消費者金融:苦境続く 過払い利息の返還請求増加で

2011年2月9日 21時23分 更新:2月9日 23時57分

 消費者金融業界の苦境が続いている。貸付金減少が止まらず、利息制限法の上限金利を超えた「過払い利息」の返還請求は、昨秋の武富士破綻以降、増加。「年度末にかけて返還負担がさらに膨らむ」(業界筋)との見方もあり、アコム、プロミス、アイフルの大手3社を含む各社は一段のリストラなどを迫られかねない状況だ。

 大手3社が9日までに発表した10年4~12月期決算は、個人への貸し付けを年収の3分の1以下に制限する「総量規制」の導入(6月)や貸出金利低下で利息収入が減少。売上高に当たる営業収益が各社とも前年同期比2ケタ減となった。一方で利息返還に備えた引当金負担が収益を圧迫。前年同期比4倍の840億円を繰り入れたアコムは421億円の最終(当期)赤字(前年同期は16億円の黒字)に転落した。

 とりわけ過払い利息返還請求の急増は経営に大きな打撃を及ぼしている。昨年9月に破綻した武富士が未請求者の掘り起こしを進めたことをきっかけに、それまでの減少傾向から一変した。アコムが10月に前月比45%増の1万3800件となったほか、プロミスは11月に20%増、アイフルも12月に45%増と急増。「武富士破綻で(返還請求が波状的に広がる)パンドラの箱が開いた」(大手幹部)状況だ。

 返還請求から実際の返還まで数カ月かかるため、1~3月期に各社の負担が拡大する可能性がある。武富士への返還請求の締め切りを2月末に控え、顧客が重なる他社への返還請求が拡大しそうで、アコムなど各社は戦々恐々としている。業界では、今後の請求件数の動向を踏まえ「1~3月期に引当金の大幅な積み増しが必要になれば資本増強も避けられない」(大手役員)との声も漏れる。三菱UFJフィナンシャル・グループの連結子会社のアコム、三井住友銀行の持ち分法適用会社のプロミスを巡っては、メガバンクの出資比率の引き上げも取りざたされている。【和田憲二】

 ◇ことば・過払い利息

 借り手が利息制限法の上限金利(15~20%)を超えて貸金業者に支払った利息。かつては借り手が任意で支払った場合には出資法の上限金利(29.2%)までの「グレーゾーン金利」も有効とされていたが、06年1月に最高裁が利息制限法を超えた金利を無効と判断して以降、貸金業者は借り手への返還を迫られるようになった。

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