番組
放送日:2009年3月11日 夜9時
番組概要
第2次世界大戦後の混乱期、日本人の母親と外国人の父親との間に生まれ、社会から見放され差別された子ども達がいました。澤田美喜さんは、彼らを一手に引き取り、孤児院で育てました。卒業生達は様々な境遇の中、今も強く、固い“絆”で結ばれています。澤田さんの無償の愛を受け誕生した彼らの“絆”を番組は追いました。
コラム
- 制作局CP制作チーム 清水昇
- 血より濃い絆があることを、あなたは知っていますか?
日本人として、是非知ってほしい歴史的な出来事です。
インターネットでホームページを見るような世代の方たちは、この番組で取り上げた“エリザベスサンダースホーム”、そして“澤田美喜さん”という人を果たして知っているのだろうか?と、いうことで少し丁寧に書かせてもらいました。
“エリザベスサンダースホーム”と言うのは、第2次世界大戦後、外国人兵士と日本人女性との間に生まれた、いわゆる“混血”の子供たちのための孤児院です。
目の色、髪の色の違った子供達は、世間の好奇の目にさらされ、いじめられる毎日を送ったと言います。そんな子供達を集め、“エリザベスサンダースホーム”を作ったのが“澤田美喜さん”です。
澤田さんは、三菱財閥創始者の孫娘として生まれ、類まれなるバイタリティーで恵まれない子供達のために一生を捧げた女性です。「金持ちだから出来たのだろう」と、思う方もいるかもしれませんが、澤田さんがサンダースホームで育てた子供の数は、約1400人ということですから、その強い意志と行動力は推して知るべしことです。
前置きが長くなりましたが、番組は“エリザベスサンダースホーム”で育った子供たちの60年後を取材したものです。「生きることがつらい」と言い、サンダースホームに入所してきた子供達は、一体いまどうしているのか?追跡調査していきました。日本人として生まれた普通の子供に比べ、卒業生たちは子供の時だけでなく大人になっても苦労が絶えなかったようです。
しかし、取材をした彼らと会い感じたことは、一人一人が“非常に明るく、非常に前向き”に生きていることでした。ほとんどの人たちが、60歳を過ぎてもバリバリ仕事をしていました。そして、子供のころは味わえなかった“家族”を作っている人も多くいました。
そんな彼らが言っていた事で、とても印象に残った言葉があります。
“澤田さんがいたから、いま僕は生きているんだ。澤田さんがいなければ、僕はこの世にいないだろう”と・・・。
この番組は、テレビ東京の45周年記念プロジェクト“絆”のうちの1本として2009年3月に放送されました。“血より濃い絆”が世の中にはあるんだと、いうことに気づかされました。日本人が、今で言う“ハーフ”の子供たちを差別していた。それを、情熱を持って、命をかけて救った一人の女性がいた。約60年前の出来事ですが、いまを生きる私たちも、そんな出来事が日本にあった、という事を知った方がいいということを心から思いました。特に、10代、20代の若い人たちに是非見てもらいたい作品です。(了)