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[26825] 鋼の棺桶【ロボットモノ】
Name: ヒロシキ◆fbfd4583 ID:6b326cfa
Date: 2011/04/01 20:27
 クリックしていただきありがとうございます。
最後まで読んでいただけたら幸いです。

初投稿なうえ、ミリタリーモノということで、そっちのファンの方々からすれば
☆SHINE★ボケナス♡
ってな感じですが、

HAHAHA、ださっ(プッ

という風に鼻で笑って下さって結構です。
用語…あんまりわかってないけど使いたかったんだふ……。

読んで…みて下さい。

ちなみに題材がハポン(日本)ですのでどうしても漢字の名前になります。
ゆえに実在しそうな名前になってしまい非常に不安です。

とりあえず実在の個人、団体とは一切関係ないモノにしようと努力しました。

実在してたらごめんなさい、ゆるして…。







プロローグ

起床のブザーが鳴り響く。


ここ数カ月で身体に組み込まれたルーチンが俺をたたき起す。

バタバタと身支度をし、廊下で部屋ごとに点呼、終了し次第外へGO。

10分も経てばグラウンドの集会場に全員が集まり、整列完了。

壇上に人が上がる。
胸にキラキラと勲章を飾った軍服の中年男。
瀬川中将…だったか。

「まず初めに、おめでとう。
諸君らは厳しい入隊訓練を乗り越えてきた。
そして本日、WLによる模擬戦・演習という最終試験が課せられる。
今まで培ってきた体・知・技の全てを動員し、素晴らしい結果を残してくれたまえ。
期待している。」

短い…!

いつもならフルコースなのに、今日は2分以内に終わった!
皆顔には出さないが同じ気持ちでいっぱいだろう。
瀬川五郎万歳!(本日限定)

ジーク・ゴロウ!(本日限定)ジーク・ゴロウ!(本日限定) ジーク・ゴロウ!(本日限定)

以下5行省略

はい、脳内国民はさておき、今は7月。
今日みたいな真夏日に2時間コースを喰らおうものなら即熱中症だ。
散っていった仲間たちも少なくない(死んでません、勝手に殺してはいけません)。
朝だっていうのにコンクリがじりじりと俺の身体を焼き続ける。

「解散!各自食堂にて朝食を摂れ!その後6:30よりミーティングルームに集合!!」

「篠田ぁ!!」

俺の名が呼ばれる。

「はっ、ハイ!!」

「復唱しろ!!」

「ハッ!各自食堂にて朝食!6:30よりミーティングルームに集合!」

「よし!」

毎度の鬼軍曹復唱指名タイムだ。
あの人軍曹じゃないんだけど…ここでは厳しい人=軍曹でとおっている。

この施設にいるWL候補生は約20人、周期的にそろそろ喰らうと思っていたが、実際指名されると慌ててしまう。

WLとはWeapon Luck の意、いわゆるモビル○ーツ、ヴァン○ァーだ、間違ってもA○みたいな鬼畜機動したりプライ○アーマーで攻撃弾いたりするバケモンではない。
(伏せ文字が多すぎるぜ)

WLはウェルと発音する。


こいつの候補生、結構つらいお。
全高10m程度の機体の中で座って戦うっていうのに初めは歩兵科と同じ訓練w。
全高10mなだけに機体の振動がパねぇ。

吐き気が止まらん。
最初乗った時は降りた直後にゲロッた。
“出る!!まだ出る!!”みたいな。

ここに志願したのは、小さいころからガンダ○に憧れていたのもあるが、やっぱつらい。
つっても後戻りできないこの地獄ww。

なんの話だったっけか………WLか。

確かどっかの技術者が開発して“武器掛け”、つまりWeapon Rack と名付けたらしいが、あまりにそのまんまで、ボタン一つで戦う、ゲーム感覚の戦闘になっちまうとかで現代戦の象徴とまで揶揄されたらしい、どっかのゴシップ記事が波を呼んだとかなんとか…。
で、“運”という文字に差し替えられた。

こっちのタマがあたるように。
あっちのタマが外れますように。
生きて帰れますように。

だったか?
とりあえず人間味ある名前を付け加えて、命を賭けていることを強調したらしい。

日本での、
“アソビじゃないんだぞ♡”
のA○B48のCMはあまりにも有名。
アレのせいで非難に拍車がかかったと言っても過言でないレベルだ。

正直俺ら現場にとっちゃどうでもいい。
や、確かに可愛い娘いるけど…。質を量でカバーするのはいかがなものかと…。

はい、サーセン、そっちじゃなかったスね。


話戻しましょ、「戻る」ボタン押されたら堪らんww。

モニターの向こうの戦闘に痛みが伴わないという考えそのものがおかしい気もするが、考え方は人それぞれなのだろう。

そんなこんなでずいぶんと批判されてきているが、
実際歩行重機の開発で、通常車両が進入できないところで救助活動ができるようになったりと、いいことも少なくない。

WLを導入するに当たって、自衛隊は軍じゃないからこんな兵器は必要ない、とかいろいろ揉めたようだ。

機関はディーゼルで特にガ○ダムみたいなヤバいもんは積んでないのに…。

そんなことしてたら周りの国が全部WL編成の機甲部隊作っちまったってんで慌て始める。
慌ててるうちに戦争、アフリカの独裁国家とアメリゴ・エギリル・ホランスその他をメインにした軍隊とがおっぱじめた。

もうヒドイヒドイ…戦場はWLの独壇場に近いと言っても過言ではなかった。
機動力こそ航空機に劣るものの、対地攻撃はもとより、対空攻撃能力もズバ抜けていた。
装備さえ変えれば戦艦すら一撃で沈めることもできる。

ハープーンミサイルでいいじゃん、と思ったアナタ!

今の時代ステルス装甲がはやっててミサイルの命中率がだだ下がりなう。
ロックオンそのものが難しい時代なのだ。

既存の兵器じゃろくに太刀打ちできん、ってんで即WL導入の流れができた。
で、気がついたら自衛隊が隊じゃなくて軍、自衛軍になったってオチだ。

WL運ぶには揚陸艦が必要だからねぇ…。
自衛隊のままじゃおおっぴらに配備できなかったんでしょ。

それに伴って階級もアメリゴと同じように小・中・大の尉官・佐官・将官に変更された、なんでって言われても…ねぇ、お偉方の考えることは分かりませんよ。

偉い人にしかわからんのです。

あ、無論核装備は禁じられてます。

そんなこんなで導入が遅れたせいでWLの基本性能は世界有数の最底辺。
ここの第3期生である俺らは1stシーズンと呼ばれるエリート(?)の仲間入りを果たしつつある。
あくまで日本限定のエリートだけどね。

「おいマコト、何一人でブツブツ言ってんだ?さっさと飯行くぞ。」

「んお、すまん、なんか話さずにはいられなかったんだ。」

「アホか、雄二も健太も行っちまったぞ。」

橋本龍一郎、俺のルームメイトだ。
目の前にいるリュウは健康的な日焼けが目を引くマッスルガイ。

俺がブツブツ痛いこと言ってても見捨てないでくれるいい奴。

よく俺とつるむせいかマッソー&モヤシで呼称される。
別に俺がモヤシってわけじゃない。
やや小柄なだけなのに…。(156cm、十分小柄ですね)

高野雄二、小野田健太とも結構つるむんだけど、なぜか奴らにはあだ名がない。
ちなみに2人とも俺のルームメイト。
ちなみに2人とも俺より背が高い。

……ダンチだ。

何食ったらそんなデカクなんだてめぇら…くそぉ。

まぁリュウだけは俺を名前で呼んでくれるし、気の置けない大事な仲間よ。
小走りで、次第に近づく食堂から良いにおいがする。

「おばちゃん!今日の朝はなんだい!?」

勢いよく扉を開き、仲のいい食堂のおばちゃんに声をかける。

名前?知らん。
強いて言うなら“飯くれるおばちゃん”だ。

「おう!今日は特製サバ味噌だよ!これ食って今日の試験がんばんな!」

キタァァー―――――――!
サバ味噌!!
待ってました!!!

漁港が近いせいか魚がんまい!
ばあちゃんの味噌がたまらん!
コレが唯一の毎日の楽しみですよ、ホント。

昼はレーションでゲロマズだし、へたすりゃ訓練で夜もレーションだし。
(ほぼ)毎回あったかい飯食えるのは朝だけです。(ウルウル

速攻トレーにご飯・サバ味噌・味噌汁・キュウリのぬか漬けを取り、雄二の隣に着く。
言うまでもなく飯は大盛りだ。

早食いと大食いならば負けん。

リュウが向かいの健太の横に座る。
この4人が部隊員なうえにルームメイト、なもんだから気がつきゃ結構仲良しになってた。
共同訓練もあったので他の部隊員とも面識が結構ある。
あんまり話す機会ないけどね。

ちなみに俺隊長…。


隊長だよ?ホント。
誰よりも小さいし誰よりも童顔だけどww。

「ところで聞いたか?今日の模擬戦の相手、正規軍の連中らしいぜ、しかも1期生!」

コップの麦茶を飲みほしながら雄二が話しかけてくる。
こういう情報を仕入れるのだけは訓練生随一だ。
困ったときや作戦内容で分からんことがあればコイツに聞きゃなんとかなる。

「1期生だと!?」

なぜか超反応したのは健太。
強化人間もびっくりの反応速度だ。

「1期生と言えば…伝説の嶋野桐栄中尉じゃないか!!」

「…誰?」×3

「知らんのか!!頭脳明晰、容姿端麗!!
WL操縦において彼女の右に出る者はいないという伝説の女性ぞ!!」

なるほど、2つ目だなポイントは。
俺、リュウ、雄二は目を会わせて頷く。
こういう情報を仕入れるのだけは訓練生随一だ。

…とゆうかこういうことだけに才能を使うやつは珍しいだろう。
そっち関係はこの変態に聞けばだいたいなんとかなる。

「とはいえ、気になるなソイツ。」

サバ味噌をほおばりながらリュウが口を開く。

「この施設の1期生は約15人、俺ら3期生は20人、模擬戦やるなら複数対複数。
となればかなりの数の1期生が駆りだされるとみて間違いないだろう。」

結構深刻な顔をしている。

「アレ?でもさ、
1期生1小隊に3期生が各小隊で何セットかに分けて模擬戦すればいけるんじゃねーか?」

飯をかっこみながら聞いてみる。

「バカ、よく考えろ、
そんなことしたらいくら1期生でも疲労がたまって正しく評価できないだろ?
それに、もしそうだとしても、
健太の言うことが正しけりゃその1小隊のなかに嶋野とやらが入る可能性は高い。」

