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福島第一の揺れ、耐震設計の想定超える 2・3・5号機

2011年4月2日1時58分

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 東京電力は1日、東日本大震災で被災した福島第一原発で耐震設計による想定を上回る揺れを観測していたと発表した。同原発は2006年に改定された新耐震指針に基づき想定を1.6倍にかさ上げしたが、過小評価だった。新指針での想定を超えたのは全国で初めて。原発の地震対策が揺らいだことになり、他の原発への影響も必至だ。

 新指針は、阪神大震災後の知見を踏まえ28年ぶりに改定。これに沿って各電力会社は08年3月、既存原発の揺れの想定を大幅に引き上げた。東電は第一原発が想定する地下の揺れを引き上げ、さらに個別に3、5号機について安全性は確保されると報告。経済産業省原子力安全・保安院も妥当だと評価した。

 公表されたのは最下階の地震計のデータで、2号機が想定の438ガル(ガルは揺れの勢いを示す加速度の単位)に対して、1.25倍の550ガルを記録。5号機で548ガル(想定452ガル)、3号機でも507ガル(同441ガル)が観測された。

 新指針は「極めてまれで施設に大きな影響を与える地震動」を想定するよう求めている。東電は、今回の地震の規模に近いとみられている「貞観(じょうがん)地震」(869年)の揺れでも超えないと想定。超える場合もその確率は1万年から100万年に1回と評価していた。

 旧指針は、東北電力女川原発、北陸電力志賀原発、東電柏崎刈羽原発で相次ぎ想定を超えたため問題化。新指針を踏まえて各原発の安全性を再評価する作業が進められていた。今回の地震で、新指針による国の審査のあり方が問われることになる。

 原発の復旧作業では、東電は1日、放射性物質を含んだ粉じんの飛散を防ぐため敷地内で合成樹脂を散布する作業を始めた。乾くと膜のようになり半年から1年ほど飛散を防ぐ効果が期待できるという。米軍の船から敷地のタンクに向けた真水の補給も始まった。

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