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セクロクロス

本邦ゲーム市場唯一!禁断のXXXレーティング(30禁)!?
疾駆するリビドーのぶつかり合い!
さらばニチヴツ!『セク口ス』続編『セク口ク口ス』と共に眠れ!
 開発元:日本牛勿産/ 発売日:発売中止/ジャンル:ハイスピードレース&STG
セクロクロス

■時代の終焉。またひとつの巨星堕つ!
昨年、インターネット界隈にひとつの情報が流れた。
大阪にあるニチヴツこと日本牛勿産の本社ビルが解体され、コインパーキングになってしまった、と。
正直、その知らせを聞いた多くの古参ゲーマーは「あぁ…とうとうその時が来たか」と小さなため息を漏らしたことであろう。

かつてアーケードゲーム黎明期においてムーンクレス夕・テラクレス夕・クレイヅークライマー・ コスモポリスギャリバソ等の名作ゲーム群で大ヒットを飛ばし、その独特の作風で多くのファンを得た同社。
その後家庭用ゲーム機ブームの流れに乗りファミコシに参入。様々なゲームでカルト的な人気を誇ったものの 時代を追うにつれ徐々にその独特のセンスがユーザーの嗜好と乖離をはじめ、やがてアーケード用脱衣麻雀へと引きこもるようになる。
何時しか人々の記憶から失われ、時折ゲーマー達の昔語りに顔を出す意外同社が省みられる事はなくなってしまった。

そして本社ビル解体の知らせ。
それは多くの古参ゲーマー達にとって既に覚悟されていた「来るべき日」だったのではなかろうか。

ちなみ、同社はビデオゲーム製作会社としての実態は消滅したものの、登記上は現在も存在している模様である。
なお同社の版権の多くはハムス夕ー社やD4エン夕ープライズ社によって管理されている。

セクロクロス
▲在りし日のニチヴツ本社ビルの威容。かつては世界中に支社を展開。F1カーのスポンサードをしていたことも有名。


■ニチヴツが残したもの。
よく言えば流行ににまったく迎合しない同社の作風故か、その作品群は我々に数々の強烈なインパクトを残した。
クレイヅークライマーのシラケ鳥。ギャリバソの宇宙刑事っぷり。子連れ娘の乳母車ショット。

そして言うまでも無く「セク口ス」

元々アーケード用作品『セク夕ーゾーン』として誕生したそのゲームは、海外へ輸出されるにあたり名前を『セク口ス』に改名。 更にファミコシに移植される際に日本国内でも『セク口ス』という名称で売られる事になり、多くのファミコシキッズ達にとって その名が定着する事となる。

その独特の語感の良さ故、インターネット界隈で性交を表す隠語として完全に定着したそれについては 最早解説の必要もないであろう。
今では逆に元ネタであるゲームの事を知らない世代まで現れてきており 「セク口スの語源はなんとファミコシゲームだった!」等と得意満面に解説するサイトまで出現する始末。

80年代の男臭さ溢れるビデオゲームシーンを体験した硬派ゲーマー達の中には、 この軟派な状況を苦虫を噛み潰すような羅刹面で眺めている人も多いかもしれない。

私も今回のレポートを書くにあたり、インターネット各所の情報を再度確認させていただいたのだが 検索するたびにモニタを埋め尽くすビニ本ならぬビニールページ・ビニール記事の多さに辟易させられた。

しかし、水が低きに流れ、悪化が良貨を駆逐し、萌えゲーが燃えゲー以上に売り上げるこの濁世に於いて、 今なおニチヴツの存在した証が巷間に刻み続けられるのならば、其れもまた善しと考えるべきなのだろう。

セクロク口ス
▲数々の伝説を生んだ、個性豊かな作品群(google画像検索より)。


■続編『セクロクロス』!?
さて、そんな数奇な運命を今も辿りつづける『セク口ス』の続編が製作されていた事を皆さんはご存知だろうか?
『セクロクロス』(英文表記では"SEICRO-X-CROSS")と言う名が始めて登場したのは今は無き出版社ケイヴンシャの 「ファミリーコンシューマー必勝スペシャルその13 セク口ス」という今で言う攻略本の中である。
巻末の『突撃!ゲームメーカー生訪問』というコーナーの中に一枚の写真があり、そのキャプションとして 「続編『セクロクロス』も製作快調!」の表記が確認されている。 しかし『セクロクロス』に関する表記が世に出たのは後にも先にもこの一度きりで、その後ゲーム雑誌等にも登場する事は無く、 長らく世界中のファミコシ雑学王達の間で幻として語り継がれていた。