だろ?とアイコンタクトをとられ、確かに、とうなずいた。
評価する側がカンタンに負けちまうような編成で来るとは思えん。
それだけ強い奴が模擬戦に入る可能性があるならマークしておきたい。

「なんにせよ、その女については調べた方がいいな。」

リュウは一番言いたかったことを言い切り、また食事に戻った。

「つってももう模擬戦まで半日もないぜ?」

雄二がもっともなことを言う。
確かに…。

「そのためにコイツがいるんだろ?」

また顔をあげて顎で指すしぐさをする。
リュウの顎の先には…。

「こいつかww。」×2

雄二と見事にハモった。
健太が音をたてて味噌汁をすすっている。

この変態なら…きっと。
当の本人は全く気付いていなかった。



本編 タイトル…変態よ、大志を抱け!!(嘘

朝食が終わり、俺たちはミーティングルームへと向かう。

「なぁ健、さっきの件頼むぜ。」

一応念押ししておく、コイツ忘れっぽいから(とゆうかさっき聞いてなかった気が…。

「ほえ?」

…。
……キサマw。

「嶋野のことだよ!そいつの戦闘データとか調達頼むぜ!」

「ああ、コレでいいか?」

そう差し出された1枚のメモリースティック(64GB)。
まさか64GB目いっぱい入ってるのか…!?

「こいつに全て入ってる、あとで見な。」

コイツ…。
本当はスゴイ奴なのかもしれない。
健太=変態の方程式を変える時が来たようだ。
今まで変態であるならば健太、健太であるならば変態、だったからな。

「俺は完ペキ主義なのさ、こっちのデータも全収録だぜ。」

そう言ってジェスチャーするはボンキュッボン。


……。
………そいや入隊時に身体測定があったな。
忘れもしない、俺のトラウマの諸悪の根源だ。


あの時の絶望を…俺は忘れない。
そしていつか…見返してやる日が来ることを信じている!!

ってまさか!!?

「…89…6……85…。」

コイツ…犯罪者だww。
いまにも鼻血出しそうな顔しやがって……。
ぽや~としながらなにやらぶつぶつ言っていた。

なんか無性に腹立つ…。

やはり変態は変態でしかないのか。

とりま、ほおっておくことにした。

世界の常識はそうそう覆りはしないようだ。

もらった記憶媒体に使える情報が入っていることだけを祈ろう。


~1時間後~
「以上だ!」

佐々木勝男鬼軍曹のブリーフィングが終わる。
そばの、別小隊の奴が恒例の復唱をさせられている。
思ったとおり例の嶋野が入っている。
1期生の部隊は3個小隊、WLは計9機。
若干予想は外れたがまぁ問題なかろ。

それを演習場で20機の3期生と戦う。
3期生側が指定されたフラッグを一定時間死守すれば勝ちである。
こっちは1小隊4機の編成、それが5小隊、数でいえば倍以上の戦力差がある。

手渡されたのは、使用できる火器類のリスト、機体スペック、演習場の地形データ、それに仮想敵機の機種及びそのパイロットデータだ、残念ながら敵の布陣はわからない。
まぁ相手の編成がちっと分かってるだけでもめっけモンだろ。

中央に巨大なアメリゴ製陸戦艇の残骸があり、周囲を瓦礫の山が取り囲み、あちらこちらに障害物のポールが立っている。
WLの歩行にかなり支障が出そうだ。

今回は小隊個々の戦闘力だけではなくその連携も必要となっている。
かなり…厳しいかもしれない。
出撃まで、演習開始まであと3時間…。

まずは各小隊長とブリーフィングを開くべきだろう。




宿舎の一室を借りての作戦会議。
そこに第2小隊隊長である俺を始めとした、各隊長が集まった。
試験が試験なだけに皆真剣である。

プロジェクターで映しだされた演習場の立体図が俺たちの顔を暗くさせる。

「まずどう戦うかを決めたいと思う。」

真田第1小隊長が口を開く。

「守るか、攻めるか…ですよね。」

「そう、数ではこちらが勝っている、
フラッグがあるこの中心地点の周りを取り囲むのも手だ。
一方で、こちらの数が勝っているからこそ守りを残して索敵破壊を行うのも手だ。」

「守るのが無難なんじゃないか?日没までフラッグを死守すれば勝ちなんだ。」

第5小隊の奴の発言がなにか気になる。
そもそも20対9という時点でこちらが有利なわけだし、ゲリラ戦を挑まれやすい索敵破壊をするメリットはあんまりない気がする。

「いや、俺は攻めるべきだと思う。」

俺は素直にそう思った。
なぜ?と聞かれる前に理由を言う。

「2倍の戦力差があり、かつ目標がフラッグの死守である場合、
勝つことだけを考えるならその周囲を守るのがベストだと思う。
だけど、今回のこの数の差はそうさせるために仕組まれたことのように思える。
安直に守りに徹するのは危険じゃないか?
なにか、あちらに策がある気がする。」

むぅ、と皆が考え込み始める。

向こうの使用機体はわかるが使う兵装までは明らかになっていない。
フラッグ周辺に20機を配置すればかなりの密度になるのは目に見えている。
そこを一網打尽に攻撃されるかもしれないし、遠距離狙撃を喰らう恐れもある。

そこがなにか気になっていた…。


かといって約半々・8機と12機を索敵・守備に分けたとしても、練度で劣る3期生がほぼサシ状態で1期生に勝てるとは思えない。
いかに損害を少なく目標を達成するか、それによって俺たちの評価が変わる。

「わかった、確かにそうだな。
ただ守る戦闘はナシの方向で行こう、モヤシ、具体的にどうする?」

真田ぁ…。
でももうモヤシでとおってしまっているから何を言っても無駄なんだけど、納得いかねぇ。
一度決めたことはやりとおす完璧主義(?)な奴だが…あだ名でもそういう能力発揮しないで…。

ちくせう。
いつか見返してやるぜぃ~。

「そうだな、1小隊をフラッグの直援に回し、残りでフラッグをぐるりと囲むな。」

「待てよ、それじゃガチガチの守りじゃないか。」

まぁ待て、と他の小隊長を制する。

「ここからがミソだよ!次第に円を広げるように、残った4小隊16機でクリアリングを行うんだ、円周を広げれば広げる程間隔が広がってしまうが、左右との連携、背後との連携が一番取りやすいと思う、万が一抜けられても直援とクリアリングラインとで挟み撃ちにできるしな。」

「ふむ、いいなそれは、守るでもなく攻めるでもなく、中途半端さが気に入った。」

「モヤシのくせしてやるなぁ、完璧主義の真田が気に入ってるみたいだぜ!」

隣にいる第3小隊長に背中をバシバシされる。
いてぇバカ…。
自分の案が採用されるのはなんとなくうれしいもんだ。

「よし、あとは配置・兵装を決めるぞ!何が来るかわからんからな、まず配置だが…。」

真田…仕切り能力高くて助かるわ。
言いたいこと言えば汲んでくれるし…。
あ~、健からもらったあれも見ないとな。


~格納庫~
小隊長会議も済み、あとは搭乗待機となる。
作戦時間である11:30まであと1時間と30分。

俺たちが使う自衛軍の主力機、多摩型WL。
ぶっちゃけアメリゴ軍のおさがりだ。
訓練機としては申し分なく、性能もバランスがとれていて扱いやすい。
…ブースト性能はカスだが、ずっしりとした重量感が安心させてくれる。

乗ればわかる。

分厚い装甲板に囲まれたコクピットに座れば、ありき日のアカンボの時を思い出す。
一撃喰らえばお陀仏な動力炉のすぐ横にコクピットがあるってのに…不思議だ。

対する1期生機は日原型、俺らの多摩型を発展させた自衛軍独自のWLだ。

多摩型とは異なり装甲がかなり薄化しているのが特徴だが、それに応じて機動力がアップ、さらに追加ブースターの装備によって、短時間ではあるが飛行が可能である。
流石に飛んでライン突破はされないと思うが。
さらに頭部パーツも換装されていてセンサー類が充実している。
模擬戦では最悪の相手だ。

そんな情報を整理しながらもらったメモリーを眺める。
犯罪同然の行為で収録されたものなので他の隊の連中に見せるわけにはいかない。
お、フォルダでたでた。

戦闘データ、
演習場カメラモニター、
身体測定データ、
基地内監視カメラ、
…。
秘密データ…。

……最初の2つ以外が危険すぎるな。
基地監視カメラって…ハッキングしてまで映ってるシーン集めてんのかw。
秘密データってなんだ、ロックかかってるし。

まぁいいか…。
演習場カメラモニターは…と。

凄い。
嶋野桐栄の戦闘の全てのシーンがおさまっている。
毎回角度は変わるが、御愛嬌というやつだろう。
奴の魂が詰まっていると言っても過言ではない。

だが、凄い。
今度は嶋野の戦闘スタイルの方ね。
どうやら1期生同士の演習のようだが、左右へのステップ、機体に負担をかけないその着地技術、この機動を日原型でされるとやっかいだ。
目をやるたびに白い機体が軽やかに動き回る。

