調教や洗脳などで悪の奴隷になるヒロイン40【悪堕ち】
- 1 :名無しさん@ピンキー:2011/01/29(土) 12:38:14 ID:GFp/pi4m
- 調教や洗脳などで悪の奴隷に堕ちるヒロイン達・・・
【ヒロイン悪堕ち】シチュ全般に激しく萌える心優しき同志が、
数少ない情報を共有して楽しんだり、まったりと過ごすスレッドです。
OVAやゲーム、漫画などの情報、SSの投稿も歓迎します。
◆前スレ
調教や洗脳などで悪の奴隷になるヒロインpart39
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1290732186/
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- 642 :名無しさん@ピンキー:2011/03/30(水) 23:03:41.21 ID:gJJqGu2t
- >>286の続き
ユリエは、布団の中で、夢か現かもわからない今日のことを思い出していた。
(私は、なんてことを…)
クロエに唆され、「二人が憎い、悪者だ」と思い浮かべてしまった。
確かに援護の魔法、攻撃型の魔法はは微弱なものしか使えないが、それでも二人の手助けとして役に立っている。
「イエローがいなければ」と何度も言ってくれた。二人のその言葉で、私はもっと頑張れると思っているのに。
(…やっぱり、夢、ですよね。私はそんなこと、思いません)
シーツをぎゅっと握り、ユリエは思いなおす。あれは酷い夢だったのだ、と。
「ユリエ、今日学校来ても平気なの?」
ミサがユリエを見るなり、猛ダッシュで駆け込んできた。ユリエはつとめて明るく笑って、「ご心配おかけしました」と答える。
「シオンが血相変えて電話寄越したからさあ。びっくりしちゃったよ」
「意外と慌てんぼさんなんですね」
「んー?それだけじゃないと思うけど」
「え?」
「シオンにとっては、ユリエは特別な親友なんだと思うよ。もちろん、私にとっても!」
太陽のようなミサの笑顔に、言葉に、ユリエは言いえぬ幸福感を憶えていた。
二人が憎いだなんて、やっぱりどうしたって思えない。そうユリエは強く感じていた。
「と、噂をしてるのにシオンが来ないね」
「本当ですね。朝練でしょうか」
「でもさ、ホラ」
ミサの示したほうには女子剣道部の部員が座っていた。なにより、ホームルーム開始10分前に練習が終わらないはずがない。
健康優良児を絵に描いたようなシオンが欠席するとはとても思えない。
ミサもユリエも、不安な気持ちが沸き立っていた。
「はーいみんな着席」
担任の声がして、座る。シオンに関してのことは何も伝えられず、担任さえも「あの子が休みなんて珍しい」と首をかしげていた。
ユリエの脳裏に黒江の姿がよぎる。まさか、そんな。
けれど、黒江はいつもどおり学校で姿を見かけたし、シオンとの関係はなさそうに思える。
「学校終わったらお見舞い行こっか」と呟くミサに、ユリエは頷いた。
- 643 :名無しさん@ピンキー:2011/03/30(水) 23:04:07.87 ID:gJJqGu2t
- 「く…っ…」
そんな噂をされているとも知らず、シオンは囚われの身にあった。
ユリエが車に乗るのを見送った後、部活に戻り、誰よりも遅くまで練習をして帰路についた。
歩いて10分ほど経った頃、複数のローファーの足音がやけに後をついてくる、と気づいた。
もう普通の生徒ならとっくに家についている時間だ。グラウンドや武道場には生徒は残っていなかったし、教室もほとんど電気が消えていた。
不審に思い、足を速めると同じようについてくる。最終的に競歩に近い速さで歩いていたが、後ろの集団は沈黙を貫いたまま、歩き続けている。
振り向こうと立ち止まった瞬間、背後から殺気を感じ咄嗟に身を交わした。
相手は4,5人、顔は暗くて見えないが、全てが自分と同じ制服を着ていて、思わずまごつく。手元に竹刀もない状況では手の出しようがない。
それに、相手の体躯はどうみても女。悪の手先ならともかく、そんな相手に変身するわけにはいかない。
その判断が、命取りだった。
「ブルーエンジェル、来ていただきましょうか」
どこかで聞き覚えのあるその声に振り向いた途端、体の自由が利かなくなり、ズシン、と鳩尾に衝撃を感じた。
それが敵の攻撃だと気づく間もなく、シオンはアスファルトへと体を沈ませていた。
「どこなんだ…ここは…」
どこかの部屋の一室でキリストのように腕と足を縛られ、身動き一つ取れない。
「お目覚めですか、ブルーエンジェル」
「っ!お前が親玉か!」
「いかにも。貴女がたを抹殺しに参りましたクロエと申します」
「……クロエ、だと?」
血のように赤いルージュ、高く響くヒール。姿は違えど、昨日から学校に来ていた副担任だと気づいた。
「だいぶ手間取ってしまいましたね。昨日から学校に潜入したもので、私の使えないイヌどもに偵察させたんですが…」
「イヌ?」
「ええ。昨日の夜、貴女を襲ったアレは私の下僕。欲望の代わりに己を差し出すなんて、躾のできていないイヌも同然ですから」
「どういう意味だ」
欲望の代わりに己を差し出す。まったく言葉の意味がわからなかった。
「じきに、貴女もわかります」
眼前に立ち、じっとシオンの瞳を覗き込む。
両手で顔を挟まれ、動かすことも、視線を逸らすこともできない。
頭の中まで覗き込まれるようで、シオンは不愉快な気分を滲ませていた。
「離せ!」
「そう仰らずに」
瞳いっぱいにクロエが映り、その瞳には自分の姿が映る。その半永久的なループに、そして心の奥まで見透かされそうな視線に、シオンは頭がくらくらしてきた。
「貴女、女性が好きなのですか?」
「…!」
「ユリエさんが、お好きなんでしょう?」
(どうしてだ。誰にも言ったことなんてないのに…)
女性らしい、穏やかな雰囲気に。落ち着かせてくれる笑顔に、気づけば友情以上の感情を持っている自分に気づいた。
そんな感情はおかしいと自分を律し、剣道に打ち込んできた自分の気持ちを、いとも容易くすかしてしまう。
クロエの底知れない笑顔に、シオンは恐怖を感じていた。
「違う、ユリエはただの友達で…」
