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[26896] 【ネタ】ほむほむが弟子を取るようです(まどか☆マギカ×Fate)
Name: がちりん◆3f27867f ID:fad52275
Date: 2011/04/02 00:57
マギカの十話見て、徹夜の頭がなんとなく思いついた妄想です。
以下、注意点。

1 この話は良くある衛宮士郎の異世界転移ものです。
2 当然のように士郎が魔術を使います。
3 大まかな流れしか決まってませんので突如路線変更する可能性が高いです。
4 そんなわけで細かいところはつっこまんといてください、すんません
5 シリアス4、日常3、バトル2、恋愛もどき0.5、おっぱい1の割合でいくつもりです。

ではよろしくお願いいたします。




[26896] 第零話
Name: がちりん◆3f27867f ID:fad52275
Date: 2011/04/02 02:28
始まりは突然だった。衛宮士郎はその日友人に頼まれたストーブの修理をしていて帰るのが少し遅くなった。ここのところずっと士郎のいる町、冬木では肌寒い日が続いていた。そんなときに故障したストーブ。
少しでも早く直そうと、強すぎる責任感から士郎は放課後、暗くなってからも作業を続けた。

そしてその強すぎる責任感の所為で今、衛宮士郎は全身に緊張を奔らせて眼前の男、気だるげにされども殺気を込めるようにしてこちらを見る、血のように紅い長大な槍を構えた男に向き合わねばならなかった。

槍―――おそらくは日常を営む人々が小説やテレビでしか見聞きしないであろう、前時代的で人を殺すにはあまりにも過ぎた力を持つそれだ。男はその槍を、身長180センチはあるであろう男と比べてなお長い槍を、軽々と構えながら士郎に尋ねる。

「魔術師(メイガス)、お前、何も知らないな?」

尋ねたというよりは分かりきったことを確認するようであった。

士郎は魔術師だった。絵本に出てくるそれのように自然の理を司り超上の現象を起こす力の担い手だった。といっても士郎自身は幼少の頃に師であった養父を亡くしその後独学で魔術を学んだがために使える魔術は片手で数える程度しかない未熟な魔術師だった。だがそれでも士郎は魔術師だ。それは日常から外れた存在だということなのだ。

それを士郎自身も理解していたからこそ、士郎は目の前の男に対し極度なまでの警戒と戦慄を憶えていた。
魔術という日常から離れた異端に触れるがゆえに士郎には、男が、全身から視認できるのではと思わせる魔力を放ち、その溢れ出る魔力を漲らせ夜の学校で古の騎士のように決闘を行っていた男があまりにも規格外なのだということを理解していた。

理解していたからこそ士郎は、警戒したまま口を開いた。

「・・・あぁ、俺は何も知らない」

だから教えろ、士郎はそう言葉を続けた。

思わず男は笑みを浮かべる。士郎が言った教えろという言葉、そしてそれを言う士郎の目がそうさせた。見過ごせない、口よりも雄弁に義憤を抱いた目がそれを告げるのを見て男は、笑みを浮かべたのだ。魔術に身をおく自分以上に異端な男を、何も知らぬまま放っておくことは出来ないというのだ。男にしてみればそれは心地のいい返答だった。

もしここで、何も知らない自分を見逃せなどという下らない、そう、魔術師が言うにはあまりにも下らない妄言を口にしようものなら男の手にある槍は寸分違わず士郎を貫いていただろう。

「一つ聞かせろ。なんでお前は関わろうとする?一度はこの槍に貫かれ死したはずの身だろう。」

士郎は臆せずに応えた。

「俺は今日、あんたに殺された」

そう、士郎は死んだ。男ともう一人、蒼い鎧に身を包む男とは対象的に赤い鎧で身を固めた騎士との決闘を見てしまった士郎は、口封じのために男によって殺されたのだ。殺されたはずだった。
だが現実は違った。目を覚まして気がついたら槍に刺されたはずの身は、わずかな疼きとべっとりと制服についた血を残して元通りに戻っていた。その後家へと帰った士郎に男が襲い掛かり、魔術で強化した新聞の束でやり過ごすうちに、今のように男と向き合うような形になったのだ。

士郎はその目の前にいる自分を殺した男をにらむようにして言う。

「あんたは俺を目撃者だといって殺した。ならきっと、そういうのは俺だけじゃない、ほかにもっとたくさんの人が同じ目にあっているかもしれない、あうかもしれない。そのことを俺は見過ごせない」

