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統一地方選:急きょ「原発」も重点政策に

 道府県議選と政令市議選が告示された1日、与野党は統一地方選への取り組みを本格化した。都道県知事選が告示された3月24日は東日本大震災の影響で、多くの政党が選挙運動を自粛。大震災から3週間がたち、論戦が始まり、各党とも防災対策や原子力政策を急きょ重点政策に加えるなど、対応に追われている。

 社民党は1日、計画停電の見直しや脱原発社会の構築などを盛り込んだ統一選政策を新たに発表。今回の統一選では大震災を受けて、防災対策が主要テーマに急浮上。地方県連や候補者から「どう訴えればいいのか」などの問い合わせが相次ぎ、党本部は告示日当日になって、対応を迫られた。印刷が間に合わず、各地方県連にはファクスで政策を送ったという。

 地域住民に近い統一選だけに、候補者も防災や原発対策に無関心ではいられない。福島第1原発事故の影響でホウレンソウなどが出荷停止となった栃木県では、県議選候補者が防災服姿で「確実に放射線モニタリングを行って、農産物の安心を確保する」と有権者に訴えた。

 与野党とも震災復興や防災政策への取り組みをアピールしている。民主党の岡田克也幹事長は1日、国会内で「統一選は4年に1回の重要な機会だ。候補者には防災政策をしっかり訴えていただきたい」と強調。公明党の山口那津男代表も同日、埼玉県川口市で「震災から力強く立ち上がり、新しい安全、安心な日本をつくる決意で臨みたい」と表明した。

 自民党は3月28日に統一選重点政策に震災対策を加えた。当初、谷垣禎一総裁の笑顔をあしらったパンフレット写真も一転、毅然(きぜん)とした表情に変更。谷垣総裁は1日、被災地視察で訪れた岩手県庁で、記者団に対し「東北はもちろん、もう一度しっかりした地域を作っていくのが、統一選の一番のテーマではないか」と指摘した。

 共産党は福島第1原発事故について「推進してきた原子力行政による人災」と位置付け、原発の総点検や新増設の中止などを打ち出した。みんなの党も「復興と原発問題の解決策がメーンテーマ」(渡辺喜美代表)として、福島県で国会を一時開会する案を掲げている。【中山裕司、葛西大博】

毎日新聞 2011年4月1日 21時24分

 

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