普段の勇ましいシオンからは発されないような言葉を、弱弱しく言いよどむ。それを満足そうにみていたクロエの周囲が毒々しい霧に包まれる。それはまるで意思を持った手のように、シオンをも包んでいく。
しかし、自分自身の感情を裸にされたこと、自分が感じたことのない恐怖に支配されているシオンはまったく気づかない。黒い霧を存分に鼻から、唇から吸い、次第に瞳がぼんやりしていく。
「本当のことを仰らないからですよ。本当の貴女の欲望さえ包み隠さず言ってしまえば、楽になるのですよ」
「ほんとの…こと…」
呼吸を遮る霧のせいで、頭まで酸素が回らず、思考できなくなってくる。
(私の気持ちに嘘をついて、何になるっていうんだ。ユリエを好きなのは本当の気持ちなんだ)
「わたし…私は、ユリエが好きだ…」
「付き合って、恋人同士になりたいのでしょう?それが貴女の欲望、です」
欲望、という言葉を発すると同時に、クロエの瞳が光る。
「欲望…わたし…ユリエと、恋人に…」
シオンの心に、水が吸い込まれるようにクロエの言葉が入っていく。
言葉の通り、自分の欲望を強く露わにすると、呼吸の苦しさがなくなっていた。
それが本当のことを言ったからだと安易に思い込むほどに、シオンの思考は奪われていた。
好きだと言う度に強くなる欲求。自分が男なら自由に付き合えるのに。
キスをして、抱き合って、そのまま体を求めることもできるのに。
「その欲望、私が叶えて差し上げますよ」
「…え…?」
- 644 :名無しさん@ピンキー:2011/03/30(水) 23:04:27.22 ID:gJJqGu2t
- ニタリと笑い、指先から黒い珠を出す。真珠ほどの小さい珠を、シオンのパンティーの中、秘部までグリグリと押し込む。
「あ、ああ!何、する…!!」
そこはユリエを抱く妄想でぐしょりと濡れていた。クロエはそのまま、シオンが抵抗できないことをいいことに愛撫する。
指でさわさわと繁みをなぞり、二本の指で小さなクリをぐりぐりと刺激し、また流れ出す愛液。クロエは腿まで流れたソレを、赤い舌で舐めとって見せた。
「あう、何…やめ、…」
ドクン、ドクンと脈打つ。クロエのイチモツもボンデージの中で疼いていた。
「女の悦びを教えてあげましょう。そして、ユリエさんにも同じように…」
「よせっ!ユリエには、ユリエにだけは…!」
「その悦びを教えてあげるのは貴女ですよ。貴女にも男性のアレができてしまえば…ね?」
「わ、私に、そんなの、嫌だ…!」
指を離し、パチン、と指を鳴らす。シオンの前に、ユリエが立っていた。
ユリエの幻影とも言うべきもので、目からは光が失われ、力なく立っている。
「だったら素晴らしさを見せてあげましょう」
「…!何をする、つもりだ!」
幻影が四つんばいになり、足を少しずらし、開く。クロエはボンデージをずらすと、脈打つ性器は今にもそれを貫く悦びに打ち震え、力強く奮い立っていた。
「ユリエ!?」
シオンが暴れ始める。自分の眼前で、ユリエが、敵の牙にかかりそうになっているのだから。
「…セントチェンジ!」
青いコスチュームに身を纏ったブルーは、渾身の力で枷を引きちぎろうとする。しかし、ギシギシと音を鳴らすばかりで破られる気配はまるでない。
「クロエさま…」
その間も、ユリエは目の前で仁王立ちになったクロエのイチモツを見て、いやらしい声を洩らす。
自らの指でくちゅくちゅと中で鳴らし、惚けた顔で「ねえ…早く…」などと声を発するユリエを見るのは精神的な苦痛だった。
「舐めさせてくださいっ…その、おっきいのぉ…んむっ、ん…」
(あいつは偽物だ、ユリエが、あんなふしだらな真似するはずが…)
「上手いですね、ユリエさん。そろそろ、イきますよ」
ずるりと唇から抜いた瞬間に、ユリエの顔が真っ白に染まる。夥しい精液をかけられ、満足そうに笑うユリエに、すでに心がズタボロになりそうだ。
しかし、次第にその行為から目が離せなくなっているのも事実だった。
「そろそろ本番に参りましょう」
クロエは顔色一つ変えず、ユリエの後ろに回る。赤黒いソレが、ユリエの中にずぶずぶと入っていく。ブルーは息を呑み、その様子を見ていた。
(うらやましい…私も、あんな風にユリエを気持ちよくさせてみたい…)
ズキズキと、欲望が下半身を熱くさせる。愛液がトロトロと流れているのにも気づかず、一心不乱に二人の行為に魅入られている。
(ヤりたい…ユリエと、エッチしたい…)
おおよそ正義の味方とは思えないような考えが、心を占めていた。
それは先ほど存分に吸った黒い霧の魔力でもあり、秘部へと挿入された黒い珠の魔力によるものであるとは、彼女は知る由もない。
「あぅ…すごい…クロエさま、大きいですぅ…」
悦び腰を振るユリエを、普通の頭でブルーが見ていたら怒り狂い、まさに鬼のように暴れるだろう。
「あ、あ、ユリエ…どうして…」
クロエと愉しそうに興じるユリエ。ブルーは嫉妬と羨望ではちきれそうになっていた。
自分も二人の中に混ざりたい。ユリエを、犯したい。
「ああっ!出ちゃいますぅ!」
幸せそうな表情で絶頂を迎え、その場に倒れこむユリエ。膣からはクロエの白濁が流れ、肩で息をしていた。
クロエのペニスを目にして、ブルーにはそれが誇り高いものにすら見えた。あれがあれば、ユリエを…。
「貴女はまだ嫌がりますか?これを」
ブルーの視線はその一点に注がれていた。
「欲しい…すごく、欲しい…」
「ならば、私に忠誠を誓いなさい」
「ちゅうせいを…」
クロエに跪く。たったそれだけでいいのか。
「私は、クロエ様に忠誠を…あ、あああ!!」
イエローの時と同様に、ブルーの体から青白い光が放たれる。
クロエはその姿を睨み付け、昨日のイエローのことを思い出していた。忌々しい力は、やはり三人の戦士すべてに宿っているのだ、と。
- 645 :名無しさん@ピンキー:2011/03/30(水) 23:04:52.86 ID:gJJqGu2t
- 『お前は剣士だろう。もっと誇りを持て』
ブルー自身の声が響く。
『シオン、私たち、仲間でしょ!』
ミサの声も。
『シオン、私たちは仲間です』
ユリエの声。
「う、あああああああああああああああああ!!」
ブルーの強大な力に、クロエは一瞬引き下がる。いつの間にか、ユリエの幻影は消え、枷は破られていた。
