東京電力福島第一原子力発電所の2号機で、高濃度の放射性物質を含む水が、海沿いにある「ピット」と呼ばれる施設のひび割れた部分から海に流れ出ている問題で、東京電力は、この施設にコンクリートを流し込み、海への流出を防ぐ作業を進めていますが、水の量が多く、海への流出を止められない状態が続いています。
東京電力によりますと、2日午前9時半ごろ、2号機の海水を取り込む「取水口」の近くにある、電源ケーブルを納めるための「ピット」と呼ばれるコンクリート製の施設に、10センチから20センチほど水がたまっているのが見つかりました。ピットの水の表面では、1時間当たり1000ミリシーベルトを超える高い放射線量が測定され、東京電力は午後4時半前から、見つかったひび割れをコンクリートで埋めて水が流れ出るのを止める作業を進めています。ところが、ピットの中に流れ込む水の量が多く、ピットに流し込んだコンクリートが固まらず、午後11時の時点でも、海への流出を止められない状態が続いているということです。このため東京電力は、ピットより上流側に、水を吸収して膨張する「高分子ポリマー」という特殊な化学物質を流し込み、水の流れをせき止める対策を、3日朝から取り組むことにしています。2号機では、タービン建屋にたまった水から運転中の原子炉の水のおよそ10万倍という高い濃度の放射性物質が検出されているほか、タービン建屋の外にあるトレンチと呼ばれるトンネルにたまった水からも、高い濃度の放射性物質が検出されています。東京電力によりますと、汚染された水が見つかったトレンチは、電源ケーブル用の別のトレンチを経由して、2号機のピットとつながっているということです。ピットの中の水を調べたところ、運転中の原子炉の水のおよそ1万倍の濃度の放射性物質が検出され、東京電力は原子炉からの水が海に漏れ出すルートの1つとみて調べています。東京電力は、これまでの福島第一原発と福島第二原発の周辺に加えて、2日から新たに原発の沖合15キロ付近でも海水のサンプリング調査を行って、放射性物質による汚染状況を調べています。