secretariat/post-15.html
土壌に付着後、可吸態のセシウムは時間経過とともに急激に経るようです。
イネの場合、白米部の存在で吸収した分の7%とかなり低くなるようですが、ワラ部も飼料などに使用する場合は注意が必要とのことです。