…。
……。

…!
基本的に射撃がメインとなりやすいWL戦で彼女はほぼ全てを接近戦で制している。
右・左のステップ後に突進、手甲のブレードソード(模擬戦用)で脚部を一閃。

だいたいこのパターンで敵機が沈んでいる。
シールド装備の機体も、とっさにボディユニットを防御してしまっていて脚が丸出しになっているようだ。

彼女…全ての演習で09式軽機関銃を使っている。
銃身が短く取り回しが良いだけのばら撒きマシンガン…。
彼女の射撃は牽制と考えていいようだな。

ちなみにナントカ式ってのは何年に開発されたかっていうのを表すモノで、09式は2009年に開発されたって意味でふ。

嶋野が狙うフットユニットは、WL乗りにとっては生命線でもある。

ちなみに脚部をやられた者は砲台としても戦えるが、被弾を避けられないため死に至りやすい、だから“脚やられ”は戦闘が治まるまでじっとしているのが普通だ。

いわゆる、WL乗りの暗黙の了解というやつだ。

しかし、何度見ても思う、
彼女は殺さずに戦闘力を奪う、そんな戦い方をしている。

それはさておき、なんとか癖を見つけることはできた。

作戦開始まであと30分。

「ブラボー1より各機、作戦の確認を行う!」

作戦中は第二小隊とか言い難いからブラボーとかで呼び合ってます、ハイ。
サイドモニターにリュウ・雄・健の3人の顔が映る。

「いいか、今回の作戦目標は全敵機の撃破だ。
チームアルファはフラッグ守備、ブラボー・チャーリー・デルタ・エコーの4小隊でフラッグを中心に展開、クリアリングを行う。我々の小隊は北部陸戦艇残骸近辺を担当するため、取り回しの良い11式突撃銃・小型シールド・ブレードナイフを装備する。
例の嶋野桐栄がくる可能性もある、コレの対策を今から伝えるからよく聞け!」

一瞬皆の顔が緊張する。

「やつの攻撃パターンは右・左・突進・脚部近接攻撃、だ!
攻撃時は姿勢を低く保ち、不用意に銃口をブレさせるな!それと、発見ししだい近隣の友軍機と連携を取れ、絶対に先行するんじゃないぞ!」

「了解!」

力強い返事が返ってくる。
健の顔アイコンだけが画面に残る。

「で、隊長、他の隊には言ったんですか?対策法。」

「言ってない、出所聞かれたら答えらんないもん、よくて除隊、へたすりゃ軍法会議だぜ?」

「デスヨネ。」

「全機通信ログ消しとけよ、00:00に本部にログ行くからなこの機体。」

「了解!!」

力強いです。
頼もしいっす。

さて、そろそろ移動する時刻だ。

「おーい、出撃だ!行ってこい!!」

外部マイクが声を拾う。

三崎整備長。
手を振っている、が恰幅がいいせいか(デブ)全身が揺れているようにも見える。

まさに毛玉海牛……。

なんか、しんそこウケルんだが…。

「ブラボーチーム出撃します!」

なんとか押さえこんで音頭を取る。

既に他のチームは出撃している。
演習場まであと数分、コクピットで上下に揺さぶられることになる。

俺、あんまり乗り物強くないんだよね。

正直搭乗関係の訓練が一番厳しかった。
だいぶ慣れてきたけど…。
無限の時間に感じられた移動もすぐ終わり、演習場の入り口を抜ける。

またしばらく上下にシェイクされながら予定ポイントへ向かう。

「アルファ1へ、こちらブラボー1、北部クリアリングラインに着いた。」

「了解した、他の隊が配置に着くまで待機しろ、演習開始まであと3分だ。」

了解、そう返事しつつ周りを見回す。
視界が悪い、残骸が多い、結構多い。
もらった地形データが古かったのか?
これじゃ目視は難しいな。
隠れられたりしたら発見は容易じゃない。

前にも言ったが現代戦ではステルス装甲・塗料が普及してきたために通常のレーダーがアテにならない。
こう金属片が多ければ磁気センサーもアウト。
最近の機体は冷却系・熱遮断塗装も充実しているからサーマルセンサーでの発見も難しい。
しかも実際の戦場なんて熱源だらけで更にアテにならん。

何に頼ればいいかっていうと…音響センサー。
10mクラスの機動兵器が無音で動くことは不可能だ、どの方向からどれくらいの大きさのモノが動いたかしかモニターに出てこないから曖昧だが、ないよりずっといい。
砲弾の着弾位置もだいたいわかるし。

あとは目視!
根性!!
GUTSだ!!!

「各員、センサーには目を光らせとけよ、模擬戦の開始だ!」

演習場の端にいる戦闘指揮車から信号弾が上がる。
あそこから各地点をモニターしてる。

「アルファ1より全機!クリアリングを開始せよ!僚機とスピードを合わせろよ!!」

「了解!」

真田の顔が一瞬表示され、また消える。

1歩、また1歩進む。
残骸の影、隙間ポールの後ろ、WLがいそうな場所を確認しつつ輪を広げていく。

「こちら異常なし!」

「こちらアルファ1よりブラボー1へ、
無線状況がそちらとだけ悪い、もういちど報告せよ!」

定期的にアルファチームに連絡を入れることになっているが…、
無線は出撃前にチェックしたはずだ。
となると…。

「こち…チー…エコー!敵…を補足!数…3、1個小隊…!」

左から爆音が聞こえる。

「ブラボー1了解!ブラボー4を増援に向かわせる。」
「こ…らデル……了解……ルタ2を…援に………せる。」

無線に本格的にノイズが入り始めた、やはり敵にはジャミング装備の機体がいるのか。
仮想敵機リストには装備までは書いてなかった。
とりあえず予定通り接敵した両隣から1機づつ援護に行くのは滞りないようだ。
これで西部は6対3に一応持ちこめた。
のこりの6機だ、問題は……。

「来た…!こ…ら…ームチャーリー!…機は…2、…、4…まだいる!…2個小隊だ!」

挟撃か!?
各小隊の機動力で撹乱をしてくると思ったが、単純に戦力を分けてきたか。
だが、まだ南北の6機、フラッグに3機残っている。
ほぼ2対1の戦況下で勝てると踏んだのか?

「こ……デルタ!東…ラインの支援…向…う………!」

もう無線機からは雑音しか聞こえない。
ジャミングの効果が強くなったのか…。

軍人として持ち場を離れるのは最悪の行為だが、このままココにいても仕方がない。
デルタの連中も同じ考えなのだろう。
東西に全敵機が確認された以上ここにとどまる必要はない…か。

「リュウ!雄!俺らも東の援護に回る!」

「了解!」

この至近距離なら通信は問題ないようだ。

「デル…より全…へ!敵……5……!6…じゃない!!ど…かに1機隠…てるぞ!!」

騒がしい無線機がかろうじて拾った一声。
何度も叫んで今にも枯れそうな声。

「なん…だと!?」

東は5機?
4機以上いたから2個小隊だと勘違いしたか…。
この瓦礫だらけの視界、責められはしないが……。

不意に純白の疾風が視界の端を通り過ぎていく。
同時に音響センサーが画面に線状の軌跡を残す。

「ぐあっ!こちらブラボー2雄二!脚部被弾アラート!損壊度レッド、継戦不能!」

なに!?
無論本当に破壊されたわけではない。
模擬弾・模擬ブレードが接触した個所とのコネクトを、模擬戦用プログラムが切っているのだ。

「リュウ!カバーしてくれ!」

白のカラーリング、奴か。

左手のシールドを投げ捨て、左腕格納式のブレードナイフを展開する。
東西の戦況は分からないが、この白い野郎(女だけど)以外は常識的な強さだ、なんとかなる(多分)。
各地で互角の戦いはできているはずだし、フラッグ地点の3機もいる。

「ここでお前を倒せれば、俺たちの勝ちだ!」

不意打ちさえ喰らわなければ望みはある。

機体を前に出す。
右腕の11式突撃銃が激しく硝煙を吹き、地面に黄色いペイントをなすりつけていく。
ペイントの波より一足早く純白の日原型が滑走し、後退、障害物の陰に隠れる。

「いいぞ距離を保てた!リュウは右からまわりこめ!一機で来たことを後悔させてやる!」

「わかった!」

激しいディーゼル機関の爆音が、走行の振動が、アサルトライフルの爆音と振動があいまって気持ち悪い。
軽い吐き気をもよおしながら足もとのペダルを踏み込む。

「近接して抑え込む!なんとか狙い撃ってくれ!」

背部の2基のノズルから真っ赤な炎と黒煙がたちあがり、
と同時にずんぐりした機体が飛ぶ。

狙うは敵機が逃げ込んだ残骸の向こう。
リュウがじきに射程におさめる、そこで足止めすれば相打ちででも倒せる自信がある。

「コッチが推進力ないからって、甘く見るなよ!!」

事実日原型と異なり、多摩型にはジャンプする能力しかない。
だが、推進剤をすべて使えばそれなりの飛翔も不可能じゃない、ノズルも着地も危険な状態になるが、なんとしても先制したい。

着地は気合でカバーする。

計器が激しく目盛りを振り、推進剤容量がみるみる減っていく。
下腹に強烈なGを感じ、赤く点灯する機内照明に目を細める。

ノズルが…もう……。

浮遊感。

入隊直後なら即グロッキークラスだが…まだ耐えられる。
噴射ノズルが溶けかけたようだ。
推進剤ももうわずか、自由落下するより道はない。

だが、それで十分だ。

白い機体がこちらを向く、気付かれたが…状況は大して変わるまい!!