青白い光に包まれたブルーの手には細長い剣が握られている。ブルーは余裕綽々に笑い、クロエをにらみ、そして唸るような声で叫ぶ。
「…危なかった。クロエ、お前を倒す!」
「貴女も、そうなると思ってましたよ」
下段の構えから、クロエに間を詰め、一思いに断つ。
「接近型攻撃のブルーに、私としたことが油断しましたね…」
クロエの腕から黒い液体が滴る。深い傷ではないが、一太刀浴びせられたのは大きい。クロエはよろよろと下がり、しかし、口元の笑みは崩さずに言葉を返す。
「ですが…同じ失敗は二度しないのが私の流儀でして」
パン!と大きな拍手をする。
「…気でも違ったか?」
「さあ?」
もう一度、間を詰めようと一歩踏み出した瞬間に、ブルーの下腹部が蠢動した。
「…?」
ずくん、と何かが動いている。
「な、」
ピストンのように、しゅるん、と何かが上下に動き始めていた。
「あ、あっ…」
カラン、とその場に剣を落とし、触りようのないそこの疼きを止めようと、座り込む。
「私に…っ、何を、した?」
ずくん、ずくん、次第に強くなる疼き。痛みではない、ほとばしる快感に、自分の使命を忘れてしまいそうになる。
「欲望を叶えてやると言ったはずですよ」
「…まさか!」
中を縦横無尽にまさぐられるような、熱い快感に襲われる。
クロエはゆっくりと座り込んだブルーに近づき、スカートの中に手を入れた。
「ここもじっとり濡れていますね」
「やめろ…!」
力なく抵抗をするも、ぐしょぐしょの其処は床に水溜りを作り始めていた。
必死に耐えるブルーの頭の中で、小さく声が響く。
『シオン、頑張って』
(そんなこと、言われても…私は、)
理性を少しずつ蝕んでいく律動を理解しないで、頑張れ、なんて。ミサの声が忌々しく感じられる。
『シオン、耐えてください!』
(ユリエ…、ユリエ…!私、私は…)
私は、ユリエを女として見ている。恋人になりたい。キスもしたい。その先のエッチだって。
そのためにこの疼きも耐えているのに…。
「ブルー、貴女を応援してくださってるユリエさんに、尋ねてみたら?」
クロエは残酷なほどに美しい声で、ブルーの瞳に問いかける。
「ねえ…ユリエ…?私たちって…」
ブルーのまばゆい光の中に、ユリエが見えた。聖母のようなほほえみを湛えて、ユリエは答える。
『シオン、私たちは、友達ですよ』
(トモダチ…?)
ブルーの瞳を、涙が零れていく。ユリエの本心。
「友達」「仲間」。そういわれる度に、胸の中を苦い思いが巡っていった。
こんなに好きなのに、ユリエの中では「友達」でしかない。
奮い立たせるはずの言葉が、ブルーの心を粉々にしていく。
- 646 :名無しさん@ピンキー:2011/03/30(水) 23:05:10.44 ID:gJJqGu2t
- 力なく、虚ろになった瞳。心が砕けても、体は敏感に反応し、紅潮した顔と、荒くなる息とのミスマッチがクロエをぞくぞくとさせていた。
「私の言うとおりにすれば、ユリエさんは貴女のモノになりますよ」
「本当…ですか…?」
「ええ。ユリエさんは友情と愛情の違いがまだわかりませんの。本当はユリエさんも貴女が好き。でも、そのためには邪魔なものがありますね?」
「…ミサ……」
いつもユリエにくっついて回る邪魔な女。ユリエと二人きりになりたくても、のこのこついてくるバカな子。
忌々しい、あいつさえいなければユリエは私のものになるのに。
「私に忠誠を誓えば、ユリエさんと二人きりの世界を作ってさしあげますよ」
「あぁ…」
ユリエと二人だけの世界。クロエの言葉は甘美で、素敵な響きを持っている。
うっとりとしたブルーに、少しずつ変化が見えていた。
瞳が黒く淀み、惚けたような表情で笑う。
「ユリエさんのために、まずは貴女に雌の悦びを教えてあげましょう」
ブルーは自らスカートをめくり、クロエは己の性器を躊躇う事なくシオンの中に入れた。
「あっ…ああ、」
「骨の髄まで、教えてあげましょう。きちんとユリエさんにしてあげるんですよ?」
「あ、ひゃいぃ!」
貫かれるだけで体中に電流が走るほどの快感。これが犯すということ。
女性に異性のように恋愛感情を抱かれることはあっても、シオンを女性としてみなす男はまずいない。
ぐりぐりと何度も突き上げられ、処女膜を突き破る。痛みよりも遥かにこみ上げる快楽に包まれた。
「あ、ぅあ…きもちぃ、すごい!」
「もっと鳴きなさい!貴女もよがるイヌと同じですよ」
クロエは、ブルーの乳房を揉み、パンパンと鳴らしながら中を蹂躙する。
「きもちいい…、もっと、もっとくださいぃ!」
「私の名前を、お呼びなさい」
「クロエ様…その大きなの、もっと奥にください!」
剣道部で磨かれた力強さも戦士としてのプライドもない、自らクロエのペニスを求め、腰をガクンガクンと動かしていく。
(ユリエもこんな風に…)
自分がユリエを感じさせるという強い欲望が、心も体も澱ませていく。
唇からは嬌声と涎だけが零れ、間もなくブルーは大きく叫んで絶頂を迎えた。
クロエは笑い、シオンの部屋のソファーにどっかりと座っていた。
昨日の夜、シオンを襲った後はそのままシオンの部屋で監禁し、愉しんでいた。術のせいでどこかに連れ去られたと思い込ませただけだ。
無論、シオンの後に、何も知らずに帰ってきた母親もクロエの命令ひとつで動くイヌと変わり果てていた。
ソファーの前で、目を覚まし、ブルーは変身も解けぬまま体の変化に気づいた。
「気分はいかがです?」
「私に、こんな素敵なモノを戴けるとは…」
足をM字に開き、スカートから覗かせるソレを握り、上下に扱く。
クロエには及ばないが、男と比べても立派なサイズのイチモツが備わっていた。
握る強弱によって、抜群の感度を誇る。天を仰ぐソレを、何度も指でさすり、ピクピクと震えさせていた。
「そういえば…肝心な事を忘れていましたね。ブルー、私との契約を」
床に転がった刀を拾い、剣先を下に向ける。恭しい態度で、かつてブルーであった戦士は、クロエに跪いていた。
「クロエ様、私をブルーと呼ぶのはお止め下さい。ブルーエンジェルという戦士は生まれ変わったのです。貴女様のおかげで」
「よろしい。では、シオン。私に忠誠を」
