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ニュースリリース

2011.03.25

【講演会内容】「放射線と私たちの健康との関係」(長崎大学大学院高村教授、山下教授講演・福島テルサ)

皆様方、このお話を聞いて、少しは放射線とはなにかということをご理解いただければと思います。ここ福島にあって、最も心配している事は環境中の放射性レベル、あるいは土壌の汚染レベル、もっというと野菜あるいは水、芋のレベルが安心、安全なのかどうかということだろうと思います。

もちろん、火元である原発の事故が終息しないことには、なんら将来の安全や安心をお話もすることはできません。私たちがなぜここに来たかというと「専門家の話はよくわからん」あるいは「数字が出てきたり、単位が出てくるとなんのことかさっぱりわからん」
「どの情報を信用していいかもわからん」わからんずくめ。わからんずくめで判断をして皆様方は行動をとったり、あるいは不安になったり不信感を持ったり、避難して逃げていくという、そういうふうな悪循環を是非絶ちたいということで、広島、長崎の経験を生かすべくここに来ました。

皆様方は原発で今、作業されている方々の被爆の量と、今ここに我々がいる被爆の量は全然違うということは感覚的にわかりますよね。火元に近ければ近いほど熱線として熱を浴びる、あるいは火傷をします。これが今の現状です。火元から遠いと火は当然、熱線も届かないし火の粉も降り注がない。もっと言うと火山が爆発したとします。火山が爆発した時、近くにいると火砕流が流れてくる、大きな岩石が飛んでくる。火の雨も降る。
危険です。5キロ、10キロ、20キロ、30キロ離れると火の粉も飛んでこん。飛んできたとしても灰になっている。そのように考えていただけるとこの事故の影響は、実は火元さえ抑えれば収まります。

しかし、未曾有のこの大惨事で、残念なことに、まったく予期しないことが次々に起こってきました。
私も国の原子力安全保安院の一人のメンバーですけれども、毎年、原発事故を想定して訓練します。シナリオありきの訓練です。そのシナリオは10キロゾーンで避難という想定でありました。
でも皆さん、今回の事故どうでしょうか?なんだか知らないうちに20キロ圏内が避難地域になってしまった。実は訓練では、まず危ないということがわかると、屋内退避をします。環境中に放射性物質が出ると、危ないから屋内に避難しなさいという判断がなされます。それでも危ないということになれば、当然、避難をするわけです。
避難すなわち安全なところへ逃げていくということが避難です。でも今回は10キロの場合、20キロ避難したにもかかわらず、今、20キロから30キロの間は屋内退避というふうなことばで、一般の住民は何のことかよくわからん。これは危険なのか危険じゃないのか、しかもマイクロシーベルトという単位が出てきて0.02という値がいつの間にか1になって2になって、20になって30になって、ま、そんな風にどんどん日ごとになんか悪くなっている。この福島市でも20マイクロシーベルトパーアワーと言っているぞと。これについて、枝野官房長官も、あるいは政府の出す声明も正しいんです。値は正しい。環境の汚染あるいは物理学的なデータは原子力安全保安院が出すデータは正しいんです。しかし、なにが足りないか。じゃあこれが健康に危険かどうかきちんと説明しうる、その説明のしかたがたりない。なぜたりないか。

誰もこんな経験をしたことがないからです。想定外のこの事件に対して専門家も自分の専門の分野のコメントを述べます。マスコミを通じてそうです。いろんな人がいろんなことを言うから全く違うことに聞こえる人もあるかもしれません。

私たちはそういうことをいやというほど過去の事例で経験してきました。今は非常事態ですからご心配が多いけれども、いずれこれは収まって、安全宣言がされて復興のいかづちをあげなくてはいけません。

しかし、今、その火中です。火の粉が降り注いでいるという火中で、これをどう考えるかということを、まず皆様方は念頭においてください。今、その火中にいる我々が予測をする、あるいは安心だ、安全だと発言することは、実は非常に勇気がいることであります。
「危ない、危険だ、最悪のシナリオを考える」ということは、これは、実は誰でもできるんです。しかし、今の現状を打破するためにどう考えるかという時に、今のデータを正直に読んで皆様に解釈してお伝えするというのが私たちの役割であります。