右手の突撃銃でフラッグ側へ乱射する。
あちら側へ逃げられないようにすれば挟み撃ちにできる、と同時に左手のブレードナイフを重力に任せて突き下ろす。

気持ち悪い浮遊感にとどめが刺される。

着地と同時に大地がえぐれ、土ぼこりが盛大に巻き起こり、一瞬だけ煙幕代わりになった。
今ので一瞬奴の牽制射が当たりにくくはなったか。
ダメージパネルの脚部が赤く点灯し、俺の嘔吐レベルもレッドゾーンに突入している。

着地の直前に白い残像が右に流れていった。

外した…。
でも奴は俺とリュウ機の間に逃げた。

…勝てる。

「捉え…、マコト!!合わ…ろ…!」

リュウの声。

向こうも日原型を射程に入れたようだ。

「わかった!!だがコッチは着地の影響で脚が動かん!援護しかできんぞ!!」

「わかっ…るよ!無茶し…がって…!!」

膝をついた多摩型からペイント弾を吐き出させる。
胸部に設置された15ミリ弾だ。
本来牽制用だが、ペイント弾なら威力は関係ない。
かすればいい…。
ライフルの弾はもうほとんど残っていない、なのにやみくもに撃つわけにもいかんだろ。

日原型の方は…、
奴はどちらを先にかたずけるか決めていたようだ。
頭部のバイザーがこちらを向き、明るく光る。

障害物の地点を巧妙に渡り歩き、背を見せたリュウ機からの射撃をかわす。

「すま……!そ…ち…行っ……!」

こいつがジャミング源か…!
僚機との無線がみるみる聞きとりづらくなっていく。
だが…正直今となっては無線の有無は関係ない…。

リュウ機の射程を抜けて直進してくる日原型…。


焦る思い

焦るな、熱くなるな…。

落ち着け…奴の癖は見切ったんだ……。


サシ状態だからこそ奴は癖を出すはずだ…。

牽制の15ミリをばら撒き続ける。

無論あたるわけないが、なんとかあの癖モーションに入らせたい。

………あと30m

……来た!!

右ステップ、

左ステップ、

そして…、

「行け!根性みせやがれぇ!多摩ぁぁぁ!!!」

力の限りフットペダルを踏み込む
推進剤は残り4%、ノズルも半壊。

こっちが動けないと思い込んでいるアイツを…。

弱々しい光がノズルの奥から漏れだす。

「行けーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」

人生…根性あれば半分はなんとかなる。
多摩型(コイツ)もその半分に入ったらしい。

弱々しかった一筋の光が急激に増え、濁流となる。

それは一瞬で消え失せてしまったが、重い機体を前のめりにさせるには十分すぎた。

突進しブレードを構えようとしていた嶋野が一瞬怯む。
間合い取りが重要となる近接戦、それを崩したのだから当然ちゃ当然だ。

出し切っていないブレードをアサルトライフルで押さえこみ、体当たりをかます。

二転三転。

視界がぐるぐる回る。

装甲厚、重量では勝っている、日原型ではひとたまりもあるまい…。
こみ上げる吐き気を必死に飲み込む。

口中に広がる苦みを感じながらブレードナイフをヤツのコクピットに当てる。


今まで憎らしいくらい灯っていたバイザーの光が消えていく。
撃墜扱いになったようだ…。

「勝った…か?」

ジャミング機を無力化したおかげで周囲との無線も回復する。
どこも戦闘を終えたようだ。
無論損害はあるが負けはしていない。

「大丈夫か?お前乗り物よえぇクセに無理すんなよ…。」

心配したようにリュウ機が近寄ってくる。

「あんまり大ジョブじゃない…、ちょっちゲロッた……。つかあんま寄るな!吐き気が…振動が……。」

「だせぇな、相変わらず!俺もモヤシって呼ぼうかね。」

「それだけはマヂ勘弁してくれ…ウップ…」

思い出しゲロりそうになるのを必死にこらえる。

演習終了の信号弾も上がり、俺たちはめでたく作戦を終えた。

組み敷いていた日原の目に光がつく。


模擬戦終了と共に機体が動くようになったのだ。

健も雄も機体が動くようになるだろう。

「帰るかね、リュウ!」

「ああ!」

俺たちはめでたく基地へ戻れる。
夕飯はあったかい飯が食えそうだ。

エピローグ

「マコト…聞いたか?西部の奴ら迫撃砲装備してたんだってよ。」

「?それがどうかしたか?」

「つまりな、密集形態とってたら瞬殺されてたってことだよ!てめぇのおかげさ。」

格納庫から食堂までの道すがら、雄と話していた。
他の奴らとも話したかったが既に酒モード入りつつあって話にならんww。

「じゃあアレだな、今度何かで恩返せよ!てめぇ速攻即落ちだったんだし!」

「はいはい…わかったよ。」

さてさて、ここからは戦場という名のパラダイスさ…。



「おばちゃーーーーん!!夕飯なんだーい!?」

毎度のようにドアを強く開け放つ。

「来たか食欲魔人!今日は天ぷらだよ!皆の合格祝いよ!」

おおおおお。
粗末な皿に所狭しとイカ、エビ、キス、かぼちゃ、オクラ…、
むむ!?タマネギの天ぷらまで!!??

いいよ、分かってるよおばちゃん、サイコーだよ。
俺はあんたに一生付いて行くよw。

超高速で食い物をトレーに乗せる。

ダッシュでテーブルに向かうぜ!!

「わたしを堕としたのはお前か?」

俺の顔が陰に入った。

…。
……。
………。
へ?

デカイデカイ…。
170は超えてるよこのヒト…。

俺よりも頭一つ分でかい女が目の前に立つ。

「もう一度聞く、お前か?わたしを堕としたのは…。」

「♡堕としただなんて♡…♡きゃ…」

斜め後ろにいた健の声が、轟音とともにかき消える。

パンチが見えなかった…(汗

汗が…汗がヤバい……。

滅多なこと言ったら消される…!

「そ…それが、どどどどうかしましたか?」

今にもジャンピング土下座ゑ門しそうな足腰をいさめながら言葉を返す。
凄く綺麗なヒトなんだけど…気迫が…ヤヴぁい。

「どうということはない、共に食事をと思ってな。」

むぉ?
これは…!?

「いわゆるツンデ…」

眼前に拳が迫る。

きぃやぁぁぁ……。

「レ?」

止まった…鼻先で触れるか触れないかのところで拳が止まっている。

「冗談ではない!」

「は…ハイ。」

「あちらのテラスへ行こう、此処は騒がしい…。」

「は…ハイ。」

後ろではリュウ達が呆然としている。
約1名は死亡している。

綺麗な花には棘があるというが…核弾頭搭載型とは聞いてないぜ…。

関わるのはこれっきりにしたい…。

それが俺の切実なる願いだった。



だが数日後、その思いは砕かれ、共に戦地を巡ることになる。
この安らかなゆりかごが、鋼鉄の棺桶だったということを思い知らされた。







今にして思えば、あの頃が一番幸せだったのではないか…。
ただ与えられた任務・訓練をこなし、仲間たちとバカ騒ぎできたあの頃が……。


                        

                     Fin


ありがとうございますぅ~。
ここまで読んでくれたあなた!
多分10の指に入りますよ、確信してマス!

いかがでしたか、
”いかが”なだけに最後のメニューも烏賊でしたが……。





サーセン。
まぢサーセン。
もう調子こかないんでゆるして下さい。

完全に次回あります的な臭いプンプンしてますが、エピローグ使っちまったんでここで終了してます。

当たり前だ!!カスが!!

という以外の思いを秘めている方、どうぞ感想の方に…。
や、批判な方もどうぞどうぞ、的確な叩きは上達の1歩だと確信しております(多分。

また続き読みたいと思われた奇特な方、いましたら感想にでも”キボンヌ”(古いww)してください。

あ、作中主人公の名前がちゃんと出ませんでしたが、

篠田 まこと です。

名前は平仮名、真であり、誠であれ、ということですね。

聞いてねぇよそんなこと、というあなた!

ひらにスミマセン。


え~此度SS投稿掲示板に出馬しました、ヒロシキ、ヒロシキでございます~。SS投稿掲示版の明るい未来のため~、どうか~、どうか清き一票をお願いいたします~。











どこの政治家やねん!!??

という突っ込みをしてくれたアナタ!
才能あります。

その能力を大事にしてくださいー。

ではでは。

ほんにありがとうございますぅ。

※4/1 20:24 誤字等改訂




[26825] 鋼の棺桶 第2話
Name: ヒロシキ◆fbfd4583 ID:6b326cfa
Date: 2011/03/31 16:30
引き続き2話目となります。

第2話ページ見てるってことはある程度興味もってるってことッスよね!
信じていいっスよね!!

意外と根性出してみれば何とかなるモノで、ゴロ寝ゲームしながらでも1日で書き切れました。

前回適当に書いた、根性が世界の半分だ的な発言は間違ってはなかったのかとw。
感想版の方のおかげでしょうか。(嘘でも力湧きます


ハイ、
先に申し上げます。

ごめんなさい。

前作の流れで行くと完全にギャグ小説化しそうだったので、
最初ギャグ、
途中シリア…ス?(疑問形
〆ギャグ。
の構成にしました。

全然そうは見えないぞボケ!
と感じられた方、サーセン。

しかも今回おニュー装備のお披露目はありますが一切戦いません。
さらに正確には1.5話目というのが正しい位置づけになってます。
オマケに勢いで書いたので、見直してないです。じゃから「は?」的な部分も浮き彫りになってるかと存じます。

