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LNJ Logo (株)「大地」の解雇は不当〜地労委が救済命令
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News Item 20040831m1
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*レイバーネット日本メーリングリストより

(株)「大地」の行った解雇は不当労働行為!
     3年間の審議で東京地労委が命令

(株)大地の不当労働行為(組合つぶし)を断罪する労働委員会命令が下される。(株)大地は「違法だとされたらそれには従う」との自らの言葉通り、直ちに命令に従い争議を解決せよ。

 以前(2年半程前)、このメーリングリストで、「大地を守る会」の(株)大地が 労働組合つぶしを行っており、組合員の早川さん(パート)が解雇されているという 問題を提起しました。私は早川さんの解雇撤回闘争を支援する者です。

 それに対して当時、大地の浅野井取締役から「組合つぶしではない。正当な解雇 で、現在、東京都地方労働委員会にて審査されている」といった反論が流されたと思 います。

 そもそもこの地労委の不当労働行為救済申し立てというのは、解雇直後に大地が組 合に向かって「懲戒解雇が不当労働行為だというなら第三者機関の判断を仰げ。それ で違法だとされたらそれには従いますよ」と言い放ったのを受けて、組合が申立てを 行ったものです。去る8月25日、その地労委から命令が出されました。内容は、連帯 労働者組合の申立て事項を完全に認め、大地経営に対し、

1.解雇をなかったものとして、組合と協議の上、原職相当職に復帰させること。未 払い賃金(バックペイ)を支払うこと。

2.組合の争議解決要求書について、団体交渉に誠実に応じなければならない。

3.謝罪文の各センター門扉への10日間の掲示、

を命令しました。謝罪文の内容としては、解雇、団交拒否はもちろん、管理職・職制 らが組合に対して行った「警察を呼ぶぞ」「もうストは終わったのか。ずっとやれば いいじゃないか」「一対一でケリをつけることもできるんだからな」「組合関係者に 引き回されているようにもお見受けします(親へのメール)」などの言動や懲戒解雇 通告書の各事業所門扉への張り出し、という行為のそれぞれが不当労働行為(組合つ ぶし)であったと具体的に列記して謝罪する文書を各センター門扉へ掲示することを 命じました。組合の完全勝利命令と言えます。

命令の概略・要旨については東京都のホームページ
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2004/08/20e8p400.htm
で紹介されていますので、そちらもご覧ください。以下、簡単に引用して紹介しま す。

1 命令交付の経過

(1)当事者
 申立人 連帯労働者組合
 申立人 H(個人)
 被申立人 株式会社大地
(2)申立年月日 平成13年8月3日
(3)公益委員会議の合議 平成16年7月20日
(4)命令書交付日 平成16年8月25日

2 事件の概要

 会社は、店舗閉鎖に伴い、組合員のパートタイム社員を13年2月末日付けで解雇 (2月解雇)したが、組合が反対したため、この解雇を撤回して別事業所への就労を 命じ、これに従わない同人を同年6月12日付けで解雇(6月解雇)した。本件は、こ れら会社の行為が不利益取扱い及び支配介入に当たるか否か、また、団体交渉は尽く されたか否か、さらに、会社管理職等の言動が支配介入に当たるか否かが、それぞれ 争われた事案である。

3 主文の要旨

(1)会社は、Hに対する平成13年6月12日付解雇をなかったものとして取り扱わなけ ればならない。
1. Hを原職相当職に復帰させること。復帰先は、組合と協議し決定すること。
2. Hに対して13年3月1日から復帰するまでの間の賃金相当額を支払うこと。
(2)会社は、13年5月12日付争議解決要求書記載の4から8までの各項目について、 組合との団体交渉に誠実に応じなければならない。
(3)陳謝文の掲示
(4)履行報告

4 判断の要旨

(1)2月解雇について
 2月解雇にあたっての会社の対応、2月解雇に至るまでの労使関係を総合すると、 2月解雇は、Hの組合活動を嫌悪した会社が、同人の配転を充分に検討せず、組合員 Hを会社から排除することを狙ったものとみられるが、会社は、13年4月25日、この 解雇を撤回している。

(2)6月解雇について
 会社は、2月解雇に至る一連の手続等が不充分だったと認識し、Hの解雇撤回等を 表明し、3項目解決案の受入れのみを求めて5月30日の団体交渉に不誠実に対応し、 組合の発言を奇貨として団体交渉を打切り、それを根拠に受け入れないであろうこと を承知の上でHに重ねて就労命令を出したとみるのが自然である。そこには、Hを解 雇するため、形式的にでも手続を重ねて行くことを目的とした会社の作為性が窺え る。

 会社の3項目解決案は、Hにとっては勤務日・勤務地に係る労働条件の重大な変更 であるところ、従前、同人の就労再開、雇用契約更新、移籍等の労働条件の変更につ いては、団体交渉を経て協約を結び実現されてきた事実が認められるのであるから、 Hが団体交渉打切り直後の会社の戸田センターへの就労命令に直ちに従わなかったこ とには相当の理由があるというべきである。

