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2011/04/01

KON356【原発事故~コミュニケーション不足が引き起こした人災】~大前研一ニュースの視点~

━ 世の中どうなってんの…?大前さん!! ━━━━━━━━━━━━━━━━
                                         
       大前研一 『 ニュースの視点 』
                               2011/4/1  #356
               発行部数170,688部(自社配信+まぐまぐ)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 おはようございます。
  ビジネス・ブレークスルー大学 オープンカレッジ
 問題解決力トレーニングプログラム担当の板倉です。
 
  「今週のニュースの視点」は、「原発事故」について
 大前研一が解説します。

 
INDEX ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 【1】今週の~大前研一ニュースの視点~
   『原発事故~コミュニケーション不足が引き起こした人災』
 
 【2】問題解決力トレーニングプログラムより 

   問題解決力を知る4+1の無料コンテンツ

 【3】ビジネス・ブレークスルーより

     ~YouTube動画第4弾UPのお知らせ~
  『原発だけではない。日本経済がメルトダウンの危機。
        大前研一分析! 家計と個人消費の現状』

 【4】クリックアンケートのお願い

 【5】あとがきに代えて
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

┏━■~大前研一ニュースの視点~
┃1┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛『原発事故~コミュニケーション不足が引き起こした人災』
 ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 
 農畜産物被害 野菜から放射性物質検出で摂取制限指示
 水道水汚染 水道水から放射性ヨウ素
 海水汚染 近くの海水から放射性物質
 -------------------------------------------------------------------
 ▼汚染についての政府の伝え方がパニックを引き起こした
 -------------------------------------------------------------------
 
 厚生労働省は23日、福島県など4県に対する一部農産物の出荷停止
 措置を踏まえ、宮城県など隣接する6県に対しても農畜産物の放射性
 物質検査を実施するよう指示しました。

 同日、茨城県内5市村の水道水から、乳児向けの暫定規制値(1キロ
 当たり100ベクレル)を超える放射性ヨウ素が相次いで検出されて
 います。

 また経済産業省原子力安全・保安院(NISA)は26日、東京電力福島
 第1原子力発電所の放水口付近の海水から、法定の濃度限度を約1250倍
 上回る放射性ヨウ素131が検出されたと発表しました。

 野菜、水道水、海水と相次ぐ汚染報道に、日本中が騒がしくなって
 しまいました。どうしてこのような事態が生じたのか?と考えてみると、
 やはり「すでに炉心溶融(メルトダウン)は起こっていたのだ」と
 判断するべきだと私は思います。

 こうした事態の中、政府の対応にはいくつかの「過ち」があったと
 私は見ています。まず「避難勧告が曖昧だったこと」です。

 例えば、私ならば次のように指示をします。

 ・現段階では原子炉の直近地域以外なら24時間~48時間ほどの帰宅
  なら安全
 ・長期的の避難になるので、引越しを覚悟して今必要に応じて帰宅して
  準備をして欲しい

 このように明確に伝えれば問題はなかったと思います。

 風評による問題も含めて、フードチェーンの被害が拡大していますが、
 これも要注意です。

 ロシアのチェルノブイリ原子力発電所事故の際にはフードチェーン被害
 は欧州全体に及びましたし、米国のスリーマイル島原子力発電所事故
 の後も被害は大きく広がりました。

 この点でも、日本政府の発表には問題があったと私は思います。
 「放射線量の説明」「出荷停止・制限」に言及し、「国民の皆さん注意
 してください」と言われてしまったら国民の不安感情は高まるだけ
 です。

 さらには、福島・茨城に対しては全面的に出荷停止を命じてしまいま
 した。これがさらにパニックに拍車をかけ、被害を拡大してしまった
 原因だと思います。

 国民の不安を煽らないためには次のポイントを説明すれば良かったの
 です。

 ・年間許容量を超える放射線がほうれん草から検出された
 ・ほうれん草を毎日1年間食べ続けると問題が出るかもしれない
 ・念のため、食べる前に水でよく洗うこと
 ・生産者は出荷ごとに検査を受けること
 ・検査の結果、特に数値が高い出荷ロットに関しては出荷を控える

