「ただちに影響ない」の言葉こそ疑うべきと阪大名誉教授

2011年4月1日 07時00分

 福島第一原発事故の影響で、放射性物質による汚染が危惧されるなか、関東地方の水道水には放射性ヨウ素が検出された。その汚染は野菜や農作物にも及んでいる。

 枝野幸男官房長官は、現在検出されている数値であれば、水や野菜を摂取しても、「ただちに影響はない」とさかんに口にしている。官房長官のみならず専門家もたびたび口にするが、しかし、これこそ疑うべきだと、野村大成大阪大学名誉教授はいう。

「枝野官房長官や原子力安全・保安院による“ただちに健康に影響はない”というのは、事故のたびに国民を安心させるため使われる言葉。欺くための言葉に聞こえます。すぐわかる影響、すなわち急性障害への懸念は、これまでの事故例でも、現場の作業員や救援等で現場に立ち入り大量被曝(1000ミリシーベルト以上)したかたたちに限られます。住民にとって問題になってくるのは、“忘れたころにやってくる体内被曝”なんです」

 水や野菜など食物を介して体内に放射性物質がはいり込んで起こる体内被曝。放射性物質の中には種類により体内の特定の臓器に集中的に蓄積されるものもあり、摂取し続けることによって、長期間、体の中から放射線を浴び続けることになる。今回、検出された放射性ヨウ素もそのひとつだ。前出の野村名誉教授はこう説明する。

「セシウムは半減期が30年と長いですが、体外へと排出されやすいので、そこまで問題ではありません。住民、特に幼児にとって問題なのはヨウ素131という放射性物質。半減期は8日間と短いのですが、甲状腺に集中して集まってしまうので、子供の成長に最も重要な甲状腺の大量被曝につながります。成長期の子供にとってその危険性は無視できません。細胞分裂が盛んで、大人よりも放射線による影響を2~3倍も受けてしまうんです」

※女性セブン2011年4月14日号

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