だから聞いたのだ、今この町で何が起こっているのかを。

男は得心が就いたようにうなずいた。

「はっ、おめぇ相当のバカなんだな」

はたして口から出たのは罵倒だった。男は笑う。何て愚か者なのだ、と。死と直面したこの場面で自分のためではなく誰かのためだと言い張る士郎の気持ちのいいほどの愚かさに笑ったのだ。

だから―――。

「なっ、何だよ急っつ・・・!」

男はその端整な顔にあった緩んだ笑みを消し、殺気をみなぎらせた獣のように獰猛なそれこちらを見て、続けざまに、士郎にとって致命的な言葉を送る。

「いいぜ教えてやるよ」



―――俺から生き残れたならな。



そう言って男は鋭い殺気をぶつけられ立ち竦む士郎に槍を突き出す。心臓をねらい一直線に。

「ぐぅうう・・・!!」

とっさに士郎は新聞を自分の正中線に持ってくる。鋼鉄ほどの強度を持つ新聞で男の槍を迎え撃とうとするが、真紅の魔槍の前でそれはあまりにも脆弱だった。

まるで士郎ごと押しつぶすようにして放たれた槍。その勢いによって士郎は槍に刺されこそしなかったものの、士郎の手にあった鋼の強度を持つ新聞はくの字にひしゃげ、衝撃の強さに手が耐え切れず新聞を落としてしまった。

そのまま男は2メートル以上ある距離を瞬時につめ、士郎蹴り飛ばす。

「が・・・はッ!!」

自身の体にも強化の魔術を施していた士郎だが、地面に足を着け続けることを許されず吹き飛ばされる。
そのまま数メートル吹き飛ばされ土蔵の扉へと叩きつけられる。

それでも強化をしていたおかげか、それほどの勢いの蹴りを食らっても士郎は意識を失わずにいることができた。士郎は悲鳴を上げる身をかばうようにして這いずって土蔵へと逃げ込む。

男は淡々と逃げる士郎へ近づきながら言う。

「ハッ、大口叩くだけあって筋はいい。だが若すぎたな。とはいえ魔術師に斬り合いを望むべくもないが・・・」

土蔵に入り尻餅をつくようにして座り込んでいる士郎を見下ろしなら、哀れむように男は言う。

「惜しいな、本当に。お前みたいのをこんなところで死なすのは」

だが、と続け男は告げる。

「わりぃな坊主。今の飼い主(マスター)からの命令でな、死んでもらうぞ。」

そのまま槍を引きこみ、せめて苦しまぬよう、そして英霊たる自分と打ち合った士郎へ手向けるように男は全力で槍を放とうとした。

「・・・れは」

掠れた声が聞こえた。搾り出すようにしてでた声だった。

「・・・何だ?」

男はそれを士郎の最後の言葉だと思い槍を放つのを待った。



そしてそれが、士郎の命をつないだ。



「・・・おれ、は、俺は、まだ死ねないッ・・・!まだ、誰一人救えていないッ!まだ、だれも、守れてない・・・!!」



「だからッ!!」



刹那、士郎を中心に光の本流があふれ出す。

「ッ!!なんだ!?」

ここにきて男は初めて焦りを見せた。

さながら士郎を守るように光は奔る、淡い、それでいて優しい桜色の光は士郎を包み、そして光が弾けた。

「ッく・・・」

男はまばゆい光から逃れるように目を腕で覆う。一分かそれとも一時間か、どれほどの時が経ったかは分からいが忽然と光が消え辺りに夜の静寂が戻ってきた。
男は目を開き、そして目の前の光景に愕然とする。

「こいつは、一体・・・」

男の目の前にいたはずの士郎はいつの間にか消えていた。土蔵の入り口は一つしかなく士郎が逃げたとは考えられなかった。つまり士郎は、

「あの光が坊主を、連れていった?」

男はその仮説を口にしてすぐにかぶりを振った。

「ハッ、ありえねぇ」

口元を理解できない現状に対する苛立ちでゆがめる。

「あの坊主は魔術師だ、どうせトンズラこいたに決まってる」

そう自分に言い聞かせ男は土蔵に背を向けた。殺そうとした人間は消えた、なら自分の役目はもうないのだから。



男は二つ勘違いをした。

一つは士郎には、士郎の全身を包むほどの過剰な魔力で身を隠し『転移』という大魔術を行えるほどの技量も魔力もないということ。
もう一つは、光は士郎を守るために連れて行ったのではなく、戦いを強いる絶望的な運命に引きずり込んだのだということだ。






