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東日本大震災:義援金配分の見通し立たず 愛知1.7億円

 東日本大震災で、国内外から集まっている義援金。東海3県では、愛知県が独自に窓口を設置し、29日までに約1億6900万円が集まった。だが、配分方法を決める委員会設置が遅れ、被災者にいつ配分できるか見通しが立っていない。専門家は「国が主導して、早く被災者に配分していくべきだ」と訴えている。

 愛知県は義援金の受付窓口を14日に設置した。県外に被害の大きい地域があるケースで、独自に窓口を作るのは95年の阪神大震災以来。既に阪神大震災で集まった約1億2000万円を上回っている。

 全国的にも多くの義援金が寄せられている。日本赤十字社は25日までに約400億円、中央共同募金会は約90億円が集まった。中央共同募金会ではこれとは別に、被災地で活動する災害ボランティアやNPO向けの募金も約5億円にのぼっている。

 だが、義援金が被災者に渡るめどは立っていない。

 国の防災基本計画は、被災した地方公共団体が、赤十字や報道機関などの窓口団体などと配分委員会を組織し、配分を決めると規定している。阪神大震災では、兵庫県と大阪府が連携し、発生1週間後に配分委員会を発足、発生2週間後から全半壊(焼)や死者・行方不明者の家族に1次配分として一律10万円を渡した。愛知県の義援金もこの配分委員会に集約された。

 しかし今回はまだ配分委員会の構成も決まっていない。国は、被害が大きかった岩手、宮城、福島3県に合同委員会設立を求めているが、「建物被害の調査もできず、配分基準を決めるどころではない」(宮城県)のが現状だ。愛知県の担当者は「配分方法は白紙の状態。配分委員会に委ねるのが現実的だが、それもできない」と困惑する。

 大学教授らで作るNGO「兵庫県震災復興研究センター」の出口俊一事務局長は「被災者は、生活再建に向けて現金を必要としている。公平性にこだわって被災者に渡すのが遅れたら、義援金が役に立たない」と話している。【秋山信一】

毎日新聞 2011年3月30日 14時14分(最終更新 3月30日 14時37分)

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