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急増 震災ごみに苦慮 便乗搬入・分別マナー違反

山積みの震災ごみ。出火で緊急閉鎖された仮置き場では、大量に投棄されたシンナー類の一斗缶が見つかった=26日、仙台市若林区の今泉野球場

 東日本大震災後に、仙台市が設置した震災ごみの仮置き場が飽和状態になっている。区ごとに設置した5カ所のうち2カ所が既に満杯で、新たに2カ所を確保しなければならなくなった。急増の背景には、マナー違反の「便乗ごみ」がある。市の焼却施設はパンク寸前で、ごみの減量が大命題になっている。

 仮置き場の設置は15日。地震で壊れた家具やテレビ、がれきといった家庭のごみが対象。「3日連続で来た」(若林区の自営業の男性)という被災者もおり、開設以来、市民の持ち込みが続いている。
 いち早く満杯になった宮城野区の鶴ケ谷中央公園は、24日に閉鎖。代替の日の出町公園野球場を23日から確保した。若林区の今泉野球場も26日に受け入れをやめ、同日午後から若林日辺グラウンド(ニッペリア)に新たに置き場を開設した。
 搬入されるごみの増加とともにマナー違反も目立つ。便乗して対象外の事業ごみや危険物が持ち込まれている。市は、がれきなどを大量に持ち込む解体業者に自粛を呼び掛けるが、現場では「震災ごみだと言い張る業者との間でトラブルが生じている」(市環境局)という。
 今泉野球場の仮置き場の閉鎖は、事業系とみられるごみからの出火が原因。シンナー類や塗料が入った一斗缶が大量に捨てられ、ごみの積み上げ作業中の重機から出た火花が引火した可能性が高い。作業員らが消火器を使ってすぐに消し止めたものの、予定を1日早めて緊急閉鎖した。
 捨て方のルールも守られていない。午前9時〜午後4時半の受け入れ時間を守らずに付近の歩道に投棄したり、時間内でも不燃と可燃のごみに分別せずに捨て去ったりするケースも多い。鶴ケ谷中央公園の仮置き場の閉鎖は、分別していないごみを仕分けする作業に追われ、スムーズな搬出ができなくなったことも要因だった。
 震災ごみの搬出先は、可燃物が市の焼却工場で、不燃物は隣接する宮城県富谷町にある市所有の石積埋立処分場。焼却工場は、主力の松森工場(泉区)が震災で損傷し停止中。葛岡(青葉区)、今泉(若林区)の2工場がフル稼働するが、処理が追い付かない。
 市は仮置き場の設置期間をおおむね1カ月間としている。市廃棄物指導課は「急ぎでなければしばらく手元に置くなど、震災ごみの減量に協力してほしい」と市民に協力を呼び掛けている。(松田佐世子)


2011年03月29日火曜日


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