あと先の見通し考えて書いてませんので、更新が超遅くなると思います、
生温かい目で見守っていただけたら幸いです。







プロプロローグ

昨日の模擬戦から一夜あけた今日。
大部分の(元)訓練生が酒でダウンしている中、2小隊のメンツが会議室を占拠している。


「さて、今日皆に集まってもらったのは他でもない。」

俺、こと、篠田 まこと少尉(予定)の真剣味を帯びた口調に、第2小隊の面々が顔を見合わせる。






「実はコレ、前回で終わってたハズなんだwwww。」

気を利かせた照明が俺だけをスポットライトする。



「なん…だと!?」
「これだけ前回引っ張っといて!?終わり…!?」

机が強く叩かれ、雄二、健太が口々に文句を言う。


俺にとっても衝撃的な新事実だった。

即興で何かストーリー作ってはやめ、作ってはやめを繰り返していたあの野郎が…。
まさかここでもやっちまうとは…。



「終わりか…。」

「そうだ。」


腕を組み、深く腰掛けていたリュウが声を発する。



「イングリッシュではFin、イタリ―では……。」

「聞いてませんよ!!そんなこと!
わかりましたよ!ネタがないんでしょうあのバカは!!俺がネタになってやりますって!!!」

「まて健!!どこへ行く!!!??」


「お医者さんに~♪行きましょお~♪」


ちょ、コラ。
そんなショボイパクリしたら底の浅さが露呈するだけだろがww。
止める間もなく健太が飛びだす。

不味い、非常にマズイ……。

あいつのことだ、18禁モノにして固定層を引きこむつもりだ。
2話目にしてそんなことしたらどうなるか分かっているのか…アイツww。

どうするマコト…。
考えろ……何か手があるハズだ…。



「話は聞いたよ…、諸君。」

ドアの開く音。
謎のBGMと共に現れたその男は逆光でよく顔がわからん。

「誰だ!?」

少女漫画的なキラキラ感を全身に浴び、一人の(中年)男が廊下のバックライトに映える。
ビラビラした服まで着てるし。

…。
……。
………。

「あの、ドアあけっぱなしはやめてくれません?」

「すまんすまん。」


「コホン、では改めて…。」

シュババッ
最早擬音でしか表現できない動きを決める男。

「何を隠そう!!わたしはこの施設の所長!!」

謎の決めポーズを取る変態2号。

またもや気ぃ利かして照明が室内 全体 をパッと明るくする。




照明にまで見捨てられたか…所長……。
一応スポットしてやれよ室内センサーww。

最早登場シーンでコケているというのに…。
まぶしい笑顔を絶やさない……非常にイラつきます、中将殿。


沈黙。





しばし沈黙。







まだ(以下略。







「ショチョウダッチューノ♡」


「今それどころじゃないんですよ!!!!」

長い沈黙を突き破って雄が机を叩く。

あぁっ!
日頃おとなしい雄がブチギレ状態にww。
拳がわなわなしてる…ちょ、コレやべって。

確かに無駄に再現率高くてアレだったが…。
こんなことで怒ってたらこいつらの隊長務まらんしw。


しかし瀬川所長…並(のバカ)ではないww。



「HAHAHAHAHHA、話は聞いたと言っただろう!セガワイアーを舐めてもらっては困るな!!」

や、セガワイアーって、どうせドアに耳ひっつけてただけでしょww。

聞いたことがある(とゆうか昨日嶋野さんに聞いたし)。
この施設(ココ)には伝説のバカが住むと……。
まさか所長だったとは……。

「要はネタがあればいいのだろう!?あのバカ作者でも引っ張れるような!!」

ちょ、アンタどこ向いて誰に言ってんの…。
あんたよりバカなの居ないから、作者もここまでノリで書いて超後悔してるからw。

「そう!!先ほど救急の方から救助要請が来てな、シラフのお前らに出てもらおうと思ったんだ。」

イカン、このままではグズグズのギャグ小説に……ってえ?




プロローグ

出動命令が下り、俺たち第2小隊は各WLへ搭乗開始する。
バカ変態1号の姿が見えないが、まぁそのうちくるだろ。

「作戦の内容を説明する、救助目標は愛鷹山山道から転落した観光バス。
被害者は約25人、崖下がかなり入り組んでいて通常車両の進入には時間がかかる。また高い木々に囲まれた場所に転落したため救助ヘリも降下、接近できない。」

ヒュッと雄が口笛を吹く。

「誰が119番したんです?そんな山奥じゃ携帯も繋がらないのでは。」

「うむ、どうやら伝書鳩?的なもので連絡してきたようだ。」

モニターの向こうの所長が送られてきたであろう書類に目を通しながら顔をしかめる。
施設中が今日は休みだったからな、皆酒飲んで沈んでんだろ。
ご苦労様です所長。

「まぁこの世にゃ奇怪なこともあるからねぇ…。」

バカ2号を見つめる、無論鈍いので気付くはずもない。

「それはそうと、鳩で知らせてきたのならもう時間的に手遅れになっている可能性が高いと思いますが。」

まぁ、確かにそのとおりだ。
救助に行ったら全滅でしたは勘弁したいところだぜ。

「そこは問題ない、既に救急ヘリが上空待機している。
報告によれば、軽症の者が何名かおり、彼らに応急処置はさせたそうだ。危険な状態が続いているものの、早急に対処すれば助けられる者が多い、とのことだ。」

「了解!ならやりがいあるってもんです!」

人助け好きだからね、リュウは…。

「聞いての通り今回はキャリーヘリからの降下作戦だ、軟着陸できるようにマニュアル呼んどけよ!
ついでに、おまえたちには居住バックパックを持ってってもらう、オペバージョンだ。
ヘリでの輸送でも間に合わん者がいるようだ、事故現場で手術するらしい、ドクターは救助ヘリ内で待機している、着利後に降下するそうだ。」

「りょーかい!」

んな一度に言われてもなぁ…。
とりあえず居住バックパックとはWLの背中に背負う長距離行軍用の装備、寝床やら簡易コンロやらが一式詰まっている奴だ、1機でキャンプできると考えればいい。
で、オペVerってのが今回みたいな緊急災害時用の装備。
簡単に言えば簡易気密テントの中に病院の手術室が入ったようなモンだ。

「言い忘れてたが、貴様らの多摩型はスラスター性能が低いからな、臨時でプロペラントを付けるよう三崎整備長に頼んでおいた、一応問題ないはずだ、チェックしてくれ。」

そんな急ごしらえで駆りだすのかいww。
コンソールパネルを叩き機体の各部をチェックする。


特には…ないかな?


ちなみにキャリーヘリとは空を使ってWLを運搬するヘリコプター。
エイみたいな形をしていて、WLの両肩のラックとでくっつける、要はぶら下がってる感じ。
その気になれば上にも載せられるくらいペイロードと強度があるため、WL以外の運搬にも結構使われてる。

「ブラボーチーム、準備はいいか?」

「はっ!!」×2

ん?
かける2??
待てよ?
変態がまだ来てないのか。

「所長!変態の確保お願いしてもいいですか、今格納庫にいないようなので。」

所長のアイコンが画面に映し出される。

「わかった、小野田健太だね?」

「そうです、つい本当のこと言ってしまいました。」

仮(強調)にも所長の前でなんてことを…しまったぁ……。

「健太をお願いします、では我々は出撃します。」

「わかった、とりあえずもう1人シラフなやつが残っていたので出撃準備させたぞ、健太君の代わりに連れて行け。すでにキャリーヘリとドッキング完了し、滑走路に待機している。」

「はっ。」

シラフなやつ?
確か昨日飲んでなかったのって……。

「遅かったな。」

格納庫を出ると聞いた声が無線から出てくる。

「デスヨネ。」

出たよ、ツンデレデカ女。
てかこいつが今回は俺の隊に…?

無理無理。
ムリだって……。

「キミがちゃんと指揮んなさいよ♡」

所長の顔が一瞬出て消える。

あっのやろおおぉぉぉ……。
訳わかんねーよww。
階級あっちのが上なんだからアイツに指揮らせろよ…。

「をい!さっさとドッキングしろ!モタモタしてっと置いてくぞ!ガキ!」

ヘリのパイロットに怒られた…。

「すんません。」

よく見れば係留作業に入ってないのは俺だけ、リュウも雄もすでにドッキングし始めている。

気まずい、非常に気まずい。



超速で連結を完了させる。
俺…天才かも……。

「や、それはない、安心していい。」

「うっせーよリュウ!!ヒトの心読むんじゃねー、
あー、お待たせしました、ドッキング完了!」

「んじゃ、行くぜ!目的地までだいたい30分ってとこだな、それまで空の旅を楽しんでくれ。」

4機のキャリーヘリがそれぞれ荷物を抱えて大空へ飛び立つ。
サイドバイサイドの大型ヘリコプター、間に合うかな…?

目的の愛鷹山まで約数十km。

向こうに着いたらどうするか決めなきゃ、
軟着陸のマニュアルを読みこまなきゃ、
現地の救急隊との連絡を取り合わなきゃ、

……。
・・……・…・・・。

やることが多いが、もう俺は限界だ。
巨大ブランコが高速移動してるような感覚…。

む・……り………ゲ……・・・。

俺の意識はそこで途絶えた。


本編…新感覚!!恐怖の空中スプラッシュ!!!(しません

「お目覚めかい?モヤシ。」

あん?
ああ、ヘリコのあんちゃんか。
お前までモヤシ呼ばわりすんのかいw。

さては真田の根回しだな……。
ってかココどこ…?

「愛鷹山まで配達してやったぜ?あとは降下だけだ、さっさと準備しな、あちらさんもそう長くは飛んでられんからな。」

モニターにウィンドウが開き、救命ヘリの様子が映し出された。
確かに、そう何時間も滞空はできないからな。

「よし!降りるぞ!各機パージ準備!!」

気絶していたおかげで地獄の時間を過ごさずに済んだ、あとは降下中にスプラッシュしないよう気をつけるだけだ。

「了解。」×3

「こちらブラボー5、ブラボー1、軟着陸に不安があるならわたしの言うとおりにスラスターを吹かせ。」

「!了解、助かる。」

正直マニュアル1ページも読めてない……。
嶋野さんが女神に見えた一瞬だった。

「救命ヘリ!こちら沼津自衛軍パイロット養成施設、第2小隊隊長の篠田です。
これより降下を開始します。降下成功後、オペ用バックパックを開放致しますので降下地点確保後、降りてきて下さい!」


「こちら、ドクターヘリ、了解。
外科医2人、看護師2人、薬品コンテナを複数を運んできている、頼んだぞ!」

「了解。」

だいぶ積んできたようだな。
よく見りゃ機体にコンテナ係留してるし。

「降下開始5秒前、……3…2…1……、パージ!!」

頭上のラック解放レバーを下すと、前回とは比較にならない浮遊感が俺を襲う。

ブランコのったことのある男なら分かるだろう、なんか…キン○マがフライングしてるような感覚…。

「コレ耐えられるヤツ…バッカス……。」

降下開始。

かなり低空から降りるためパラシュートの類は付けていない。
あとは嶋野さん頼みダス。

「あと3秒でスラスターを徐々に吹かせ……今だ!」

「あいよ。」

自由落下する機体に制動がかかり始める。
例の気持ち悪さは下っぱらの痛みに変わっていき、毎度のように喉でせき止める。

プロペラントタンクの中身の減少に比例して、高度計の数値減少がどんどん穏やかになる。
落下した観光バス近辺の木々の枝葉をへし折りつつ降下。
流石にWLでも樹に正面衝突したら無事ではすまないが、その辺も考えて降下してきているから無問題(タブン。

「あとはヒザをクッションにしろ、それでずいぶん変わる!」

了解。

WLの脚が大地に沈む
ダメージパネルは一瞬、負荷を示すイエローになったが、今はグリーンに戻っている。

「各機、損傷はないか?」

「ありませんよ、むしろこっちが隊長に聞きたいくらいです。」

雄…ヒドイお……。

「酔いは大丈夫か?」

!!
嶋野…さん!?

