人気デュオ「ゆず」が2日、福岡・マリンメッセ福岡で東日本大震災により延期されていた全国アリーナツアーをスタートさせた。ツアー自体の中止も考えたそうだが、「僕たちにできることは、音楽を通して全国に歌を届けること」と決意。電力問題に配慮し、弾き語りパートを組み込むなど、大幅に内容を変更した。「最小でも最大限のライブ」を合言葉に熱唱し、1万2000人のファンと被災地復興を願った。
フィナーレに差し掛かり、北川悠仁(34)が「こうして当たり前のように歌えるのが、本当にありがたいことだと身に染みた」と涙を流した。「被災地で苦しんでいる方、亡くなられた方、全国で胸を痛めている方、皆さんの『平和』への願いと祈りを込め、この曲を贈ります」。時折、声を詰まらせながら「Hey和」を全身全霊で歌った。
震災発生時(11日)、2人は都内でツアーのリハーサル中だった。メディアを通じて悲惨な被害状況を知り、すぐに3月26日の福井公演の延期を決定。その後はスタッフとツアー開催の是非について、何度も話し合った。歌手として音楽を通じて何ができるのかを考え、たどり着いた答えは「今だからこそ、全国の皆さんに歌を届けたい」だった。
現在、東日本では電力不足の問題を抱えている。西日本での影響は少ないが、コンセプトを統一。照明やスクリーンなどのステージセットを最小限にし、ツアーに欠かせない電源車の使用を控えた。半年間かけて作り上げたライブ内容も大幅に変更。ストレートな思いを伝えるため、弾き語りパートを組み込んだ。「限られた中であっても、最大限のパフォーマンスをしたい」という思いから「最小でも最大限のライブ」を合言葉に決めた。
この日は開演前に黙とうがささげられた。「九州から全国に勇気を届けよう」という北川の呼びかけで「栄光の架橋」を大合唱。バンド演奏では「虹」を歌い、約2時間半のステージで魅了した。
5月3日に開催予定だった宮城公演(セキスイハイムスーパーアリーナ)は中止となった。「(近い将来)必ず仙台でライブをやりたい。(復興のために)できることをやっていきたい」と声をそろえた2人。この思いは、きっと被災地に届くはずだ。
◆映像&音源配信 売り上げを寄付 〇…この日、行われた「Hey和」のライブ映像とライブ音源が、それぞれ来週中にレコチョク、iTunesなどで緊急配信され、売り上げ全額を被災地への義援金として日本赤十字社に寄付する。また、平和への祈りを込めたツアーグッズのペンライトの売り上げの一部も、同社に寄付することを決めた。
[2011/4/3-06:03 スポーツ報知]