円、戦後最高値16年ぶり更新 一時76円前半に急騰【ニューヨーク、シドニー共同】16日のニューヨーク外国為替市場で円相場は急騰し、1995年4月につけた戦後最高値(1ドル=79円75銭)を突破、約16年ぶりに最高値を更新した。円はさらに上昇、17日のシドニー市場で76円25銭をつけた。円高の急速な進行は輸出企業の採算悪化を招き、東日本大震災で打撃を受けた日本経済に追い打ちを掛ける恐れがある。 震災と福島第1原発事故で、日本の投資家が外貨建て資産を売るとの見方から、投機筋を巻き込み円買いが進んだ。世界経済の先行きに不透明感が高まり、米株式市場が急落したことも円買いに拍車を掛けた。 欧州時間の17日夜(日本時間18日朝)には先進7カ国(G7)の財務相・中央銀行総裁が電話協議を行う見通しで円相場も議題になるとみられる。市場では為替介入への警戒感が強まりそうだ。 16日は欧州連合(EU)幹部が原発事故について「事実上制御不能」と語ったと伝わり、ニューヨーク株式市場が下落幅を拡大。円買いドル売りが進み、最高値を更新すると一気に76円台まで進んだ。 ニューヨーク市場の午後5時現在は前日比1円13銭円高ドル安の1ドル=79円55~65銭。 最近の円相場は、震災に伴う特殊要因に左右されている面があり、日本経済の先行きへの不安が中長期的には円安を招くとの見方もある。市場関係者は「原発事故の収束のめどが立つまで不安定な相場が続きそうだ」と話した。 円相場は95年1月の阪神大震災後、最高値をつけた。その後日本の不良債権問題などで円安に振れたが、米国の金融危機で2008年ごろから円高傾向が強まった。日本政府は昨年9月に1ドル=82円台まで円高が進行したことを受けて、約6年半ぶりに為替介入を実施したが、円高の流れは変わらなかった。 【共同通信】
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