沖縄の実情を知ろうと購読することになった「沖縄タイムス」と「琉球新報」ですが、今回の大震災と原発事故についても、本土の新聞が報じない事実や観点が数多く掲載されています。その中でも「沖縄タイムス」（2011年3月22日）の「差別の構図」というシリーズのひとつとして掲載された新城郁夫氏の論説は特に注目に値すると思いました。
新城氏は、「脅威からの防衛」を存在理由とする軍隊が「災害という現実の脅威」に対して無力であるのはなぜかという理由について述べています。
「米軍であろうと自衛隊であろうと、これら軍隊は、国家と軍組織を守ることを目的とする純然たる暴力装置であって、災害時に国民を守るという主目的を甫から有していない。」
「その意味で、今回の大震災に当たって、米軍と自衛隊が後手後手にまわりほとんど無力と見えるのは、それが軍隊である限り当然で、これが災害支援を本務とする組織であれば、現在の軍事費の数千分の一で現状と比較にならない有効な支援が展開できたはずです。」
たしかに、災害支援には爆撃機もミサイルも、もちろん核兵器も必要ではありません。訓練も戦争を想定するのか災害を想定するのかではまったく違ってくるでしょう。
新城氏はさらに、「日米両政府が喧伝してきた（中国や北朝鮮の）脅威などどこに存在するのか。むしろ、原発や生活支援態勢の驚くべき脆弱さこそが私たちがさらされている脅威の本質ではないか。脅威は、この国家体制そのものというほうが、より正確であるように思える」という指摘をしています。
さらに、本土の新聞では指摘されていないことですが、あの「ゆすり」発言で更迭されたはずのメア氏が今回の対日支援の責任者に任命されているのです。新城氏は「この差別主義者が、大震災で被災した人たちの支援の要請を『ゆすり』と見なさないと誰が明言できるだろうか」と述べています。
「そもそも、私たち沖縄に生きる人間に日米軍事同盟というものの無意味さと恐ろしさを明確に認識させてくれたのがケビン・メア氏に他ならない。メア氏の唯一の功績は、身をもって占領者というものの愚劣さを私たちに示してくれた点に尽きる。」
新城氏はさらに、「日米同盟はそもそも同盟などではなく対米隷属という方が実情に近い」と述べ、この同盟の解消を主張しています。
私はこの新城氏の主張に共感を覚えますが、それにも増して、こうした見解をごく普通に掲載している沖縄の新聞に、本土の新聞との大きな差を感じました。(鈴)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-174892-storytopic-11.html
米軍が震災支援に乗り出すことに複雑、というよりも、危機を利用して「米軍」の存在感をアピールすることに対して怒りをぶちまけています。
自衛隊も米軍も、それが戦争用の軍隊ではなく災害対策に特化したレスキュー部隊であればもっと迅速で的確な支援態勢が組まれているのではないかと悔やまれます。
むしろ今回の事態は、日本の軍隊（自衛隊、米軍）の不要を明らかにしているのではないかと思います。