 このように伝えていれば、スーパーからほうれん草やペットボトルの
 水がなくなってしまうというパニックは避けられたと思います。

 -------------------------------------------------------------------
 ▼ 問題が多い計画停電は人災だ
 -------------------------------------------------------------------

 今回の日本政府の対応の中で最大の過ちは、東京電力の「計画停電」
 を許可したことです。計画停電による経済的なダメージは、想定の
 範囲を超えていると私は感じています。そもそもピーク時の電力を
 抑えることができれば良いのに、「節電」と勘違いした「行き過ぎた
 自粛」が散見されます。

 交通機関は運行量を制限し、築地に行っても魚も野菜もなく、公共の
 建物を利用したコンサートなどは軒並み中止という始末です。関西
 方面にホテルを借りきって“疎開”する人も出ているようです。

 これらの中には本来必要のない「自粛」があります。それによって
 莫大な経済的な損失が生まれています。「これは東電が作り出した
 人災」だと私は声を大にして言いたいと思います。

 東電が正しく説明をして、ピーク時の電力量を下げるための施策を
 考えれば、乗りきれる事態です。私に言わせれば、朝早くから計画
 停電を実施しても意味はないですし、今のところ週末も節電の必要性
 は薄いはずです。

 この計画停電は今年の冬まで継続の見通しとのことですが、
 「全力」でこれを阻止する必要があると思います。

 試算すれば分かりますが、火力発電所の復旧や東西電力グリッドの
 結合などによって夏までに確保される電力を考慮すると、現状から
 最大で約25%程度の電力の削減を実現できれば良いのです。

 「サマータイム2時間」「事業所の操業曜日の平準化」「夏の甲子園
 中止」「大口料金のアップ」など、私は削減策をいくつも提案しました。

 このようなアイデアを広く募集して、可能なものから実現していけば
 良いと思います。それだけで「25%の電力削減」を実現することは
 可能でしょう。

 また政府は22日、東日本大震災の復興に向けた施策を統括的に担当
 する「復興庁」を設置する方針を固めたとのことですが、本当に必要
 なのは「省庁」ではなく「ビジョン」だと思います。

 阪神淡路大震災の後、神戸は復興しましたが、まさに「復興」しただけ
 であり、「新しい神戸の街」として生まれ変わってはいません。これは
 「復興」を目的としたためです。東北についても同じことが言えます。

 高台に設計する新しい街、これまでに類を見ないコンセプトの漁港
 など、新しいものを創る「ビジョン」があれば、今だからこそ色々
 なことが実現できるはずです。

 ぜひ「復興」にとどまらず、新しい「ビジョン」を持った人がリーダー
 として立ち上がって、新しい東北を創りだしてほしいと願っています。

  ==========================================================
  この大前研一のメッセージは3月27日にBBT757chで放映された  
  大前研一ライブの内容を抜粋・編集し、本メールマガジン向けに
  再構成しております。
  ==========================================================
 
-------------------------------------------------------------
 ▼ 今週の大前の視点はいかがでしたでしょうか。
-------------------------------------------------------------

 今回大前が取りあげているポイントの一つが伝え方、
 つまりコミュニケーションの問題。

 日に日に深刻さを増し、日本のみならず世界もその状況に一喜一憂
 している原発問題ですが、シリアスであればある程、またその影響力が
 強ければ強いほど、考えられたコミュニケーションが必要となります。

 真に伝えたいこと、相手に理解して欲しいことは何か?

