物価対策に打つ手なし、企画財政部の苦悩

 尹増鉉・企画財政部(省に相当)長官にとって、もっともつらいのは物価だ。決して人手だけでは解決できない問題だからだ。

 尹長官は3月31日、国会民生対策特別委員会でも「政府は物価安定を最優先にしている」と物価安定に向けた決意を明らかにした。これに先立ち、同月9日には国会企画財政委員会で、物価高に対する責任を取れとの野党議員の指摘を受け「肩の荷を下ろしたい」と物価管理のつらさを吐露した。

 石油精製会社に対し、石油価格を引き下げるよう圧力もかけた。尹長官は同月15日、ソウル市瑞草区牛眠洞にあるセルフ式のガソリンスタンドを訪ねた。尹長官は自ら給油を行い「石油会社の価格決定プロセスが不透明だという話があふれており、消費者は利益がどこにいくのか知らない。ガソリンスタンドの経営者は(政府に)情報を提供してほしい」と呼び掛けた。そして、石油会社に石油価格を引き下げるよう求めた。

 実務担当者も同様だ。イ・ヨンジェ企画財政部物価政策課長は、早朝出勤、深夜帰宅を繰り返している。先月31日には午前1時に帰宅し、翌1日は午前8時に出勤した。1日は物価対策会議が開かれる日だった。イ課長は「統計庁がきょう発表した3月の消費者物価で、5という数字(5%)が出なくて安心した」と話した。市場では消費者物価上昇率が5%台に上昇するという予想もあったが、それが4.7%にとどまったからだ。それでも2年5カ月ぶりの高い値だった。

 物価安定を最大目標に掲げる韓国銀行の職員も悩みは同じだ。韓銀幹部のAさんは「既に物価(安定)目標の上限4%を3カ月越えており、当惑している」と話した。Aさんは妻に「金利も高くないのだから、何を心配しているのか」というと「そういう話は会社(韓銀)でしてよ。物価(上昇率)が2けたになりそうなのに、世の中の現実を知らないのね」と皮肉られたという。Aさんは「ニュージーランドでは、物価が目標値を外れた場合、中央銀行総裁が解任までされるという契約を政府と結ぶ。韓国も年末にその年の平均物価を集計し、物価(安定)目標を外れた場合、国民に理由を説明しなければならないが、今から心配だ」と話した。

方顕哲(パン・ヒョンチョル)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
関連記事
記事リスト

このページのトップに戻る