「クロエ様、私は永久に、忠誠を誓います」
じわりと青かった部分が黒く染まっていく。首に、首輪のようなチョーカーが巻かれていき、瞳は闇のように深い青に変わっていた。
刀は青龍刀のように大きく、黒い武器へと変貌していた。
クロエは背筋をゾクリと震わせ、シオンの顎を指で引く。
熱い口付けを交わし、悦びの表情を浮かべるシオンに告げた。
「これからは我らのために動いてもらいますよ。闇剣士・シオン」
「はい、なんなりと、クロエ様」
「まずは様子見として、何度かこちらから戦いを仕掛けるかもしれません。そのときはあくまでもセントエンジェルとして仲間の振りをしてください」
「かしこまりました」
- 647 :名無しさん@ピンキー:2011/03/30(水) 23:25:59.71 ID:yZs/UJts
- 支援
- 648 :名無しさん@ピンキー:2011/03/30(水) 23:55:23.23 ID:f8QaoEZs
- 同じく支援
- 649 :名無しさん@ピンキー:2011/03/31(木) 01:12:11.07 ID:Xt9Hb3sL
- 支援ー。
明日はエンジェレイヴァーに特攻ーー。
- 650 :名無しさん@ピンキー:2011/03/31(木) 08:26:10.79 ID:j8YVip2T
- これはマジにいいな
- 651 :名無しさん@ピンキー:2011/03/31(木) 14:21:14.91 ID:p2ASsR33
- すみません、642書いてた者です。
文章書くだけ書いて、きちんと終わりと明言してなくてすみません。
支援してくださった方ありがとうございます。続きはまた、そのうち。
- 652 :名無しさん@ピンキー:2011/03/31(木) 23:56:22.03 ID:K+oK8mqP
- 乙
続きも楽しみに待つことにするわ
- 653 :名無しさん@ピンキー:2011/04/01(金) 13:51:10.25 ID:1MFL95WP
- フリージング戦闘員化だけかと思ったら一応葛藤したりするんだな
私の意識があるうちに!って王道やね
- 654 :名無しさん@ピンキー:2011/04/02(土) 12:18:08.44 ID:8YX97Vh/
- お前ら、何か情報出せや
- 655 :名無しさん@ピンキー:2011/04/02(土) 12:35:00.36 ID:KZcdFrQr
- >>654
>>78
- 656 :名無しさん@ピンキー:2011/04/02(土) 12:49:21.86 ID:oJSJmoTm
- んじゃ適当に出すか
ブレイブルーのノエルがミューに覚醒悪堕ちしてるけど、
家庭用ストーリーのラストシーンで
悪側に捕まった黒ツバキとライチが出てくるんだよな
台詞は「・・・」とかだったと思うけど意味深に消えるから
次回作でどうも該当ポジションになって出てくるんじゃないかと
ライチがどうにかなるってどうも想像付かないけど
- 657 :178 猟血の狩人10回:2011/04/02(土) 22:41:27.24 ID:CI2sfEAv
- 本当にお久しぶりですが猟血の続きでございます
「…ちょっと、まだ村にたどり着かないの?」
先程より何時間経っただろうか。
もはや日は完全に落ち、生い茂った木々が月明かりすら遮断した真っ暗な森の中をティオとニースはランタンを持ったタオファに先導され村へ続く道を歩いていた。
最初はタオファの口ぶりから少し歩けば村にたどり着けるものと思い込んでいた。
ところが、行けども行けども村は影すら見えてこず、これならさっきの道を進んでいたほうがマシというレベルにまでなっていた。
「もうちょっとですよ。もう少し頑張ってくださーい」
ニースの愚痴にタオファが軽口で受け流すのも一度や二度ではない。
実際、ニースはかなり苛立っていた。
さっきはティオに窘められて矛を収めたものの、未だにニースはこのタオファを信用できないでいる。
こっちのピンチにいかにも都合よく現れたことといい、変に親切ぶっているところといい胡散臭さがプンプン匂ってくるのだ。
(こいつ……。ティオちゃんはうまくはぐらかせたみたいだけど、私はそうはいかないんだからね……)
ニースは敵意を込めた目でタオファの一挙手一投足を見つめていた。
もしタオファが後ろを振り返ったら、闇夜に紅く煌めくニースの双眸を見ることが出来ただろう。
幸い今は夜だ。もしタオファが下手なことをしようとしても、今のニースなら軽く阻止することが出来る。
(ちょっとでも変な動きしてみなさい……。その瞬間に頭を跳ね飛ばしてやるから…)
ぱきぱきと嫌な音を立ててニースの爪が長くせり伸びてきている。
昼間に思うようにティオを守ることが出来なかったことも相まって、ニースはひどく攻撃的になっていた。
「ち、ちょっとニース……。何いきり立っているのよ」
ニースのただならない殺気にティオが小声で注意するが、耳に入っていないのかニースはティオのほうを振り向くことさえしなかった。
その時
「あっ」
「っ!!」
タオファが不意に二人のほうへ振り返り、それに反応したニースが物凄い速さでタオファのほうへと駆け出した。
「ニース!!」
ティオが止めるのも間に合わず、ニースは降闇から刃物と化した爪を突き出しタオファの喉首目掛け突き出したが、
「きゃっ!」
間一髪身をかわしたタオファの側面をニースは通り過ぎ、茂みの中へ頭から突っ込んでしまった。
ゴィン!と堅い木に何かがぶつかる音がしたがそれがなんなのかはあえて語るまでもない。
「な、なんだったんですか今の〜。いきなり暗闇からなにかがドーンって突っ込んできて……」
「さ、さぁ〜〜。大蝙蝠でも明かりに釣られてやってきたんじゃないかなぁ〜〜」
どうやらタオファはランタンを二人に向けておらず向って来たのがニースだとは気づいていないみたいだったので、ティオは適当に誤魔化して場を繕おうとした。
「で、何かあったの?タオファさん」
「あっ。そろそろ村が見えてくるころだから知らせようと思いまして……」
「あ、そ、そうだったの。
よかった〜〜〜。これでやっと一息つけるわ〜〜」
