東日本大震災で、避難者が連れて行ったペットの生活を支える取り組みが新潟県で進んでいる。04年の中越地震、07年の中越沖地震の経験を生かし、同県と新潟市、県獣医師会、県動物愛護協会は「動物救済本部」を設置。ボランティア団体の新潟動物ネットワーク(NDN)と連携し、各避難所で飼い主にペット用品を提供したり、獣医師が健康相談に乗ったりしている。
約500人が避難する新潟市の西総合スポーツセンター。別棟の専用スペースには犬17匹、猫7匹が避難している。同本部が貸した飼育ケージは、寒さ対策として毛布や段ボールで覆っている。飼い主からペットの健康状態を聞いてカルテを作成していたNDNのボランティア、森井里花さん(39)は「中越沖地震の経験があり、避難所が開設されてすぐ動き出した」と話す。
いわき市のヘルパー、草野みつよさん(59)は雄の老犬「ライ」を連れている。自宅では同じ布団で寝ているが、避難先では車で寝かせる覚悟で行ったため、専用スペースがあることに驚いたという。「ペットフードも充実し、ライの体調もいい。感謝しきれません」と顔をほころばせた。
一方で、ペット用スペースを確保できない避難所もある。新潟市体育館では、犬や猫14匹が避難者が出入りする狭いロビーのケージに入っている。大型犬は車中で過ごさせ、飼い主が添い寝することもあるため、エコノミークラス症候群も懸念される。【黒田阿紗子】
毎日新聞 2011年3月23日 地方版