特報:岩手県普代村は浸水被害ゼロ、水門が効果を発揮

2011/03/31

東日本大震災
防潮堤
高潮対策事業
普代村
岩手県
津波
防潮水門
浸水被害

 岩手県普代村に設けた防潮水門などが東日本大震災で効果を発揮。同村の中心部や集落を大津波から守った。3月30日時点で行方不明者は1人出ているものの、死亡者はゼロ。住宅への浸水被害も出ていない。

 三陸海岸に面した普代村は、普代川に沿って中心部を形成している。1896年に発生した明治三陸大津波では、1000人以上の死者や行方不明者を出している。

3月20日午後3時57分に撮影した普代水門。下流側からの様子(写真:下も普代村)
3月20日午後3時57分に撮影した普代水門。下流側からの様子(写真:下も普代村)

 この明治三陸大津波を対象に、普代川の河口から約300m上流に建設したのが普代水門。水門の高さは15.5mで、長さは約200mとなっている。岩手県が高潮対策事業の一環で総事業費35億6000万円をかけて建設した。完成したのは1984年。

 普代水門は遠隔操作で水門の開閉をできるようになっているが、操作中に地震の影響で停電。一部を久慈消防本部の職員が手動で操作して、津波の到達前に水門を閉めた。

 津波は到達時に水門を越えたものの、水門から約200m上流付近で停止。水門の上流側に設けた管理用の橋が破損したが、住宅などに浸水の被害はなかった。

普代水門から見た下流側の様子。3月14日午後1時22分に撮影
普代水門から見た下流側の様子。3月14日午後1時22分に撮影

 さらに同村の太田名部地区では、太田名部防潮堤が効果を発揮した。同防潮堤は高さが15.5mで、長さが約130m。1970年に完成した。津波は防潮堤の高さ約14mの位置で止まり、背後の集落に被害はなかった。

 普代村では住宅への浸水被害はなかったものの、水門や防潮堤の下流側で水産加工場が全壊するなど、漁業施設に大きな被害が出ている。行方不明となっている1人について同村は、「船を心配して海岸側に向かったときに被災したのかもしれない」と話している。

山崎一邦=フリーライター日経コンストラクション

読者のコメント (2 件)  ※[ログイン]すると全文表示、投稿・投票ができます
水門から上流側の写真はありませんか?
(時々訪問 2011/03/31 10:47)

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数百年に一度だから対策は不要と言えない状況ですね。これから被害報告がまとめられてくると思いますが、こういった対策の有無による被害対象比較記事を望みます。
(2011/03/31 09:13)

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