- 658 :猟血の狩人:2011/04/02(土) 22:42:37.21 ID:CI2sfEAv
- 昼間からリビングデッドとの激戦で心身共に疲れ果てていたティオは、村が近いというタオファの言葉に張り詰めていた緊張の意図がくたくたに緩む気がしていた。
「そうと聞いたら力が湧いて来たみたいだわ。タオファさん、早く行きましょ」
「は、はい……。あれ?ニースさんはどこに行ってしまったのでしょう……?」
「気にしない気にしない。ちょっとどっかで頭を冷やしていると思うわ。
あの子、夜目が利くからすぐに追いついてくるわよ。ささ、早く早く!」
ニースがいなくて戸惑うタオファを尻目に、早く休みたくて仕方がないティオはタオファを引きずるようにして先を急いでいった。
そんな二人のやり取りを、木に激突して地面に突っ伏しているニースは苦々しげに聞きつつ
「ティオちゃんの……、バカーっ!!」
と、やり場のない怒りを爆発させていた。
☆
「………」
あの後、憮然とした顔をして追いついてきたニースは一言も声を出さないままティオの後を足音も立てずに進んでいる。
もっとも、吸血鬼は足音を立てることはないのだが。
「自業自得よ。意味もなくタオファさんに突っ込んだりするから」
ティオはそんな臍を曲げているニースに厳しい視線を投げかけている。ニースにどんな理由があったのかは知らないが、自分達を助けてくれた恩人のタオファを無意味に攻撃しようとしたニースに同情の気持ちが湧いてこないのだ。
「……意味あるもん…」
「どうせ自分の思い込みでしょうが。ったく、人を無闇に疑ったりするのはよくないわよ」
「うぅ〜〜〜〜〜!」
確かにタオファに対する疑念は多分にニースの妄想から来ているものがあるかもしれない。
だが、こういう時の自分の勘というものをニースは信じていた。
吸血鬼の感覚から来る直感ではない。たくさんの吸血鬼をその手で討ってきた『狩人』としての戦場の勘だ。
どっちかというとお人よしのティオと違い、ニースは人間だったころから心の根本で人を信用していない。
そんな自分の心に目の前のタオファという人間は酷く信用ならない者として描かれていたのだ。
「もう少ししたら一息つけるから。そうすれば血が上った頭も冷めるでしょ」
(そんな熱い血なんか、私には流れてないよ…)
いつもなら心を和ませるティオの軽口も、今の状態では酷く煩わしく感じてしまう。
このままではフラストレーションが溜まりすぎて、ティオがいるにも拘らず誰彼構わず引き裂いてしまいそうだ。
そんな中、満月の月明かりすら通さない暗がりをそれまですいすいと進んでいたタオファの歩みが、不意にぴたりと止まった。
「……あら?」
「…?どうしたの、タオファさん」
不審に思ったティオがタオファに詰め寄ると、タオファが怪訝な顔をして振り向いてきた。
「いえ、この道を下ればもう村なんですけれど……。変なんです。
明かりが、全然ついていないんです……」
「え……?!」
タオファが指差した先は森が切れて月明かりが指しており、その月光によっていくつかの建物の屋根が照らされている。
が、それらはタオファの言ったとおり暗闇に覆われており、人の営みが全く感じられてこない。
- 659 :猟血の狩人:2011/04/02(土) 22:43:37.12 ID:CI2sfEAv
- 「どういう、こと……」
せっかくゆっくり休めると思っていた矢先の異変に、ティオのそれまで抑えていた疲れがドッとでかけた、その時
「ガァ―――ッ!」
茂みから突然、唸り声と共に一体のリビングデッドが飛び出してきた。
「リビングデッド?!」
緊張の糸が切れかけたところの不意打ちにティオの反応は一瞬遅れ、懐の長剣の柄に手をかけた時にはリビングデッドは既に攻撃態勢に入っていた。
が、次の瞬間
「……ガァ?!」
ティオを捉えようとしたリビングデッドの手は二の腕辺りからばっさりと切れ、その次には肩口が切れ、そのまま胴が吹っ飛んでから首が暗闇へと消えていった。
「………フン」
目の前でバラバラになるリビングデッドを唖然と見ているティオの目に、リビングデッドの後ろでぶん!と血糊の着いた手を払うニースの姿があった。
「ニース!ありが……?」
が、ニースは感謝を述べるティオなど目もくれずにずかずかとタオファのほうへと進み、タオファの胸倉を力一杯掴み上げた。
その瞳はあまりの怒りに真っ赤を通り越して白く輝いているようにも見える。
「ちょ……ニースさん。なにを、苦し……」
「貴様!やっぱり私たちを騙したんだなぁ!!」
首を襟でぎゅっと絞められてタオファは息苦しそうに喘ぐが、ニースは全く力を緩めることなくタオファを締め上げている。
ただでさえ人間よりはるかに強い力を持つ吸血鬼の、しかも日が暮れてパワー全開になったニースの渾身の絞めにタオファの顔からはみるみる血色が消え失せ、酸欠になった体は不規則な痙攣を繰り返している。
「こんな山奥まで私たちをおびき寄せて、夜中で目が利かないところでリビングデッドに襲わせるなんて実に姑息で卑怯な真似するじゃない!
でもお生憎様!私は夜のほうが五感が冴えるのよ!
こんなくだらない真似をして。タダで済むなんて思わないこと……」
「なにやってんのよニース――――っ!!!」
このままでは確実に絞め殺される未来しかなかったタオファを救ったのは、ニースの横から飛んできたティオの豪快な飛び膝蹴りだった。
「うきゃっ!」
ティオの膝は勢い良くニースのわき腹に食い込み、その拍子でニースの掌もタオファから外れ、タオファはそのまま地面に崩れ落ちた。
「………ゼェ…ゼェ……ゲホッ…!」
どうやら窒息死は免れたみたいでタオファは激しく咳き込みながら体を小さく丸めている。
その頭上で不満げなニースと怒りを爆発させたティオが激しく睨みあっていた。
「さっきから!なんであんたはことある毎にタオファさんに手を出すのよ!!なんか恨みでもあるの?!まだ会ったばかりじゃないの!」
「ティオちゃんはわかってない!こいつは絶対危険な奴だよ!放っておいたら、何をしてくるかわかったものじゃない!」
「なんでよ?!この人は私たちを助けてくれたじゃないの!もし悪意があるんだったら、あのまま私たちを放っておいたらよかったじゃない!