放射線の健康影響は大きく2つに分かれます。高村先生がおつしゃった外部被爆、外から放射線を浴びるというのを外部被爆といいます。私たちが20年来仕事をしているチェルノブイリでは内部被爆です。規模は違いますが、その様相がよく似ています。だから海外のメディアは心配をして、これは第二のチェルノブイリ型になる恐れがあるから、皆さん遠い所に避難しましょう、と自国の外国人の東京へのいわゆる入国を減らしたり、国外退去を勧告したりしているわけであります。

これも日本の情報が正しく海外に伝わっていないからであります。
一般の私たち20キロ、30キロ離れた人たちの放射線の被爆は何が問題かというと内部被爆であります。けっしてここにいる私たちは直接あの原発の放射線を受けません。これは明確です。10キロ、30キロに住む方はあそこの熱戦を感じることはありません。
唯一、大気中に放散された放射性の物質が飛んできてるんです。これを拡散といいます。風、あるいは温度あるいは地形によって、その飛び方は違います。同心円的に3キロ、5キロ、10キロ、30キロといっていますが、これはまったく意味がありません。

いいですか、20キロだから安全、30キロだから屋内退避、40キロだから安全、そういうものではないんです。

しかし、どこかで線引きはしないといけない。線引きは安全だといえるから線引きをするのであります。20キロを超えれば放射性降下物が降り注いで少々汚染しても全く健康に害がないから20キロあるいは30キロ屋内退避という、いま例が出されているんです。
しかし、残念なことに国もこれは困っています。なにが困っているか、屋内退避というのは次は避難なんです。じゃあ30キロ以降まで避難させるかという話になります。でもこの一週間その指令は全く出ません。これだけ原発がトラブルをおこして、最悪のシナリオだといいながら、じゃなぜ国は20キロから30キロの人を避難させないんでしょうか。
ここは知恵の絞り処です。今の現状は危険じゃないからです。だから避難させる必要がないんです。大気中の濃度はおそらく下がります。そして、食物中の汚染もこれは減ってなくなります。どうしてでしょうか。

物質は安定なものと不安定なものからなります。どのような元素も安定な元素と不安定な元素があります。不安定な元素は、安定になるために分裂をします。その時に放射線を出すんです。でも安定に近づくから放射線は出なくなります。これを半減期といいます。どんどん放射線の活性は減っていきます。エネルギーが強いほど減っていきます。大気圏中にです。今回の多くの放射線元素は放射性ヨウ素であります。

ヨウ素は半減期が8日間。8日間で半分になります。そして、その量も非常に少ないために大気圏中にあるものが体に入る確立は10分の1です。放射線ヨウ素というのは甲状腺ホルモンの原料です。甲状腺に取り込まれます。ワカメやコンブにたくさん入っているのと同じものです。その不安定な元素が、実は原子力から出ます。それを吸入して少しは甲状腺が被爆するかもしれません。

私はあえて「少し」といっているのは、今からお話するチルノブイリの事象と比較するためです。放射線はなぜ恐いかというとエネルギーだからですよ。紫外線で火傷をする人もいますね。紫外線、皆さん一生懸命に女性の方、特にお化粧のメーキングやあるいは紫外線防護に気をつかいます。ただ単に日焼けでけではなくて、欧米ではこれが皮膚癌の原因になるからです。じゃ、太陽でみんな癌になる?ならないですよ。放射線は紫外線と異なってエネルギーですから体にあたるとそれが細胞の遺伝子を壊すということで恐がります。だから、癌の治療に使うということにもなります。放射線はエネルギーとして一つ覚えてください。1ミリシーベルトの放射線を浴びると皆様方の細胞の遺伝子の1個に傷がつきます。簡単、100ミリシーベルト浴びると100個に傷がつきます。これもわかる。じゃあ浴びた線量に応じて傷が増える、これもわかる。みんな一様に遺伝子に傷がつきます。しかし、我々は生きています。生きている細胞はその遺伝子の傷を直します。
いいですか。1ミリシーベルト浴びた、でも翌日は治っている。これが人間の体です。
100ミリシーベルト浴びた、99個まで治した。でも1個間違えて治したかもしれない。この細胞が何十年もたって増えてきて癌の芽になるということを恐がって、今、皆さんが議論しているとを健康影響というふうに話をします。