「無我夢中だったらだいぶマトモだったよ、ちゅか…心配してくれてるのか?」

「違う!貴様がダウンすると面倒だからだ!!」

ツーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンデレ。

無線の切れた後の音がそう言ってる気がする。

「各機予定通り行くぞ!
ブラボー2,3はオペバックパックの展開、テントの準備!
俺とブラボー5は医療チーム降下予定地の露払いだ、かかれ!!」

「了解!!」×2

嶋野さん…返事してくれなくなっちゃたw。

いそいそと準備にかかる。
両腕に装備したブレードナイフで辺りの木々を切り倒し、降下地点を空ける。
嶋野機もブレードソードで伐採しまくっている。
無心だ…無心でやってるよあのヒト…(コワス。

コレ、ホントは対WL用のなんだけどねー。
つってもなんてこたない、ただのでかい金属ナイフだ。
ブレードナイフは約2m程度、ブレードソードは3m程度の刃渡りだ。
樹の幹にナイフを何度かブッ刺して、WLの両腕でへし折る。
あとはヘリコプターのローターにひっかかりそうなのを削っていく。

対WL戦の時は刺突して攻撃する。
いくら硬い金属ブレードでも同じ金属であるWL相手では効果が薄い。
ゆえに関節部や頭部、武器等を狙ってピンポイントで刺し込んで破壊するのが基本。
特にヒザ関節なんかはWLの全重量を支えているため、シャフトの1本でもヒビ入れさせたらもう、そのWLは戦闘不能だ。

そんなこんなでだいぶ掃除が出来上がる。

黙々とやれば早いんだね…。

切り株を引っこ抜くのはこのWLでも難しいため、できるだけ削って邪魔にならないようにした。

あとは誘導…。


うまくいけばいいが……。

「こちらブラボー5、隊長は下で負傷者の救出作業を手伝ってください、誘導はわたしがやります。」

「…了解。」

彼女の顔が表示されるが…、気迫が…なんかオーラがヤバい…。
美人じゃなきゃSound Only に設定したくなるほどw。

事故現場へWLを向かわせる、できるだけ振動を起こさないよう、ゆっくりと。

簡易手術室の準備ができたのか、リュウ、雄の2人も事故現場にいる。

「マコト!医療チームは来たか!?」

「リュウか、すぐ来る!!誰が一番ヤバいんだ!?」

コクピットからワイヤーで地上に降り立つ。

「この爺さんだ、なんでも数日前に頭ぶつけたらしいが、どうやら脳溢血らしい。」

あ?
脳溢血?
確かに外傷はあまりない、奇跡に近いレベルだ、これだけの事故で…。

「この事故が原因じゃねーのか?」

「わからんが…そのようだ、最悪のタイミングで発症したとしか思えん、早くしないと間に合わんぞ…。」

「わかった、とりあえず揺らさないように簡易手術室に運ぶぞ!他は!!?」

その老人を担架に乗せつつ、雄に聞いた。

「骨折、打撲・その他はいるが応急処置は完了した、あとはその人だけだ。」

「生き残ったのはそれだけか?」

「ああ……。」

そこにいたのはわずか5、6人、全員、応急処置で使う止血帯をどこかしらに巻いていた。
生き残ったのがこれだけいる時点で喜ぶべきなのだろうが…

「マコト!今はこっちを優先だ!行くぞ!!」

「あ、ああ。」

俺たちが簡易手術室に着くころには医療チームが万全の態勢で待っていた。

「あとは我々に任せてください。必ず、救ってみせますよ。」

「はっ、設備等不十分かもしれませんがよろしくお願いします。」

それとあの子、彼女に返してあげて下さい。



「伝書鳩?」

簡易オペ室の外、もう一つのテントの先に鳩がとまっている。

「ええ、鳩のおかげで上空と地上で対話できたのですよ、老人が一人脳溢血だというのも、彼女のほうから教えてくれましたし。
あの子(鳩)も人懐っこいですからやりやすかったですよ。」

なぬ…?
てこたぁだいぶアタマいいやつなのか…(当然です、でないとなれません。
医療にも精通しているたぁ感心だわ。
どんな奴なんだろ…。

とりあえず鳩に寄っていく。
ヘリコプターの中まで飛び込む勇者だ、ちったぁ丁重に迎えよう。

鳩と目が合う。





ぬ、ヤキトリ風情がメンチ切るとは…。

最早称賛の思いは飛んでいた。

「あ、隊長!」

「どうかしたか?雄。」

「実は…嶋野中尉の縁者だという方がいらっしゃるんですが…。
…いったい何やってるんです?鳩相手に睨み合って…。」

「気にするな、これは漢の戦いだ、
ってえ?縁者?嶋野さんの?」

「はい、それで、確認を本部と取ったところ……、どうやら休暇中の外交官だということで、即刻保護しろとの命令が下りました。」

「マヂ?」

「マジです。」

「わかった、わかったよ、隊長が責任もって保護しますよ。」

こういうとき一番面倒だ。
お偉いさん系の仕事は部隊の上の奴が相手せにゃならん。
まぁその外交官、どんな奴か興味はあったからいいんだが。

「雄!!ちょっち待った!あのヤキトリ、連れて来てくれ。」

捕まえようとしても逃げる逃げる。
飛んで逃げないのがますますむかつく。

………。

「はい、どうぞ。」

「もう捕まえたのか、早いな。」

「いえ、普通に手を出したら乗ってきてくれましたけど?」

んん?

試しに手を出す。

がぶ。

…。
……。
………。

落ち着け、落ち着くんだ。
相手はただのヤキトリ…もとい鳩だ。

寛大な心寛大な心寛大な心寛大な心寛大な心寛大な心寛大な心寛大な心寛大な心寛大な心
寛大な心寛大な心寛大な心寛大な心寛大な心寛大な心寛大な心寛大な心寛大な心寛大な心
寛大な心寛大な心寛大な心寛大な心寛大な心寛大な心寛大な心寛大な心寛大な心寛大な心
寛大な心寛大な心寛大な心寛大な心寛大な心寛大な心寛大な心寛大な心寛大な心寛大な心。

がぶがぶがぶがぶがぶがぶがぶ……。

「こんのヤキトリ野郎がぁぁぁぁぁぁ!!!
人間様なめるんじゃねぇぇぇぇぇぇぇえぇええーーーーーーーーー!!!!」

「ちょ、モヤシ!?やめろって、相手は鳥だぞ!落ち着けって!!」

普段おとなしい雄が取りみだし、ダチの時の口調になってまで俺を止めた。

「はー、はー、はー。」

いかん、取りみだしてしまった。
背後から両腕を押さえられ、やっと落ち着く。

「なぁ、キミ、あのおにーさんに付いてってあげてくれないか?
キミの主人の所に案内するからさ。」

見えた!
俺は確かに見た!!

奴の、
“チッ、しょうがねーナ”という顔が!!!

しかも超しぶしぶ肩まで上がってくるし!
相変わらずコッチガン見してくるし!!
近くで見るとコエ―よ鳩ww!!!

「はは、隊長もやっと懐かれましたね。」

おい雄…おまw、
どこをどうやったら懐かれてるって思えるの!?
アイツさっきからコッチ睨みながら首左右に振ってんだけど!

「それで、その子の飼い主、隊長のWL内で待っているようにと言っておきましたので、お願いします。」

「え?」

え?
いくら外交官だからって…WLに入れていいの?


見れば雄が ちょっちいい?的なしぐさをしている。

「つい先ほど、バス運転手の遺体を発見したのですが……。」

ふむふむ?

あと耳元で吐息はヤメレ。

「その…遺体がかろうじて原型をとどめている程度でしたので、分かりにくかったのですが…頭部に1発、銃創がありました。
ほぼ即死と思われます。」

な…!?

「そういうことですので…お願い致します。」

「わかった。雄たちは他のケガ人のケアにあたれ。」

了解、と軽く敬礼をして雄が立ち去る。

「暗殺…?」

外交官が休暇でココにいるとは思わなかった。
もし運転手の銃創が本物だとしたら、マヂで暗殺騒ぎになる。

それに…外交官が身分を明かして休暇することはまずない。(タブン
どこでどんな計画を以って休暇をとるかは、その直属の上司くらいしか知らないはず。
他にありえるとすれば最高ランクの権力者、その肉親だろう。

それに今回九死に一生を得た嶋野外交官はTVなど映像には一切でないが、かなりのやり手だという噂だ。
よもや桐栄さんの身内とは思わんかったが。
確か…ユシア相手がメインだったか?

とりあえず帰るには、中いかないとな。



~多摩型内部~

機体胸部のワイヤーをリモコンで降ろす。

上が無駄に騒がしい。




「おそいぞー!!いつまでまたせるんだー!!」

!?


「あ!あたしのトーコ!」

肩にひっついていたヤキトリが飼い主の手に戻る。

だが、俺は忘れない、
奴が俺の肩に爪を食い込まそうとしていたことを……。

お前は敵だ。

「えっと…お名前は…?」

「んー、嶋野真奈美!」

「えっと…おじょうちゃんが…あの外交官?」

「うん!」

「えっと…もしかして、桐栄さんとは姉妹?」

「うん!」

なん…だと。
俺のなかで外交官=おっさん、という方程式だったが…。

よもや幼女だとは思わなかったし、聞かなかったぞ…。

まさか………。
あの野郎…キャラで人気取りに来やがったか!?

