韓国の原発は安全なのか(上)

もし北朝鮮が攻撃したら?

 福島第一原子力発電所の事故現場。屋根が崩れ鉄骨がむき出しになった様子は、まるで爆撃を受けたかのように見える。冷却装置の故障で水素爆発が起きたからだ。一部では、韓国の原発は内部での爆発だけでなく、北朝鮮によるミサイル攻撃のような、外部爆発にも備えなければならないという主張がなされている。果たして韓国の原発は、内部・外部の爆発という最悪の状況に耐えられるのだろうか。

コンクリート内部の「鉄のクモの巣」が貫通を防ぐ

 韓国の原発を訪れると、しばしば「原発はそこそこのミサイルでは貫通できない」という話を聞く。根拠は、厚さ1.2メートルのコンクリート製ドーム構造にある。しかし、実際の状況を想定した実験やシミュレーションは、どこも行っていない。韓国原子力安全技術院(KINS)のチョン・ヨンソク博士は「原発の設計上、軍事的攻撃は考慮の対象ではない。航空機の衝突のような状況なら、十分に耐えられるという結果が出ている」と語った。

 米国では9・11テロ以降、航空機が原発にぶつかる状況に関する研究が活発になった。インターネットでは、F4ファントム戦闘機を原発の構造物にぶつける実験映像を容易に見ることができる。韓国でも、09年に檀国大のチョン・チョルヒョン教授(土木環境工学科)が、KINSと共同で同様の状況を想定したシミュレーション研究を行った。KINSのチョン・ヨンソク博士は「実験の結果、韓国国内で運航されているボーイングやエアバスの民間航空機、F16戦闘機が原発にぶつかっても、内部の原子炉には被害が及ばないことが分かった」と語った。米国も、実際の実験で同様の結果を得ている。

 シミュレーションでは、航空機はコンクリート製のドーム建屋に突き刺さるものの、中まで貫通はできないという結果が出た。チョン博士は「コンクリート内部にある鋼線の網が貫通を防ぐ」と語った。

 原発を運営している韓国水力原子力(KHNP)によると、コンクリート製のドーム建屋内には、人の指くらいの太さがある鉄筋を55本使って作った計192本の鋼線が、クモの巣のように張り巡らされている。そのため、内部の水素爆発や外部の衝撃があった場合、ドーム建屋の一部が傷つくことはあっても崩壊はしないという。

古里原子力本部は31日、古里原子力発電所(釜山市機張郡長安邑)古里1号機の主制御室(MCR)や非常発電機、冷却水採取口、7.5メートル防壁など、主な設備をメディアに公開した。古里1号機については、日本の福島第一原発での事故を契機に、稼働年限を延長するかどうかをめぐる議論が起こっている。/写真=キム・ヨンウ記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る