 ここからコミュニケーションはスタートする必要があります。

 問題を発見し、解決策を考え、それを人に伝え組織として実行に移し、
 最終的に成果を出すのが問題解決力。

 コミュニケーションは、プログラムでも重要な要素として
 学んでいきます。


\◆/---------------------------------------------------
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┏━■ 問題解決力トレーニングプログラムより
┃2┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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 問題解決力トレーニングプログラムでは、問題解決力の魅力を
 知っていただくため4つのコンテンツをホームページ上に
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 是非ご覧ください。


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┏━■  ビジネス・ブレークスルーより
┃3┃ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┗━┛ YouTube動画UPのお知らせ

  『原発だけではない。日本経済がメルトダウンの危機。
        大前研一分析! 家計と個人消費の現状。』

――――――――――――――――――――――――――――――――

 東日本大震災の発生、その後の原子力発電所の事故と
 暗い出来事が続いていますが、それに対して我々日本人は、
 今必死に立ちあがろう、立て直そうとしています。

 しかしながら足元を見直せば、日本経済の状況は決して良いとは
 言えず、むしろ危機的な状況にあります。

 この復興の気運に水を差す気は毛頭ありません。
 ただしこの状況を冷静に受け止めた上で、新しい日本、
 21世紀の日本を、皆で真剣に考える必要があります。

 BBTではこの問題の解決の為に表題の 

  『原発だけではない。日本経済がメルトダウンの危機。
            大前研一分析! 家計と個人消費の現状。』

 の映像を公開することにいたしました。

 この映像は、大前研一の主宰する経営者勉強会の模様を収録したものです。
 通常は一般公開しておりませんが、日本経済の今を知る意味で
  必ず役に立つものと確信し、特別に皆さんにご覧いただけるように
  YouTubeにUPします。

 BBTは政治、経済、経営など我々のビジネス、生活に直結する題材を取り上げ、
 優良な映像や学習カリキュラムの開発に取り組んでいます。

 この映像を一つの参考に今後積極的な議論が生まれることを望みます。

 → http://www.youtube.com/watch?v=vDtbsQXrqAE


┏━┓
┃4┃ クリックアンケートにご協力お願いします
┗━┛ ―――――――――――――――――――――――――――
 
 今回の記事『原発事故~コミュニケーション不足が引き起こした人災』
   はいかがでしたか?
 下記の項目のうち、もっとも当てはまるもののURLをクリックしてください。
 
 a.大変参考になった
  ⇒ http://www.lt-empower.com/mag2/question/a.html
 b.参考になった
  ⇒ http://www.lt-empower.com/mag2/question/b.html
 c.やや参考になった
  ⇒ http://www.lt-empower.com/mag2/question/c.html
 d.あまり参考にならなかった
  ⇒ http://www.lt-empower.com/mag2/question/d.html
 
 ▽前回のクリックアンケート結果発表▽

 前号の記事『計画停電・復興資金
        ~一工夫で無理なく解決。政府はリーダシップを発揮せよ』

 アンケート結果は、下記の通りでした。
 
  大変参考になった …………… 68.92%
  参考になった ………………… 19.58%
  やや参考になった …………… 5.50%
  あまり参考にならなかった ……6.00%
 
 ご協力ありがとうございました。
 この結果は、今後のメルマガ作成の参考にしてまいります。


┏━┓
┃5┃ あとがき:カズのゴール
┗━┛ ―――――――――――――――――――――――――――

 今週火曜日にサッカー日本代表のチャリティーマッチが開催されました。

 この試合は日本代表が2:1でJリーグ選抜を下しましたが、
 話題になったのは終盤でのJリーグ代表、
  カズこと三浦知良選手のゴールです。

 日本代表監督のザッケローニ監督が試合後に
 「私はゴールを決められるのは嫌い です。
 しかし、ゴールを決められてうれしかったのは
  私のキャリアの中で初めてです」とコメントしたそうですが、
  それほど素晴らしいゴールでした。

 試合前に三浦選手は様々な事を考えたそうです。

 (日経新聞コラム)
 → http://www.nikkei.com/sports/column/article/g=96958A9C9381969AE0E6E2E2828DE0E6E2E1E0E2E3E3EBE5E29FE2E2;p=9694E3E0E2E6E0E2E3E2EAEAE2E2

 私もこのコラム読み、試合を観戦し、力をもらいました。


                                       (編集部へいち) 
――――――――――――――――――――――――――――――



 次号:2011年4月8日 配信予定
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