遠い遠い世界。
一人少女は空を仰ぐ。
曇天なそこは暗く暗く世界を包む。
右手に持った濁った輝きを放つ宝石を持って少女は倒れていた。
空を覆う曇天のように暗い瞳に残るのは、後悔の色だった。

(ごめんねほむらちゃん。わたし、約束破っちゃった)

少女は後悔していた。友の言葉を、想いを、最後の最後に裏切り、そしてこれから自分がすることに想いを馳せ後悔をしていた。

(なんで、なんだろうな。こんなことになんでなっちゃうんだろうな)

少女は誰かを守りたかった。何もできない自分が悔しくて、傷ついた友を見ていられなくて・・・。そこまで考え
て少女は哂った。

(なんだ・・・ただ、自己満足したいだけだったんだ)

守りたかった誰かを、大切な友達を守りたかったのではなく強い(ヨワイ)自分の幻想(ヨクボウ)を守りたかっただけではないか。そう少女は思ってしまった。
少女の持つ宝石の色がさらに濁り、少女は苦痛に呻く。少女からあふれ出す黒く変わってしまった魔力によって周囲が捻じ曲がっていく。終わりは近かった。



そして、奇跡は起こる。




少女の魔力によって世界は局所的に捻じ曲がり、同時に■美■むらも悪魔との契約で得たキセキを解放した。そのキセキは世界の理を歪める力。あまりにも強大なそれは、最強と称された少女の魔力と諮らずも相乗し、ほんの一瞬だが確かに奇跡を生んだ。

全てを諦めた少女の耳に届く、遠い遠い世界の声。生きたい、守りたい、救いたい。それは生への渇望で、そして今の少女には眩しかった。

まぶしさに暗く澱んだ瞳は焼かれる。

輝きに宝石の美しさを奪った汚れは消し飛ばされていく。

そして少女の折れそうな想い(ココロ)は思い出す。

(あぁ、なんだ・・・わたし)

あの時、悪魔との契約を飲んだそのときのことを。
自分は何もできない自分を呪って力を得た。それでもたしかに自分のは暁■ほ■■を、大切な自分の友達を守りたいと思ったのだ。その気持ちに間違いなど、ましてや嘘などなかったのだ。

「よか、ったぁ」

涙で、前がかすんだ。少女の頭の中にどこかで聴いた言葉が浮かんだ。

―――化け物は涙することができない。涙するのは人であるからだ。

自分はまだ、化け物ではない。友達が、『暁美ほむら』が守ってくれた自分はまだ化け物に心(オモイ)をくれてやってはいないのだ。

「なら・・・」

手を伸ばす。黒くくすんだ魔力は少女本来の誰もが見ほっとするような、そんな桜色を取り戻す。

「・・・お願い」

光が世界に広がっていく。最強の魔法少女である彼女の最後の魔法(キセキ)。

「世界を、」

色を取り戻した光と対照的に暗く沈んでいく少女と宝石。だが彼女の顔に浮かぶのは笑顔だった。

「みんなを」

それはきっと彼女に希望が見えたから。この誰もが運命に囚われたがんじがらめの世界の未来を、どうしようもないバッドエンドしかない世界を切り開くかすかな希望を見つけたからだった。

「ほむらちゃんを」

光は本流となって世界を貫く。少女は告げる。一縷の望みが、一途な思いが届くように、少女は自分を壊して手を伸ばす。

「救っ、て」

―――そして手は届いた。






こうして、衛宮士郎(キボウ)は遠い遠い世界の歪んだ運命に囚われることとなる。

ただ、優しい少女の願いをかなえるために。

衛宮士郎の戦いが始まる。

《あとがき》
注意で路線変更ありって書いたけど、どれぐらいかって言うと、地に足着いた理由づけがあったのに突如神やら悪魔やらが出てくる某推理漫画みたいな感じです。ちなみに作者は理緒が好きです。つかスパイラrゲフンゲフン、某推理漫画メッチャ好きです。


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