まさにこれは確率論です。事実は1ミリシーベルト浴びると1個の遺伝子に傷がつく、
100ミリシーベルト浴びると100個つく。1回にですよ。じゃあ、いま問題になっている10マイクロシーベルト、50マイクロシーベルトという値はじつは傷がついたかどうかわからん。つかんのです。ここがミソです。にも関わらず新聞報道ではバックグラウンドの千倍とか1万倍とか話がでます。そのために、即、それが健康影響を及ぼすというふうに誤解されます。書いている新聞記者がよくわかっとらん。報道関係もよくわからないのに、我々専門家の意見をつまみ食いして記事を書きます。決して100%信用できるデータではない。コメントではないのですが、我々専門家も悪い。これを否定したり、あるいはきちんと反論してきませんでした。

私、あえて今回、皆様方の前に立って専門家として、できるだけわかりやすい話をしたいという思う理由は国民がこの原発事故を通じて、はじめて理科音痴が解消されるかなあと期待しているからです。皆さん福島県民は原発がここにあるので、よく放射線のことをご存知で、放射能のことも知っているかなと思ってたけれども何のことはない、みんな逃げ出している。出て行けといったら出て行ってしまった。おかしいという疑問の点をあげるためには理科音痴を日本国民みんな払拭する必要があります。
特に新聞記者はそうです。報道関係は、はじめて、今回、自分たちの科学的知識のなさに困惑しているはずです。付け焼き刃で記事を書いている。でもこれが大事なことです。勉強する。

福島の原発事故は日本国民全員に理科を覚えるチャンスを与えました。
シーベルト?、なに、ベクル?なんじゃこれは。そんなことから、実は私は是非皆様方にご理解いただきたいと思います。

熱があがったか、あがらんかは手でさわればわかるといいますけれども、体温計がいるでしよう。いいですか、体重が太ったか太らんかわからん?体重計がいるでしょう。数値化するということで放射線のレベルを知ることができます。スギ花粉が一杯飛んできた、どのくらいあるかわからんぞ。計れんもん。見えん。でもみんなアレルギーやアトピーになる。これに対して放射線は計れるというのは、これひとつの武器なんです。

いいですか。ということは計れるということはその数値を政府が正しく出してもそれを理解する国民、我々が正しく理解できなければなんのことはない。まったくの馬耳東風、猫に小判なんです。そういうふうにして、今、数値が独り歩きをして、ピンポン玉でメディアに躍らされています。これは由々しき事態。ですから私は皆様方にまず、単位のことでご心配をしないようにお話をします。

ミリシーベルトというのが、さっきいった1個の細胞に傷がつく、100ミリシーベルトが100個傷がつく。だから、今、原子力発電所の事故で決死の覚悟で働いている方は
250ミリシーベルトに安全基準が引き上げられたんです。100ミリシーベルトが1回
のその時の作業時間の被爆の線量が労働衛生上決められています。それを250というレベルで仕事を今彼らはしています。じゃあ、これで病気が起こるのか、癌になるのかというと、そうではありません。このレベルをまず覚えてください。100ミリシーベルト、250ミリシーベルト、我々日本人は年間約3.5ミリシーベルト一年間で被爆しています。

皆さん方全員そうです。私もそうです。だから年間、数個の傷は放射線のせいです。でもそれは心配いらないんです。どうしてか。病気はいいですか、今、この話は癌の話ですけれども、癌はいろんな原因でおこるんです。放射線以外、煙草、食生活あるいは遺伝的な背景、環境いろんなものでおこります。

100ミリシーベルト浴びると(例えば)100人のその生涯をずっと調査すると100人のうち1人癌がおこるかどうかという頻度です。100人が平均78歳としましょうか。生きて1人癌がおこるかどうかという、そういう確立の問題です。でも、まあ70も80も生きれば3分の1は癌で死んでおる。33人は癌で死んでいるうちの1人放射線のせいかどうかわからんという量の100ミリシーベルトでみんな議論しています、まず、そのレベルをご理解ください。

こんな高いところで放射線の傷害を議論している。でも実際はそれは1000分の1マイクロシーベルトの環境中の問題。体内に入るともっと低い。そういう問題の中で皆さん不安がっています。なぜ、不安がるか。論理的に今、私が数値で計れるという話をしました。なぜこわがるか。音もしない。臭いもしない。わからない。わからないものに対する不安は、漠然と、これは理性ではなく感性、感情で判断するんです。これが人間です。
私たちは科学の力でこの人類の発展と平和を築こうとしてきました。しかし、残念ながら原子力に関しては原爆という兵器の開発が先行しました。そのために原子力の平和利用という、原発は常に負のイメージを持って推進されてきました。科学に善し悪しはありません。しかし、科学には善悪は判断できないとしても事故はつきものです。科学の限界も当
然あります。

