パラパラの音楽が鳴り響く中、金髪・ピアス・ジャージ姿の若者たちが、ガンを飛ばしながら入場する―――２００２年４月９日、浦和商業高校定時制の『夜の入学式』。
　この年入学した３８名のほとんどが、不登校経験者。
家庭内暴力、ひきこもり、度重なる非行、と様々な事情を抱えた生徒たちが集まった。
クラスでは幾度も、騒動が勃発することになる。

　ジャージに赤いハイヒール。金髪の〈サチコ〉が、授業中教師ににじり寄る。机をなぎ倒し、教室を飛び出した。問いかけにすぐ答えることが出来なかった寡黙な生徒に対し、教師が高飛車な態度を取ったことが許せなかった。担任の平野が事情を聞くと、〈サチコ〉は乱暴な行動をとった自分を悔いていた。うまく振る舞えない、でも自分の気持ちに嘘はつきたくない･･･。

６月、また事件が起きた。金髪グループの一人〈キム〉が逮捕されたのだ。恐喝・窃盗容疑で、少年院行きが確定。「学校でやり直しを」と願う担任・平野の働きかけで、〈キム〉は程なく復学した。そして〈サチコ〉と恋に落ちるが・・・。

　入学当初は全てを否定し、周囲に覚めた眼を向けていた生徒たちが、少しずつ夜の学校に居場所を感じ始める。つかの間の淡い恋、水商売の甘い罠･･･。
「あいつら、ギリギリの状況で頑張ってる」と担任の熱血教師・平野。
　
入学から２年、〈サチコ〉は否定されずにいられる居場所ができたことで徐々に安心し、自分の身を「学校」に預けるようになってゆく。
そして苦しみ抜いた末に、〈サチコ〉が見いだした希望とは･･･。

ストレートすぎる心・・・、上手く生きられず苦悩する、若者たちのリアルな葛藤を見つめる。