寒波:北欧バレンツ海の高気圧が影響? 冬将軍の予測も

2011年2月10日 9時5分 更新:2月10日 11時42分

バレンツ海の位置
バレンツ海の位置

 北欧スカンディナビア半島沖のバレンツ海に高気圧が現れると、7~10日後に強い寒波が日本に到来しやすいことが、海洋研究開発機構の堀正岳研究員(気候学)の分析で分かった。現状の的中確率は5割程度だが、今後データを蓄積することで、冬将軍到来の予測精度が高まるという。日本気象学会の電子英文誌SOLAで10日発表する。

 昨冬に日本に到来した10回の寒波を対象に、北半球全体の気圧配置を分析した。その結果、日本から約7000キロ離れたバレンツ海に高気圧が現れると、北極圏の寒気が高気圧の東側を通って西シベリア上空に蓄積。ジェット気流(強い偏西風)が蛇行し、たまった寒気を一気に日本へ運び出すことを突き止めた。鳥取、福井など今冬の日本海側の記録的な大雪も同じ仕組みで起きていた。

 また、地球温暖化でバレンツ海の水温が上昇し、高気圧の出現が増えると、日本では逆に寒波が増える可能性も浮かんだという。

 これまで寒波は、気圧の変化などに伴って北極圏が寒気の蓄積と放出を繰り返す「北極振動」と呼ばれる現象で説明されてきたが、到来時期の予測精度に課題があった。

 バレンツ海は、大西洋の暖流の影響を受け、気温が氷点下15度でも水温は1度程度と高いため、気候を左右する「熱源」として近年注目されている。堀研究員は「今後、過去約40年間の記録を分析してさらに精度を高め、寒波に伴う被害軽減に貢献したい」と話す。【山田大輔】

top
文字サイズ変更
このエントリーをはてなブックマークに追加
Check
この記事を印刷

PR情報

スポンサーサイト検索

アーカイブ一覧

 

おすすめ情報

注目ブランド