 また、高円寺店閉鎖後も、2月解雇時以上に、組合がビラ配布等の活動を強化し、 労使の対立が深まっていったことが認められる。

 以上を総合すると、本件6月解雇は、それが懲戒解雇であるか普通解雇であるかは 格別、2月解雇の撤回によって、組合員Hを会社から排除することに挫折した会社 が、再度、所期の目的を達成すべく、受け入れないであろうことを承知の上で同人に 就労命令を出し、これに従わないことを口実にして行ったものと解するのが相当であ り、これは、Hの組合活動を嫌悪した会社が、組合員Hを会社から排除することを 狙った同人に対する不利益取扱いで、かつ、組合に対する支配介入に該当すると判断 せざるを得ない。

(3)団体交渉拒否について

 大地物産時代も含めて会社は、「事故に起因する諸問題」で20回、「労働条件等の 諸改善」で5回の団体交渉を重ね、それぞれ協定を締結して問題を解決するなど、一 定の誠意ある対応を行ったことが認められる。

 しかし、会社は、2月解雇を巡る団体交渉に不誠実に対応し、5月30日の争議解決 のための団体交渉にも、合意達成の意思のないことを明確にして不誠実に対応した。

 3項目解決案として示された戸田センター勤務は、Hにとっては労働条件の重大な 変更で、交渉の余地を残すものであり、また、8項目解決案(争議解決要求書)及び 争議解決要求書(2)の内容は、交渉に値しない事項であるとはいえない。  さらに、組合側の「じゃあ止めましょう。」との発言で団体交渉を打ち切ったこと は、その日の交渉打切理由とはなり得ても以降の交渉拒否の理由にはならず、その 後、組合が団体交渉を求めても会社が応じず、当委員会のあっせんに係る立会団交で も3項目解決案が会社の最終回答であるとし、以降の団体交渉に応じていないこと は、団体交渉応諾義務を尽くしたとはいえないから、団体交渉拒否に該当するといわ ざるを得ない。

(4)支配介入について

 2月解雇問題発生以降の一連の会社管理職等の言動は、組合の解雇撤回闘争との激 しい対立の中で行われたものであるが、組合のビラ配布等の態様は、利用者、社員、 関係者に対して解雇の不当性を訴えるものであり、本件争議が労働者の解雇に端を発 したものであることを考えると、「警察を呼ぶぞ。」などとする会社の対応は、正当 な組合活動が行われている限りにおいては、これに対する威嚇であり、「もうストは 終わったのか。・・・」などの発言は、感想を述べただけのものではなく組合活動に 対する挑発である。また、「一対一でケリをつける・・・」などの発言は、組合員と 身体がぶつかる形となった後に組合員らが集まってきた中で行われたことを割り引い ても、組合員に個人的報復をほのめかす行為である。

 また、会社が、「懲戒解雇に関する見解」を長期間、各センター門扉に掲示し続け たことは、社内に周知するとの限度を超えて組合員の懲罰を外部に公表することで、 Hに対する見せしめともなり、本件申立て後においても、管理職が、「組合関係者に 引き回されている・・・」との電子メールをHの父親に返送したことは、Hに影響力 を及ぼしうる行為である。

 したがって、これら、本件申立て後も続く一連の会社管理職等の言動は、組合の運 営・活動に対する支配介入に該当する。

と明確に組合つぶしだと言い切り、会社の主張をことごとく退けて厳しく断罪してい ます。

 不当労働行為救済申し立てから丸3年。そもそもこの命令というのは冒頭に述べた 通り会社が「第三者機関で違法だとされたらそれには従う」としてきたものです。ま た当初「地労委で勝つ絶対の自信を持っている」などと言って、その後もことあるご とに「地労委の判断に委ねている」と、地労委命令を自らの拠り所として藤田社長ら 大地経営は、団交を拒否し居直ってきました。審問で次々に会社の嘘が暴かれ、組合 つぶしの実態が明らかにされ、とうとう会社は最後には懲戒解雇の正当性すら主張で きずに「懲戒という名の普通解雇である」などと言い逃れるしかない状況で結審をし ました。それ以降、解雇は組合つぶしであるという敗北命令を予期した大地経営は、 それまでの三島浩司弁護士を解任し、今年に入り、経団連・経営法曹会議という組合 対策・組合つぶしのプロ集団の弁護団(何と13人)を新たに編成し、さらなる組合 つぶし攻撃を一挙に繰り出してきました。仮処分による情宣行動の禁圧攻撃、情宣行 動へ警察を導入し弾圧を図る、新たに地裁に「雇用不存在確認」訴訟を提訴する、そ して地労委命令対策の(命令回避を狙った)形式団交開催・・・等々。「戦争反対」 を唱える大地が、憲法9条破棄や武器輸出禁止三原則の撤廃を宣言する経団連に組合 つぶしを要請するまでに至り、なりふり構わない攻撃をかけてきているのが現状で す。まさに「21世紀を生き残るため、企業の経営管理手法を取り入れた組織改革を 行っている(藤田社長の経団連での講演)」というその実態が、多くのパートなどの 非正規労働者を安上がりに使い捨て、労働法を無視し、執拗なまでに組合をつぶすと いう労務政策なのです。大地経営は、今一度冷静になり、自らの言葉通り命令に従 い、直ちに争議を解決し、労務政策を改めるべきではないでしょうか。大地の浅野井 取締役、いかがですか?

 また、皆様からのご意見・反論などもお寄せください。(M)


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