韓国の原発は安全なのか(下)
もし北朝鮮が攻撃したら?
しかし軍事専門家たちは「厚さ6メートルのコンクリートを貫く爆弾もあることから、最悪の状況に対する備えも必要」と指摘した。延世大のキム・ジャンホ教授(土木環境工学科)は「ミサイルのような強烈な爆発が起こった場合、強度を高めたコンクリートはむしろ弱く、容易に真っ二つになりかねない」と語った。強度を高めれば高めるほど、曲げに弱くなるからだ。ミサイル攻撃のような強烈な衝撃を受けると、原発を保護しているコンクリートは間違いなく壊れる。
キム教授は「衝撃吸収力が高い特殊なコンクリートで、タイルを張るように建屋の表面を覆ったら、構造物本体の損傷をかなり抑えることができる」と語った。実際、抱川にある実験場で最近実験してみたところ、特殊なコンクリートで覆った構造物は、破壊の程度がかなり少なかったことが確認された。
■津波に備える防壁より、モーターの防水が急務
地震や津波への対策も急務だ。韓国の原発は、同じ状況になった場合、日本よりも優れた点がある。まず、韓国の原発は、電気が途絶えても内部の蒸気を自然循環させてモーターを回し、冷却水を供給できる。また、原子炉の上に冷却水タンクを設置し、事故時には重力だけで水を注ぐことができる。蒸気発生器が原子炉本体とは別に離れた場所にある点も、事故時に原子炉内で蒸気の圧力が高まることを防いでくれる。
しかしこれらの装置は全て、あくまでも臨時の手段だ。最終的には、電気で動くモーターが作動しなければ、きちんとした原子炉冷却はできない。漢陽大の諸武成(チェ・ムソン)教授(原子力工学科)は「津波向けの堤防をもっと高くしようという主張もあるが、津波が押し寄せたら、どこからか水が入ってくる。何よりも、モーターなど電気設備の防水作業を急がなければならない」と語った。教育科学技術部(省に相当)原電点検団によると、現在、韓国国内の原発にこうした防水システムはない。原発事故のシナリオも、地震や火災はあるが、津波は除外されている。
地震に備える耐震設計にも、限界がある。現在、韓国の原発はマグニチュード6.5の地震に耐えられるようになっている。韓国地質資源研究院のチ・ホンチョル博士は「韓半島(朝鮮半島)の地震に関する歴史記録や地質構造などから、マグニチュード7の地震も考えられる」と語った。韓国電力は、新設原発についてはマグニチュード7まで耐震基準を高める計画だが、既存の原発の耐震能力をすぐに高めるのは難しい。諸武成教授は「蒸気発生器の配管の厚みが2ミリに過ぎず、地震の衝撃に備えてこの部分から補強工事を行わなければならない」と指摘した。
李永完(イ・ヨンワン)記者