幼女・ツインテ、ニーソ(縞柄)!?

狙いすぎだろw。

「こらー!はやく連れてけよー。」




・・・。



「そこ、俺のシート・・・。」

堂々と、ど真ん中に座っておいて施設まで連れてけとは…。
姉妹そろって横暴極まりない……。

どうやって操縦せいっつーねん。

「ブラボー1、そろそろ後続が到着する、わたしたちは帰還して構わんだろう。」

「お姉さま!!」

返事する前に・…。

「!!真奈美か!?どうしてここに?」

「へへー、山で観光ツアーしてたらさー、こうなっちゃったぁー。」

「…おまえなぁ、連絡くらいよこせ、てっきりまだユシアに滞在していたと思ったぞ。」

「ごめんゴメーン!」





…。
……。

確かに肉親との再会は喜ばしい。
だが………、

あえて言おう、

そこ、俺のシートwww。


エピローグ

「はー、ようやっと作戦終了か…。」

基地に辿りつき、キャリーヘリと再び合流し、嗚咽との戦いを制した。

乗降用の梯子が臨時に設置され真奈美ちゃんが降りていく。

彼女が降りてったあとには鳩の糞まみれのコクピットが残った。
クソ…真奈美ちゃんの前ではいい子ぶりやがって…。
どんだけクソすんだよ、腹ん中どうなってんだヤキトリ野郎めww。

「ん、御苦労。」

お。

モニターに瀬川所長の顔がでる。
でたはいいがちょうどヤキトリ野郎の糞が付いてる場所…。

顔が見えんぞ。

「報告書を頼む、何やら不穏な動きが見えるからな…。」

了解。

「それはいいんだが、その服、なんとかなりませんか?中将?」

朝見たまんまのビロビロ服、はっきり言ってダサいお。

「む、これは趣味だ、気にするな、覚えてるだろ?本来今日は休みだ、どんな格好しようが構うまい。」

「そりゃそうですけど。」

顔ウィンドウが消え、フンだけが残る。

かー、やってらんねー。
助けに行った先では20人近く死んでるわ、
コクピット糞まみれにされるわ、
コクピット前で20分立ちっぱだわ…。

あー。

空けっぱなしのコクピットの向こうにツインテールがなびく。

「あ?」

「へへー、お礼忘れてた~♪」

エ?

CHU!!

…おでこにやわこい感触が走る。

……エ?

「助けてくれてアリガト、隊長さん!」


「……ぶ…ブ…ブラボー1……?」

え?

・・・・・・。

桐栄…さん?モニター越しに殺気とばすのやめて下さいません?

「篠田マコトォォォ!!貴様!!何をしてるかあぁあぁーーーーーーーーーーーーーーー!!!」

え?ちょ?なに?
俺がキスしかけたように映ってんの!?

おかしくない?

「待った!桐栄さん!?俺悪くない、悪くないって!!」

「待っていろ!今修正しに行ってやる!!」

モニター内の長髪が怒りに震えている。

「じゃね!バイビー♪」

コクピットから速攻で逃げる真奈美…。

は…謀ったな………シャ○。

は…ははは、
謀られたYO………○ャア。

ハッチが解放されたコクピットから見える夕日がきれいだ……。













「女にモテルっていいスね。」

「ああ。」

「アレ…死にますよね。」

「ああ。」

「そいや、健のバカ何やってんスかね。」

「知らん、また下らんことやって営倉放り込まれてるんだろ。」


新たにバカの仲間入りをした3人を横目に、リュウ・雄 両名は夕日を眺める。

ああはなるまい。
2人に共通した思いだった……。


~営倉~

「僕が…僕が一番エロをうまく使えるんだ!!」

リュウは彼をよく理解していたと思われる……。

                 Fin

いかがでしたか?

若干今回も烏賊ネタで天丼しようと思ったんですが……
フクロにされそうなんで自重します。


はい、
で、感想箱で、あえて聞かれたんですが、
あえて答えようと思います。(ガチで)

読むのだりぃという方、一気に下の塊ぶっこ抜いていいです。

Q1…WLが対地攻撃、対空攻撃に優れているのは何故!?

A…対地攻撃からいきますが、代表的な戦車VS WLを考えます。まず戦車VS戦車を考えてください。
どっちも平べったいっすね。こいつらで撃ちあったとします。戦車のタマが命中しうるのは敵戦車の全面のみです(迫撃砲等は考えません)。無論戦車は前面装甲がフツーに分厚いわけですから(被弾しやすいからね)命中しても粉砕できるとは限りません。しかも目標の晒している体躯が前面だけなので命中率も自然落ちていきます。それに射界にも限界があり、対空用の砲塔がないと航空機に手も足も出ません。一方WLは約10mです。ライフルは約6m位置から撃たれるとしましょう。戦車と比べて高い分相手の天井が見えます。往々にして戦車の上部装甲は比較的薄い(被弾を想定していない)ので撃破できる確率が上がります。しかも見えるのが前面及び上面ですので少なからず命中率も向上するでしょう。
「それは向こうも同じでしょ!!」
というアナタ!
MS…もといWLはマニュピレーターがあります。故にあらゆる戦況に対応できるのですが、「シールド」というものも存在します。なにも陸戦型ガンダ○のような取り回しを優先したシールドだけがシールドではありません。しかもこの作品におけるWLは若干ながら飛ぶことができます。空中への攻撃手段が乏しい戦車に対し、そこそこのサイズのシールドを装備していれば、WLがタンクに負ける可能性は皆無といっていいと思います。


…長ーなおいww。

次、対空攻撃がなぜ優れている!?
はい、この世界においてミサイルによる誘導攻撃はかなり難しい(ステルス装甲ですね)ものとなっています(誘導しないわけではありません)。航空機は特性上常に直進します(ヘリコとか除く)、故にじっくり照準をつけるというのが困難だと考えます。
ちゅうことで航空機にWLが落とされる可能性は0ではありませんが低い確率と見ていいでしょう。
一方で、WLから航空機に関してですが、常に前進するという特性をもつ航空機であるがゆえに予測射撃がしやすいでしょう。ただ航空機は3次元的に飛び回るので苦労するかもしれません。無論高高度からの絨毯爆撃にたいしては長距離ライフル等を装備しない限りWLは無力と言えるかもしれません。

以上、全般的に見てWLの攻撃力は対地、対空どちらに対しても有効かと思われます。

長すぎるよ…興味あった人もどっか行ったよコレww。

でもまだ終わりじゃナーイwww。

Q2、WLが装備変更したら戦艦沈む?ありえねくね?
作品を無駄にリアルにする、それが俺の目標です。
コレの発言はマコトによるもので、学者、ナレーターによるものではありません。
「じゃあなんぞや?」
つまりある種の噂話と言えるでしょう(無責任)。
いわば巡洋艦を無力化できるほどの弾頭が開発されたとして(ハープーンにできますから通常弾頭でもできるかと思います←曖昧)、その実験に立ち会った者が弾頭の威力をあちこちに宣伝します。

上層部には正確な威力が伝えられたとしても、一般兵以下の訓練生に正確な情報が行くという保証はありません。噂は噂を呼び、尾ひれ羽ひれいっぱい付いたのかもしれません(苦しい…!?。

まぁ分かりやすく言えば宇宙○紀のシャ○・アズ○ブルの撃墜スコアと一緒です。
5隻の戦艦がどーとか行ってますが3席はサラミ○です。

生き残ったあなたは勇者です。






最期…だいぶ苦しかった気もしますがこじつけだけなら右に出るものはいないと自負しております(左は定かではない。


はい、以上です。

少しでも楽しんで読んでいただけたならもう嬉しいことこの上ないです。

うんちく臭くなってごめんなさい、
「俺のこじつけ最強!!HUuuuuuuuuuu!!」
という方、よろしければ感想にお願いします。


ちなみに前回あんまり活躍しなかった雄二氏をそこそこ登場させてみました。

機会があれば皆のプロフィールも晒したいと思います。


ではでは

ご愛読ありがとうございます―。








[26825] 鋼の棺桶 第3話 プロローグ 
Name: ヒロシキ◆fbfd4583 ID:6b326cfa
Date: 2011/04/01 22:17
ちわっす。

毎度ヒロシキでござんす。

はてさて、実は感想箱の方に…

「おまえの作品なに?Wの使い方分かってんのかタコ!」

というご指摘がありました。
いやはや、ついに来てしまいましたよ!!

正直にいいます。






知りません(ローリングバクテン宙返り土下座





完全にフィーリングで付けたいときに付けたいだけ付けてましたお。

世の中根性で半分~とうんたらかんたら述べましたが、だぶりゅー は根性がわの半分には含まれなかった模様でふ…。


まぁ、ご指摘した方がこのページを開くことは2度とないとは思います。
がしかし、少なくとも1人以上の方に不快な思いをさせてしまった以上お詫びしなければならないかと思います。

この場を用い、謝罪させていただきます。

申し訳ありません。



ハイ、
さて、過ぎたことは気にしない性質(タチ)ですので今回の概要いきたいと思います。(Wは使わないようにしました~♪)

今回は各キャラ(主要キャラ&登場回数少ないキャラ)の掘りさげをメインに作られております。

(そうしないと後々「は?」となりやすいからでふ、ガマンしてチョ。)
故に戦闘パートは存在いたしません。

ロボ描写見たかった方、

サーセン。

ただ次回はガチシリアス(?)に突入する可能性が大ですので、ロボ系バトルも自然多くなります。


なお、今回のみ、試験的に主人公以外の目線で、オムニバス形式で話が同時展開していきます。
故にその場での視点となるキャラの思いを綴っております。
(つまりあっぱー(頭が)的な描写が非常に少なくなっております。)

ですので、前回までのようなウケ狙いな部分が少ないです。

楽しみにしていた方、申し訳ありません。
次回シリアス編展開予定ですが、できる限りウケポイントを設置していきたいと思っておりますので、






見捨てないで……。←結論



今回のUpはプロローグのみですので約3000字で収まっています。
細かい時間などにどうぞ。

(参考…1話約12000字、2話約9000字)



前書き長いですがまだ続きます。

俺が足りない脳みそ振り絞って考え出した題名。

ggってみました。

「なん…だと!?」

ボトム○が真っ先に出てくるじゃありませんか!!??

