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きょうのコラム「時鐘」 2011年4月2日
「復興庁」をつくる案が出ている。関東大震災時の「帝都復興院」を参考に、総裁として手腕を発揮した後藤新平の功績も高く評価されている
一方で、復興へ組織を作っても「それをこなす人材は今の日本にいるのか」との声も強い。現状を見れば、その気がしないでもないが、いつの時代も初めから立派な人材がいた例はない。「時代が人をつくる」視点が大事ではないか 混沌(こんとん)とした時代の力が、人を磨き、鍛え、青年たちの志を高める。艱難汝(かんなんなんじ)を玉にす、ともいう。高杉晋作も坂本龍馬も「幕末に生まれなければただの人」との言葉もある。大正期の後藤新平を英雄視し過ぎて、今をおとしめては何も生まれない 苦難に挑む中で人は助けあい、痛みを分かち合う心を学び、大きくなる。敗戦の荒廃からの復興もそうだった。日本の歴史はその繰り返しではなかったか。この戦後最大の難局に、新しい日本人が育たないわけがない 昨日の入社・入庁式で各界に新人が登場した。厳しいスタートとなったが「復興元年」に巡り会ったのである。「最高の春」だったと言える日が来ることを信じたい。 |