【カズから香川へ】 香川選手との初対戦に秘められた不思議な縁。
プロ26年目のシーズンが始まろうとしている。今年は例年より2週間ほど横浜FCのチーム練習の始動(1月12日)が早かったので、年明けからグアムで自主トレをしてきました。
今回はドルトムントの香川真司選手からの手紙。彼と最初に会ったのは、2008年のセレッソ大阪との試合だとばかり思っていたから、小学生の時、すでに一緒に写真まで撮っていたと知って、びっくりした。
確かあの時、僕は神戸の知人の家に遊びに行っていたんだ。阪神大震災の被害にあった地域の近くだったので、「子供たちを励ましてくれませんか」と頼まれて、小学校に出向くことになった。そこに、のちに日本代表の10番を背負うことになる香川真司少年がいたというわけだね。
僕も少年の頃、憧れの選手と一緒に写真を撮ってもらったことがある。彼の名はロベルト・リベリーノ。当時のセレソン随一のテクニシャンのエラシコ(リベリーノが得意としていたフェイント)を間近で見たときの衝撃は今でも鮮明に覚えている。今までテレビなどで見たどんなエラシコとも別次元の切れ味だった。
それにしても、わずか6歳だった少年と、同じプロサッカー選手として同じ舞台で戦うことになるなんて不思議なものだね。
実際に対戦した印象は「とにかくドリブラーだということ」。
初対戦の時のことは、きちんと覚えていますよ。当時、横浜FCで一緒にプレーしていた山田卓也が「香川はカズさんのことが大好きで、ユニフォームをほしがっていましたよ」って教えてくれた。
僕は正直なところ、香川選手のことはよく知らなかったんだけど、19歳の将来有望なプレイヤーだと評判だったので、あげようかな、ということになった。というよりも、香川選手に受け取ってもらったことになるのかな(笑)。ハーフタイムに渡したのは、後半で途中交代するかもしれなかったから。忘れないうちにあげておこうと思ったんでしょう。これまで、試合後に頼まれてユニフォームをあげたことは結構あったけど、事前にそうしようと決めて試合に臨んだのは、この時が初めてだったね。
実際に対戦した香川選手のプレーの印象は、とにかくドリブラーだということ。日本人にありがちな直線的な動きではなく、緩急とキレで勝負するタイプだな、と。ブラジルにも通じるラテン的なボールの持ち方で、アジリティを生かして、角度をどんどん変えて相手を欺きながら進んでいく。
その後も、対戦前のスカウティングで映像を何度か見たけど、セレッソ大阪のほとんどの得点には香川選手が絡んでいた。
ペナルティエリアの中であれだけドリブルで相手をかき回して、点をとれる選手はそうはいない。ブンデスリーガでプレーするようになって、ゴールに向かっていく意識はさらに高まったんじゃないかな。
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