しまったぁぁぁぁぁあ!!!パくられたぁぁぁ!!!(違います。

万が一ボト○ズ的な何かを期待して読んでおられた方…。

サーセン、ホントサーセン。

俺ボ○ムズノーマークでした……。


長くなりましたが、どうぞ、プロローグをご覧ください。





プロローグ

~会議室~

「ふぅん、昨日はそんなことがあったのか…。」

「おうよ、テメェらがいびきかいてる間にチャチャッとな!」

会議室にいるのは私、真田 治也と篠田 まこと、それに…彼の後ろで眠そうにしている少女。
この3人だ。
たまには他小隊の人とも、じっくり話がしたくてチェスに誘ってみた、ということで今2人で遊んでいる。

まぁ、他の小隊とはいっても今は第2小隊のこいつだけだが…。



ちなみに明日の修了式までわたしたちは一応訓練生扱い、それまでは休暇、というわけです。

昨日一昨日と出撃する羽目になった第2小隊の隊員たちはまだ寝ている。
疲労も限界だったのだろう…。
マコト君だけは起きて真奈美ちゃんとPGPをやっていた。
モンスターパンターといったか?
ちょっと前、大人気で手が出せなかったのがお手頃価格だったらしい。


「しかし、余裕綽々なわりには体中ボロボロだな?」

あちこちに打撲の跡が痛々しいマコト。
何があったかは想像に難くない。

考えながらポーンを手に取る。
所長から借りてきたという大理石製のコマ、手に持った時の冷たい感じが気持ちいい。
なぜか黒のキングの十字架が折れているが…。

「気にすんな、色々あったんだよ。あ、馬とり、王手!」

マコトの手の下でコトリと音がし、こちらへ攻撃してくる。

「おい、チェスはチェックだろうが、馬じゃなくてナイトと呼べ。」

「まぁまぁ、細かいこた気にすんなよ、おら、詰みだ。」

「なっ!?」

よく見る。
キングに逃げ場はない…、周りを味方のコマで防御しすぎていたのが祟ったか…。

「むぅ、またか。…しかし、面白い奴だよ、お前は。」

なんで?という顔をするマコトに対して続ける。

「初めて会ったときは生涯で1番許せないちゃらんぽらんだったのに……。
いまでは唯一許せるちゃらんぽらんだからな。」

「ヲイ、ソレ…褒めてんのか貶してんのか、どっちだよ。」


褒めてるんだよ…。



「ひまだぞー。いつまでツマンナイもんやってるんだー。」

さっきから彼の背中にひっついているもう一人が耐えかねた声を出す。

……マコトの頭を殴るのはやめてあげて欲しいものだな。
アレ以上ネジが飛んだらどうなるかわからん。

嶋野 真奈美…。前回彼が助けたとかで、以来無駄に付きまとっているという。

「ホラ!コレやるんだぞ!!そんなんしまえ!!!」

わっ!

スライドするように置かれるは“人生ゲームDX”、
机の上にあったコマが弾き落とされそうになる。



これ借り物!!



私とマコトで前のめりキャッチをする、壊したら申し訳が立たないどころではない…。
しかし、所長もよく貸出許可してくれたものだ。

「テメ!ちったぁ落ち着け!!それでも外交官か?」

「なにが“それでも”なのかはわからないけど、そおだよ!」

「まぁまぁ、確かにチェスばかりで飽きていたところだ、いいだろマコト?相手は一応子供だ、ムキになるなよ…。」

なにやらギチギチと歯ぎしりしてブツブツ言っているが…、あれが橋本が言っていた解説モード……というやつなのか?

「ホラ、お前からだ。」

「おう。」

一瞬で元に戻り、無邪気にさいころを受け取る。

振る。

「お!俺医者~♪」

「あー、ずるー。」

「へへー、強者はなににおいても強いのさ~♪HAHAHA~」

……、マコト…何考えているか全くわからんな……。

あるときはただのバカ、
あるときは熱血バカ、
またあるときは正真正銘のスーパーバカ。



…なんだ、結局バカか…。

だが、時折、戦闘において驚異的な力を発揮する。
洞察力に優れ、大胆かつ繊細な戦闘をこなす……。
まるで、“才能”という獣に“バカ”という分厚い着ぐるみがかぶさっているようだ。

「てかお前なんでまだ付いてくるんだ?仕事どうした、シ・ゴ・ト!」

「休暇あしたまでなんだよねー、このまえ殺されそうにもなってたみたいだしー、ココにいれば安全かなーって♪」

「あのなぁ…。」

嶋野真奈美程の人間が彼に懐いている、
そのことが彼の人間性を保証していると言っても過言ではない。

だが正直、小学生くらいの年齢の彼女と何の違和感なく話せている、というのはいかがなものかと思うが。
もう少し大人びていれば素晴らしい指揮官になれるはずだけれど。

「そういえば、その件でなにか心当たりはあるのか?」

嶋野真奈美…彼女は幼いとはいえ外交官だ、それも最近軍備強化をしているユシア相手。
何かしらの恨み、障害と思われてはいないのだろうか。

「ユシア側には恨まれてないと思うんだけどね、自衛軍の官僚の方に…ちょっと、ね。」

「や、ははは~、よくわかんないや~♪」


一瞬仕事での彼女になりかけたようだ。

わずかに本気になった真奈美の顔が目をかすめた。

仕事として共に活動したことはないが、政府高官である父からよく彼女のことを聞かされた。

“女を甘く見ると痛い目見る、常に相手の内側を探れ”と……。

無論それだけではないが。

「おい、真田!お前のターンだぜ!!さっさとしろ。」

「すまん、考え事をしていた…。」

手にしたさいころを転がす……。

今思えば、こいつとの出会いが、俺を柔らかくしたんだ。

”中途半端”を許せるほどに…。








~所長室~

ない!

「ない!!」

「ないんだけど!!!」

机の下にもぐり、下を探す。


「ちょっ、誰か知らない!?早く館内放送しなさいって!!捜索班の編成まだ!?」

私は焦っていた…。
このまえヤフオクで落とした23150円の大理石製チェスセット。
アレを毎朝磨くのが日課なのに!!

「有田君!!ちょっと!はやくしてって!!」

必死に秘書官の名前を呼ぶ。

「中将!落ち着いてください、そんな私的なことで施設の人間、備品が使えるわけないでしょ?」

「だってアレは…。」

「だってじゃありません!!」

有田君からオーラが出る。
う…動けない……!?

「サ…サイコヒット…!?」

おかっぱ頭の有田嬢から繰り出される威圧に私はただただひれ伏すだけだった。
は…ハ○ーン様……!?

「だいたい中将が訳わかんない服着てバカやったり!毎朝ニヤニヤしながらチェス盤磨いたり!力入れ過ぎてキングのアタマ折ったり!!それで指切って救急班呼びだそうとしたり!!!あなたが何かするたびに秘書官のわたしまで変な噂されるんですよ!!??」

「ご…ごめんなさい。」

自然と身体が土下座していた。

自衛軍に入る女性は強すぎる……。
次の秘書官は男にしなければ…。

そう堅く決心した朝であった。









~格納庫~

「んお、もう朝か…。」

不覚にも酔いつぶれてしまったわい。
久しぶりに1期の奴らと会ったもんじゃからな、はしゃぎ過ぎたようじゃ。

「なはは、やっと起きたか?三崎よ。」

「ぬぅ、勝男か…。」

「お前も衰えたもんだ、ビア樽の異名が泣いておるぞ?」

「ほっとけ。」

ぼりぼりと頭をかきながら膨らんだ腹を見つめる。
昔から酒ばかりがぶ飲みしていたせいかこんな身体になっちまった。

よく見れば辺りには酔いつぶれた1期生がうようよいる。


「こいつら雑魚だったな、飲み比べ挑むからもっとイケるかと思ったんだが。」

佐々木勝男が物悲しそうな眼を宙へ向ける。

「がはは、貴様のザル加減には誰も敵わんわ!!」

わしももう10年若けりゃなぁ、こやつと張りあえたんじゃが……。

「を?仕事すんのか?
やめとけやめとけ!どうせ今日は何にもねぇ日だ、身体休めて肝臓こき使えや!」

仕事に行こうとしたワシを引きとめる。
…差し出された杯は受けねば恥だ。

男として、
そう、漢として…。


仕事といっても、昨日臨時で取り付けた、第2小隊のプロペラントタンク取り外しくらいしかない。機体整備は昨日の夕方に仕上げが終わっている。

「フン、貴様がまだまだ青二才だと教えてくれるわ!」


格納庫の隅で、漢たちの闘いがひっそりと始まった…。







~来賓個室~


外からはけたたましいセミの声がする。

特にやることもない。

今回、この沼津パイロット養成施設へはゲストとして来たことになっている。
故に各個人には十分な広さの個室が与えられていおり、快適なはずなのだが…。

「ひとりは…怖い……。」

ただひとり…、
薄っぺらい毛布にくるまり、ベッドに横たわる。



わたしは意気地なし……。



ひとりが嫌だと思いつつも、ひとりであろうとしている。
ヒトに接近しようとしても、気がつけば足を遠ざけている。



今のウルフ小隊でも、隊員たちはわたしに口を聞いてはくれるが、心は開いてくれない。



…。


知っているか?
“ウルフ”はわたしだけなのだ……。



明日、修了式に立ち会えば元の配置に戻ることになるだろう。
そうなればセミの声も聞こえなくなる…。





外から聞こえるセミの声が、とてもうらやましい………。




本編に続く

すまねぇぇぇ!!楽しみにしてた皆ぁあぁぁぁぁ!!!!(居るのか!?居るよね!?
今日は大学行ってたんだ――――!

決してNEET(通称NT)じゃないんだ!
俺はオールドタ○プだったんだよ……。

次は期待に添えるようガンバル!!(キリッ




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