そうすれば勝手に死んでくれるんだからさ!!」
「それも私たちを嵌めようとしての考えかもしれない!とにかく、こいつをこのままにはしておけないんだ!」
- 660 :猟血の狩人:2011/04/02(土) 22:44:37.17 ID:CI2sfEAv
- ティオもニースも半ばムキになり、感情を剥き出しにして口喧嘩を展開している。
ニースが吸血鬼になって…いや、二人がコンビを組んで以来ここまで二人の間が険悪な状態になったことはなかった。
もう回りがどんな状況になっているかなんてことは完全に無視し、二人は決して相容れることのない自己主張を叫びあっていた。
「だから、なんであんたは分かってくれないのよ!」
「ティオちゃんもなんでそんなにこいつの肩を持つのよ!もしかして、いつの間にかこいつに暗示でもかけられているんじゃないの?!」
「あんたじゃあるまいし!バカ言っているんじゃないの!」
「バ、バカって言った?!バカって言うほうがバカなんだよ!ティオちゃんのバカ!!」
「バカはあんたよ!!」
もはや売り言葉に買い言葉。収拾がつかずにギャンギャンと喚き続ける二人の足元からその時、ようやっと落ち着いたタオファがよろよろと起き上がってきた。
「あ、あのぉ〜〜〜。あんまり騒ぎすぎますと……そのぉ……」
「「なに?!」」
口論を邪魔されたティオとニースは同時に烈火の如き怒り顔をタオファに向け、タオファはその迫力に圧倒されつつおそるおそる指で二人の背後を指差した。
「リビングデッドが……たくさん集まってきてしまいますよぉ……」
「「え」」
二人ともその一言でふと冷静になり、タオファが指差している先へを恐る恐る目を向けると…
そこには何十体ものリビングデッドがわさわさと群れをなしていた。
「げっ!!」
口げんかに夢中になってリビングデッドの接近に全く気づかなかったティオは、慌てて腰の剣に手をかけて迎え撃とうとしたが
「ちっ、うざい!!」
その前にニースが目にもとまらぬ速さでリビングデッドの群れへと突っ込んでいった。
「ニース!ちょっとま…」
幾らなんでも数が多すぎる。ティオはニースに自重しろと声をかけようとしたが、その声が出る前にニースの前にいた3〜4体のリビングデッドが細切れになって崩れ落ちた。
「え」
その呆気なさに呆然とするティオを尻目に、リビングデッドの真っ只中に入り込んだニースは物凄い速さで動く死体を物言わぬ塊へと変えていく。
「このこのこのこのぉぉ!!クソ死体め、二度と動き出せないように細切れのミンチにしてやるぅぅ!!」
昼間のストレス、タオファへの不信、ティオへの不満が一気に爆発したのか、ニースはそれまでティオが見たこともないほどの速さでリビングデッドを血祭りへと上げていく。
そして、ティオが結局剣を抜くまでもなく数十体いたリビングデッドはすべて細切れの腐肉へと料理されてしまった。
「ふん、手ごたえがなさ過ぎるよ…
ティオちゃんももうちょっとしっかりしなよ。疲れて頭がボケているのはわかるけどさ!」
まだ怒っているのか舌をべぇと突き出しながら自分をを睨むニースにムッとしながらも、ティオは改めて夜の吸血鬼の戦闘能力の高さを思い知ることになった。
何しろ、昼間にあんなに苦戦していたリビングデッドをまるで鼻であしらうようにあっけなく解体してのけたのだ。
ニースと戦うことはないとはいえ、こんな吸血鬼と夜間に一対一で戦う羽目になろうものならとても勝てる気がしない。
だからこそ、『狩人』での教えでは必ず吸血鬼には二人以上で対峙することになっている。
が、それでも今のニースに勝てるかといえば…疑問が残ったりする。それほどの強さだ。
- 661 :猟血の狩人:2011/04/02(土) 22:45:37.24 ID:CI2sfEAv
- 「は〜〜〜っ。ニースさん、昼間はからっきしでしたけど今は凄いですね〜〜」
そんなニースの大立ち周りを、タオファもまた目を丸くしてみていた。
「そんなに強かったんでしたら、昼間にあんな追い込まれることなかったんじゃないですか?」
「…私は昼間は調子が出ないの!あまり苛つかせること言うんじゃない!!」
もしティオが睨みを聞かせていなかったら、ニースはそのまま帰す刀でタオファの首を刎ねていただろう。
だがもちろんそんなことは適わないので、ニースは強烈な殺気を込めた視線をタオファにぶつけていた。
並の人間ならその殺気に触れただけでも気がおかしくなりかねないほどの殺気。
勿論ニースはそれほどの殺気をわざとタオファにぶつけていた。
直接手を出せないなら、自分の仕業とはわからない方法で潰してやる。しかし
「あ、あの〜〜。ニースさん、私そんな悪いこと言いましたかしら〜〜」
当のタオファはニースの殺気を真正面から喰らっているにも関わらず、ニースの態度に脅えるくらいでさしたる変化を見せてはいなかった。
「……?」
さしたる変化も見せないタオファにニースは首を傾げ、込める殺気が足りないのかとさらに鬼の形相でタオファを睨みつけようとしたが、それより先にニースの拳骨が上から降ってきた。
「ニース!」
ゴチン!と激しいショックがニースの頭を揺さぶり、さらに間髪入れずにティオはニースの両肩を掴んで自分のほうへと振り向かせた。
「ニース!あんたまたタオファさんを魔眼で操ろうとしていなかった?!」
タオファに聞こえないように小声で、しかし強烈な怒気を含めながらティオはニースに詰め寄った。
普段のニースならここで適当に誤魔化すことも出来ただろう。
が、頭に血が上っていたニースはつい
「そんなことしてない!あいつの頭をバカにしようとしていただけだよ!!」
と、言わなくてもいいことを口に出してしまった。
「この、おバカぁ!!」
ティオのさらなる拳骨がニースの頭に炸裂し、そのままティオは訳がわからずに首をかしげているタオファの元へと駆け寄っていった。
「大丈夫ですかタオファさん?!体がどこかおかしなところはありませんか?!」
「い、いいえ〜。別になんともありませんけど……。ああ、それよりも村が……!」
「村?!」
そう言われてティオも気がついた。
タオファに言われるままについてきたのは、体を休める村を求めてのことだったのだ。
その村の灯りが消え、村の周りをリビングデッドが徘徊しているということは……
「それって……、とってもやばいんじゃないの?!」
「やばいと…、思います…」
なにがやばいのかを即座に察したティオは、タオファの腕を掴んで即座に駆け出した。