ヒューマンエラー、人のエラーも積み重なります。科学は単に原子力工学だけではありません。医学もそうです。あるいは経済学にしてもそうです。政治学もそうです、科学はありとあらゆる学問体系を含みます。その根幹は皆様方の持っている生き様、その哲学です。そして宗教学です。こういうものを全部含めたものが科学です。その科学が作り出した原子力発電所の過ち、事故を、じゃあ誰が清算し、誰がもとに戻すことができるのでしょうか。それは、やはり科学の過ちは科学でしかコントロールすることはできません。これは人間の性です。人間の守備範囲である自分たちが作り出したものに対しては自分たちで責任をとるという必要があります。

ミリシーベルトになったら、そのような生態、健康に影響ありますが、マイクロシーベルトではありません。だから私は大胆にも、心配いらんというふうなことを断定し、バッシングされるかもしれませんが、皆様方に、是非、このナイーブから安心と安全を再開ということでこの講演会を企画しています。

実は、昨日、いわき市に行ってきました。
びっくりしました。いわき市に行ったら。途中、スギ花粉が一杯飛んでいる。これは原子力のアレかなと思うくらいスギ花粉だらけ。行ったら、閑散として福島市で見るようなガソリンスタンドの長い列がない。人がおらん。これはどうなっているんだろうかと会場に入ると、ここ福島市にはあるいはこの地区の中通りと言うんでしょうか。まあ、皆さん紳士淑女ですね。いわき市に入ったら、第一声が「おい、いってこい」「市長帰れ」「帰るな」とそんな罵声が飛ぶところだったんです。これはまあ、どうして我々は吊るし上げにきたのか。きのう、いわき市で思いました。そしたら、私の友人の鈴木先生が、「いやあ、これは浜通りと中通りは人種・気質が違うんだ」と言っておられましたので、少しは安心しましたが・・・。

大切なことは科学の眼を持って新聞を読む、理科の知識がないのに、数値が独り歩きするから心配。(そこで)具体的に心配しないでいいという話をします。たとえば、この福島市は20マイクロシーベルトパーアワーというふうな値がしばらく続いたそうです。しかし、今は10マイクロシーベルト以下になっています。20マイクロシーベルトパーアワーというのは1時間にずっとそこにいると、20マイクロシーベルトの環境値にありつづけるという問題です。24倍すると1日約480マイクロシーベルト値がそこにあります。しかし、屋内にいると約10分の1の48マイクロシーベルトにしかなりません、1日の量は。体に入っていくのはその10分の1です。つまり100分の1しか体内中に入っていきません。
いいですか。そうすると数マイクロシーベルトを我々は1日に浴びるという計算になります。では、この浴びた内部被爆はずっと蓄積するんでしょうか。
せん。どうして。半減期があるからどんどん減っていく。放射線がここについてもずっとそこに残らないんです。
だから汚染という表現は体表面についたという汚染であって、ずっとペンキかそこで剥がれないということではありません。そこに、たとえ着いて洗わなくとも、実は半減期といって不安定な物質が安定になって、減っていきます。
じゃあ、そこにあればいつまでもその局所は被爆をするんじゃないかといいますが、圧倒的に量が少ないです。今日、雨が降っているから、ひょっとしたら放射性物質がついているかと思われるかもしれませんが、私は全然怖くありません。理由はもう新しい爆発がきていません。
今ここにある放射性物質は数日前の放射性物質がここに飛んできて、それが落ちて溜まっている。それだけの話です。

だからこれからは、いろんなところに盆地、あるいは農場あるいは牧草地、野菜畑、土壌にそういうものが降り注いでいますから、そこを計ればけっこう高い値がでるはずです。
じゃあ、それが即危険かというとまさに、今、私が話しをしたように、たとえ口にしてもそれは危険でありません。問題はその量をずっと1年間食べ続けたときに、トータルとしてどのくらいになるから、安全基準にそって、そうならないように制限をかけた、というのが暫定的な基準です。

いいですか。安全な値を決めるときにトータル1年間、どれだけ浴びたかということで安全基準を決めますが、これは1回それだけ浴びたと換算、おなじ状態と仮定して安全基準を作っています。微量を長期間受けるということを1回たくさんうけてたくさん細胞に傷がついていると同じ割合として、これは安全基準を設けています。

