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ひたちなか湊線「廃線にはできない」 復旧へ社長ら意欲

2011年4月3日

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写真:地盤が崩れて、落ち込んだ線路を示す吉田千秋社長=ひたちなか市地盤が崩れて、落ち込んだ線路を示す吉田千秋社長=ひたちなか市

 レトロ列車が走るひたちなか市の第三セクター鉄道「ひたちなか海浜鉄道湊(みなと)線」が大震災で被災し、休業が続いている。富山県の三セク鉄道を立て直したアイデアマンを社長に迎え、赤字脱却の兆しが見え始めた矢先の試練。「このまま廃線にはできない」と関係者らが奮闘している。

 湊線はひたちなか市の勝田―阿字ケ浦間の14.3キロを結ぶ。北海道の炭鉱で使用されていた1962(昭和37)年製のディーゼル車などレトロな車両が現役で走る。

 3月11日の地震で、線路脇の池が決壊。盛り土が濁流で流され、約50メートルにわたって線路が釣り橋のように垂れ下がった。ほかにも線路が波打ったり、枕木がずれたりする被害があちこちで見つかった。

 湊線は1913(大正2)年に開業。約40年前の最盛期には年間350万人の利用者がいた。が、07年度は70万人に低迷。08年4月、ひたちなか市などが出資する三セク鉄道として再スタートした。

 その際、湊鉄道対策協議会が公募した社長に手を挙げたのが、富山県の三セク路面電車「万葉線」の再生に社員として手腕を発揮した吉田千秋さん(46)だ。

 吉田さんは次々と新機軸を打ち出す。新型車両を購入できない窮状を逆手に取り、「レトロ鉄道」としてPR。駅に住みついた黒猫のグッズを販売し、添乗員がコスプレした「メイドトレイン」を走らせ、全国に話題を呼んだ。

 09年度の利用者数は77万人に回復。10年度も地震がなければ80万人に到達する見込みだったという。復旧には少なくとも3カ月はかかり、工事費は約2億円と見積もられている。「国などの支援を見込んでも、厳しい」。アイデアマン社長も困惑ぎみだ。

 湊線を通じて、まちの活性化を目指す市民組織「おらが湊鐡道(みなとてつどう)応援団」の佐藤彦三郎団長(71)は「湊線がなければ高齢者や学生の交通手段がなくなる。町の活性化のためにも絶対に必要だ」と話す。メンバーは現在、線路を歩き、変わり果てた光景を写真に収めている。手作りの写真集にして沿線住民に回覧し、復興資金を募りたい考えだ。

 吉田社長は「この困難を乗り越えれば、全国の赤字路線にも希望を与えられる。気概を持って頑張りたい」と意欲見せる。(今直也)

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