「あ、あらら?!」
戸惑うタオファを気遣う余裕もなく、ティオは人気の消えた村目掛け一目散に走っていく。
その後ろ姿を呆然とニースは眺めながら
「……いいかげんにしろティオちゃん―――っ!!」
怒りのあまり横にあった木を力一杯殴りつけ、その衝撃に耐えられなかった木はバキバキと折れ崩れてしまった。
- 662 :猟血の狩人:2011/04/02(土) 22:46:37.09 ID:CI2sfEAv
- ☆
「これは……」
ティオとタオファの眼前に広がる村は、案の定村は静まり返り満月と星の冷たい光だけが村を照らしていた。
「みなさ〜ん、どこにいったんですか〜〜〜」
タオファの声も暗闇の中に虚しく吸い込まれ、耳が痛いほどの静寂がすぐに戻ってくる。
もう村の中心辺りまで進んで入るのだが人どころか犬猫の気配すら感じすることが出来ず、村中が死の気配に包まれていた。
「タオファさん…、一応聞いておくけど、ここって本当に人がいる村なの……?」
「当たり前じゃないですか〜!私、今日のお昼までちゃんとここにいたんですから!」
憤慨したようにタオファは頬を膨らませるが、ティオとしてはここに昼間まででも人が住んでいたということがどうしても信じられない。
かなり暗くて判別はしづらいのだが、村の家屋はボロボロに朽ち木々も手入れが行き届かずに伸び放題の印象がある。
これで人が住んでいる村というのが信じられないのも無理はない。
「ん?!」
その時、家の影からパキッと折れ枝を踏む音が聞こえた。それはなにか動いている者がいるという証だ。
「だ、誰かいるんですか〜?村は、どうしてしまったんですか〜?」
その音を聞き、タオファはなんの警戒もしないで音のしたほうへと駆けていった。
「タオファさん!迂闊よ!」
タオファのあまりに無用心な行動に、ティオは慌てて剣を抜きタオファを追いかけていった。
すると案の定
「キャーッ!!」
タオファの前に出てきたのは村人ではなくリビングデッドであり、不意を喰らったタオファは悲鳴を上げて体が固まってしまっていた。
「タオファさん!!」
リビングデッドがタオファ目掛けて伸ばしてきた手をティオは剣でバラリと切り裂き、そのままタオファの手を持つとダッ!と駆けてその場を離れた。
「ティ、ティオさぁ〜〜ん」
涙目になってティオを見るタオファに、ティオは悲痛な面持ちで呟いた。
「気をつけて!これだけ人の気配がないっていうことは……、もうこの村はリビングデッドにやられているのよ」
それは、この村のことを知っているタオファにとっては認め難いことであろう。
だからこそ、今のタオファの無用心な動きへと繋がっていたと考えられる。
「そ、そんな…」
厳しい現実を突きつけられ、タオファはへなへなとその場にへたりこんでしまった。
が、こうなってしまってはぐずぐずしている暇はない。
この村一帯がリビングデッドに汚染されてしまったとなると、うろついているリビングデッドの数も半端ではあるまい。
一刻も早くこの村から脱出しないと、どこからどれほどの数のリビングデッドが襲い掛かってくるか見当もつかない。
「早く立って!この村は危険だわ!今すぐに逃げ出さないと……」
だが、少し遅かったようだ。
「ティ、ティオさん!!」
酷く脅えた顔をしたタオファがティオの後ろを指差す。
そこには、一体どこに潜んでいたのか10体ではきかない数のリビングデッドがわらわらと軒先や玄関口から湧き出してきた。
いや、後ろだけではない。
前からも、横からも、まるでティオたちを包囲するかのようにあちこちからリビングデッドが現れたのだ。
- 663 :猟血の狩人:2011/04/02(土) 22:47:37.10 ID:CI2sfEAv
- 「な!囲まれてた?!」
それがリビングデッドの知恵なのか、それとも本能なのかは分からないが、ティオとタオファはリビングデッドに完全に包囲されてしまっていた。
(なんて迂闊!全然リビングデッドの気配に気づかなかった!)
やはり昼間の戦闘で集中力が極度に落ちていたのだろう。ここまで近づかれているのに全然リビングデッドに気づかなかったことにティオは思い切り臍をかんだ。
だが、見る限りリビングデッドの包囲網はまだ厚さが薄く、一転突破すれば突破口が開けるように見える。
自分の剣技と先ほどのタオファの符術をあわせれば、なんとか突破できなくもないだろう。
「タオファさん!血路を切り開くわ。援護して…」
ティオは比較的包囲の薄いところを指差し、タオファに援護を求めた。が
「あ、あぁ……。なんで、みんな……。おじさん、おばさん……」
どうやらリビングデッドの中に見知った顔がいるようで、タオファは座り込んだまま完全に放心状態になっている。
これでは援護を求めるどころかここから逃げ出すことも不可能だ。
「なっ、ちょ……!タオファさん、しっかりして!!」
ティオはへたりこんでいるタオファの肩を掴んでがくがくと揺すったが、タオファは聞き取れない言葉をブツブツ呟くばかりで正気に戻る気配を感じさせない。
そうこうしている間にもリビングデッドの数はどんどん増えてきて、もはや蟻の這い出る隙間もないほどの厚さになっていた。
これではとても脱出など覚束ない。
「くっ……!」
じわじわとにじり寄ってくるリビングデッドにティオは剣を構えつつ、ちらと上を見た。
このまま背にしている家の屋根に飛び乗ってしまえば当面のリビングデッドの襲撃を凌ぐことは出来る。知能のないリビングデッドに上に登るという行為は出来ないからだ。
だが、それもティオだけならという話だ。
さすがのティオも、タオファを抱えて屋根に飛び乗るなんて行為は不可能に等しい。
ニースなら造作もないことなのだろうが、ニースとは先ほど置いてけぼりにしたっきりそのままだ。
普段は必要以上にベタベタ接してくるのに、こういう時に限って姿を見せてこない。
まあ、間違いなく先ほどまでのタオファへの扱いに対する不満からだろうが。
となると、するべきことは一つしかない。
「…やるしかないか」
ティオは茫然自失のタオファを抱え上げると、今にも襲い掛かってきそうなリビングデッドを牽制しつつしゃがみこむと、渾身の力を込めてそのまま勢い良く飛び跳ねた。
「でぇい!!」
ティオの鍛えあげられたしなやかな脚力は、そのまま二人を空中へと舞い上がらせた。
が、やはり屋根までは無理があり、後少しというところでティオの体は上昇するのを止めてしまった。