ここが一番、放射線の健康影響の重要な点です。放射線は入ったらずっと残っている。
それは大間違い。半減期で消えていく。洗い流される。拡散する。なぜそれが普通の日常のできごとかというと物質は不安定なものから安定なものに変わる。その時に出す放射線の力は、だから半減期とともになくなっていきます。

今、日本で一番、理科の知識が高いのは、ここの福島市の皆さんです。こんなことを話をされて、首をふってもっとわかったような感じでいらっしゃいますけども、何もわかっとらん、だいたい。それでいいんです。そんな何でもかんでもわかっていたら我々の商売あがったりですよね。
こんな話を一度でわかると皆さんはもう大学院卒業。単位をやります。わからんでいいんです。唯一お願いしたいのは、皆さんと我々、あるいは皆さんと県、あるいは国の信頼関係の絆を作るということです。

今回、何を信用していいか。
今、皆さん方が最も信頼できるデータは何かということです。
これは好むと好まざるに関わらず我々は日本国民です。戦争で敗れ、そして原子力産業を支え、今の復興を成し遂げたこの日本において、我々が少なくとも民主主義国家として信じなくていけないのは国の方針であり、国から出る情報です。
これをきちんとオーディット、監査して、正しいか正しくないかを説明する。実はその機関がわが国にはありません。中立的に国の出す情報を正しいか、正しくないかということを評価する機関がないんです。一方的な国より、一方的な反対、一方的な・・・、すなわちそこに恣意が入ったり、利益誘導の考え方が入るがために国民はなんとなく不信あるいは不安、疑いの眼を向けるわけです。

お墨付きがいるんですよ。水戸黄門が印籠を出すように、これは大丈夫だと、そういうふうな関係をこの福島原発を契機に日本は作り直す必要があります。残念なことにJCO(東海村の核燃料加工施設)の事故でも、チルノブイリの事故でも、それがなされてきませんでした。

これから福島という名前は世界中に知れ渡りました。福島、福島、福島、なんでも福島。
これはすごいですよ。もう、広島、長崎は負けた。福島の名前の方が世界に冠たる響きを持ちます。ピンチはチャンス。最大のチャンス。なにもしないのに福島は有名になっちゃったぞ。これを使わん手はない。何につかう。まず復興です。震災、津波で亡くなられた方々に本当に心からお悔やみ申し上げますし、この方々に対する対応と同時にいち早く原子力災害から復興する必要があります。

国の根幹を成すエネルギー政策の原子力はどうなるか。私にはわかりません。しかし、健康影響は微々たるものだと言えます。唯一、今、決死の覚悟で働いている方々の被爆線量、これを注意深く補償していく必要があります。ただ、一般の住民に対する不安はありません。しかしながら、それでも不安はある。誰に不安がある。女性、妊婦、乳幼児です。
次の世代を背負う子供たちに対し、私たちは責任があります。
だから、すべての放射線安全防護基準は赤ちゃんの被爆線量を基準に作られています。
いいですか。子供を守るために安定ヨウ素剤の投与、あるいは避難、退避ということの基準は作られています。大人は20歳を過ぎると放射線の感受性はほとんどありません。まあ、限りなくゼロです。大人は放射線に対し感受性がほとんどないということをまず覚えてください。そのくせ一番心配するのは大人。これは間違いです。特に男は大間違い。
我が身対して、自分はたばこを喫ったり酒を飲んだりしている。放射線よりはるかにリスクが高いのに。男はまず心配いらないんです。
守るべきは女性、おんな、こども、妊婦、乳幼児です。
もし、この状態が悪くなるとすれば、逃げるのは妊婦と子供でいいんです。
男は闘わなくっちゃ。復興に向けて、ここで福島県民として。
会津の白虎隊です。
そのくらいの覚悟があってしかるべきです。

放射線の影響は、実はニコニコ笑っている人にはきません。くよくよしている人にきます。これは明確な動物実験でわかっています。酒飲みの方が幸か不幸か放射線の影響が少ないんですね。けっして飲めということではありませんよ。
笑いが皆様方の放射線恐怖症を取り除きます。
でも、その笑いを学問的に科学的に説明しうるだけの情報の提供が、今、非常に少ないんです。

是非、今の私の話しを聞いて疑問がたくさんあると思いますからたくさん質問してください。これは講演でも講義でもないんです。皆様と私のチャッチボールなんですね。