「WBC世界Sバンタム級タイトルマッチ」(8日、神戸ワールド記念ホール)
王者・西岡利晃(帝拳)が1日、挑戦者マウリシオ・ムニョス(アルゼンチン)との防衛戦に向けて東京・神楽坂の帝拳ジムで公開スパーリングを行い、試合当日に自作のTシャツを会場で販売し、売り上げの一部を東日本大震災の被災者に寄付することを明かした。Tシャツは赤と黒の2種類で、胸の部分に自身のニックネーム「Speed King」を記したもの。両拳に被災者への思いを込め、6度目の防衛を果たす。
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切実な表情で西岡は切り出した。「試合当日に自分で作ったTシャツを会場で売ります。赤と黒の2種類です。この売上金の一部を被災者に送りたいと思います」。チャリティーとして行われる3大トリプル戦に加え、個人でも被災者への支援を行う。
震災のあった3月11日は、ジムに行く途中に電車が停止し、練習を休まざるを得なかった。翌12日には帝拳ジムがジム近くのホテルを確保。以降、この日まで西岡は自宅に戻ることなくホテルからジムに通い、調整を続けている。
震災のため、急きょ会場が東京から神戸に変更になった。ただ兵庫県加古川市出身の西岡にとって神戸は地元。試合当日には家族をはじめとし、友人や関係者が多数、会場に駆けつけるという。地元での世界戦が、大きなモチベーションになっている。
V5戦から一貫して右ジャブを強化してきた。今回の相手は右構えで、サウスポーの西岡の左ストレートが有効となるが、それでも右ジャブにこだわる。「右ジャブは今回だけのものではない。より完璧に近づけるためのもの」と言い切る。
さまざまなアクシデントに遭いながらも、平常心を失っていない。「何があろうと、4月8日に試合があるという気持ちでやってきた。何も問題はない。いつも通りKOは狙わない。チャンスがあれば一気にいく」とクールな王者はマイペースを崩さなかった。
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