「!!」
やはり無理だったか!とティオは歯噛みしながらも、自分のすべき最低のことだけは忘れなかった。
すなわち
ティオは手に抱えたタオファを力一杯放り投げ、タオファはそのまま屋根へ無事落下していった。
「よし!」
タオファがリビングデッドの手の届かないところに行ったことにティオは心の中でガッツポーズをとった。
が、その代償としてティオは不安定な姿勢のまま地面に落下し、急いで体勢を立て直した時はすでに周り中をリビングデッドに取り囲まれていた。
「…こりゃ、だめかな?」
すでに最後の跳躍を許してくれる時間の余裕もなさそうで、ティオに残された手立ては出来る限り抵抗をしてリビングデッドを数体道連れにすることぐらいだった。
「しかたがないわね…。かかってきなさい…!」
- 664 :猟血の狩人:2011/04/02(土) 22:48:37.99 ID:CI2sfEAv
- 覚悟を決めたティオは大分くたびれている剣を二本構え、包囲を狭めてくるリビングデッドに突っ込もうと腰を低くかがめた。
そして、いざ突撃しようと地面を蹴った瞬間
「それっ……わぁぁっ!!」
ティオの体は突然空に浮き、そのままタオファが倒れている屋根へと吹っ飛んでいった。
その直後、ティオがそれまでいた壁際はリビングデッドによって埋め尽くされていた。まさに間一髪。
「あれ……」
一体何が起こったのか理解できないティオだったが、妙に引っ張られる襟首に気づいて振り向くと、後ろにはぶすーっと不機嫌そうに眉を顰めるニースがティオの襟を掴んでいた。
「ニース…」
「…本当バカだね、ティオちゃん。こんなやつを助けようとして自分が死にそうになるなんてさ」
ニースは相変わらず苦々しそうにタオファを睨んでいる。が、その眼には僅かな嘲りとほんの少しの憐憫が混じっていた。
「自分がするまでもなく勝手に壊れちゃって……。最後まで忌々しい奴だったね」
「ニース!助けてくれたのは素直に嬉しいけど、その言い方はあまりにも可哀相よ!!」
「だって、こいつと一緒にこんなところに来たから今こんなことになっているんだよ!下を見てみなよ!」
確かに、三人がいる屋根の下は夥しい数のリビングデッドに取り囲まれ、壁をガリガリと引っ掻く音や身の毛もよだつうなり声があちこちから聞こえてくる。
「こんな村に来ようとしないであのまま道を進んでいたら、少なくともここまでのピンチにはならなかったんだよ?!
それもこれも、全部こいつが悪いんだ!ティオちゃんが殺されそうになったのも、全部こいつのせいなんだ!!」
「うっ…」
ニースがビシッとタオファを指差した時、ティオは反論が出来なかった。
かなり悪意が篭っているとはいえ、ニースの言っていることも一理あるのだ。
だからと言ってそれを素直に認めることも出来ない。
自分達を助けてくれたタオファを悪く思えないというのもあるが、ニースの言い分があまりにも主観的過ぎてどうしても同意しかねてしまうのだ。
「だから言ったでしょ!こいつは危険な奴だって!経緯はどうあれ、実際そうなっているじゃない!
もし私が助けなかったら、ティオちゃんは今頃死体どもに食い殺されていたんだよ?!
だから、こんな奴放っといてさっさとここから逃げよう!あんな奴ら、すぐに全部バラバラにしてやるから!」
ニースとしては助けるのはティオだけでいい…、というか元々ティオ以外の人間にはなんの思いいれも持っていないから当然の発想なのだが、ティオにしてみたらここでタオファを見捨てるなんて真似が出来るはずもない。
「ダメよ!ここから逃げるなら、タオファさんも一緒にしないと…!」
そのあくまでもタオファを守ろうとするティオの態度にカチンときたのか、ニースはぶるぶると怒りで震え、口から牙を長く伸ばしながら
「……もう、ティオちゃんなんて知るもんか―――ッ!!」
と、大声で怒鳴った後大きく跳ね、闇の中へ消えていってしまった。
「ちょ、ニース!ニース――ッ!」
流石にニースに悪いと思ったか、ティオは大声でニースを呼び続けたが完全にへそを曲げたのかニースは返事も返してこない。
とはいえ、この程度の我がままはしょっちゅうあることなので
「…ま、暫く頭を冷やせばニースも冷静になるでしょ」
と、ティオは時間の経過に任せることにしてしまった。
続
- 665 :名無しさん@ピンキー:2011/04/02(土) 22:50:28.89 ID:CI2sfEAv
- 今日は以上です
某金星とかゼクスファクターに浮気したとかで間が大幅にあいてしまったことをご容赦ください
- 666 :名無しさん@ピンキー:2011/04/03(日) 04:05:43.36 ID:tZY5Pmbz
- GJ
まだどうなるか分からないな
先が楽しみだ
- 667 :名無しさん@ピンキー:2011/04/03(日) 14:40:13.19 ID:6hUdTvqY
- >>656
この前出た新作のストーリーモードかな
どのキャラのストーリーモードか教えてもらえる?
- 668 :名無しさん@ピンキー:2011/04/03(日) 15:22:55.13 ID:v22BDAWs
- >>667
656じゃないが初出は去年でた据え置き版BBCSのトゥルーエンド
一応、携帯機版にも同じストーリーあるよ
どっちも悪側に捕まったというよりは自分から悪側に付いたって感じ
ツバキはノエルに対する憎悪に付け込んで、ライチは自分の目的のため
その後の登場時にツバキだけ服装が黒くなった
装備が装備なので黒くなったのも理由はありそうだけど
- 669 :名無しさん@ピンキー:2011/04/03(日) 15:25:29.34 ID:17QZoMaQ
- SSに対する反応が淡々とし過ぎててあたし怖い
- 670 :名無しさん@ピンキー:2011/04/03(日) 15:38:06.68 ID:ImEagbse
- こんな状況でも投下してくれる作者さまには頭が上がらないわあ
GJ
- 671 :名無しさん@ピンキー:2011/04/03(日) 15:40:28.73 ID:tb7QNVoA
- やだ……
また荒れちゃいそうでこわい………
- 672 :名無しさん@ピンキー:2011/04/03(日) 15:45:09.37 ID:rlwfQPc7
- 全スルー
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