セクロクロス
▲確かに画面写真入りで『セクロクロス』の名が…

とは言えこの世に開発中止になったゲームは星の数ほどある。
中にはゲーム自体は完成し発売日まで決まっていたのに諸般の事情でいったん発売が延期されたのち 不幸な事件により発売中止になってしまうという不幸なソフトもあるわけで、正式発表すらされていないものならば 「良くある話」として受け止められるのも仕方ない話である。
そんなわけで私も含め多くのファミコシャーにとって『セクロクロス』の名は 「あー知ってるワー。ファミコシ必勝スペシャル13のアレでしょ?知ってるワー。俺が一番最初に知ったワー。つーか俺ウルテク名人かっちゃんの友達のいとこだワー。」 というミサワ的地獄のシッタカ豆知識程度でしかなかったのである。

だがしかし、先に述べたニチヴツビル消滅の後、事態は驚くべき展開を迎える。

そう。『セクロクロス』開発途中生データ保存テープが、海外のオークションに出品されたのだ。

■現実となった幻
このニュースは瞬く間に世界中のファミコシトレジャーハンター達の間を駆け巡り、オークションの価格は高騰。 流石にこの展開となっては私のようなファミコシ大貧民には手の打ち様が無く、 結局ナゾの匿名ファミコシセレブMr.MountainInside氏によって1億ルピーにて 落札された。

しかし、どうにもこうにも諦めが付かないのがゲームゲーマーゲーメストのサガであろう。手慰みにインド人を右に左にしたところでどうにも心が落ち着かない。 結局居ても立ってもいられなくなった私は、さっそくファミコシネットワークを駆使し、夜の街にて情報収集を開始。ひとにきけ、あたりをみろ、カニカニどこカニ、トランプをする 等の秘術を駆使し、なんとか同氏へのコンタクトに成功。10億ルピーの大枚をはたき『セクロクロス』をプレイさせてもらう約束を取り付けた。

そして3月某日。
私は約束のモロッコ国際インターナショナルモロッコワシントンホテルトーキョーでMr.Mountain Inside氏と落ち合い、 さっそく幻の作品『セクロクロス』をプレイさせていただいた。

セクロクロス
▲これがマニア垂涎、幻の生データテープだ…

ゲームのデータは当時のものらしくカセットテープに保存されており、専用のデータリーダーによって読み込まれる。 懐かしいピーガー音の後、画面に映し出されたものに仰天させられた。
いきなり「XXX(30才以上対象)」というレーティングアイコンが表示されたのだ。
予想もしない不意打ちにあらぬ妄想をしつつ、スタートボタンを押してゲームを開始。 その内容についてはいちいち言葉で説明するまでもあるまい。と言うことで実際に映像で見ていただくことにしよう。





■シンプルかつテクニカルなスタンダードスコアアタックゲーム
実際プレイしてみると、奇をてらわずしっかりと作られたドが付く程スタンダードなスコアアタックゲームであった。 特徴的なのはオリジナルには無かったライダー轢きシステム(?)で、敵のバイクをやっつけるとライダーが前方に吹っ飛ぶので それを再び轢くと得点が入り、またライダーが前に飛ぶ。それを繰り返すごとに得点が200点、500点とアップし、最後は1000点獲得と共に消滅する。
これによりプレイは更に忙しくなり、スコアアタックゲームとしてのバリューも増しているように感じた。
しかし残念ながらゲームは1面しか完成しておらず、特に気になるXXXレーティングの要因も不明なままで、いきり立った小生の愚息も思わず昇天したのであった。

セクロクロス セクロクロス
▲(左)タイトル画面。当時らしいレイアウトだ。(右)ゲートが開きゲームスタート。音声合成で喋るぞ!

セクロクロス セクロクロス
▲(左)格子模様がレトロフューチャー気分を盛り上げる。(右)高速バイク、ジルジットペトラを駆りペトラ人を救出せよ!

セクロクロス セクロクロス
▲(左)ステージ後半砲台エリアはスクロールの遅いSTG風展開に。(右)恐竜戦車の猛攻を凌げばもうすぐゴールだ!!


実際『セクロクロス』をプレイしてみて改めて感じたのは、オリジナル作品の素性の良さである。
不幸にもゼル夕゛やドラク工等とぶつかってしまった事もあり、当時のファミコシキッズの間では「クソゲー」群に分類されてしまった『セク口ス』ではあったが 体当たりによる豪快なゲームプレイ。前半のスピード感から後半のテクニカル性へ繋がる緩急ある展開。そしてご機嫌なピュンピュンサウンドと 見所も多い。

残念ながら開発中止となってしまった本作では更に洗練度が増しており、 1面しかプレイできなかったもののスコアアタックゲーとしての面白さは十分堪能する事が出来た。 しかし、これはぜひとも当時リアルタイムで体験してみたかったものである。

前回、当サイトでは様々な幸運と多くの方々のご好意によりファミコシ史上最大の闇を解き明かす事が出来た。
そして今回もまた世界中のファミ色系男子の尽力によりもうひとつの偉大な歴史的遺物を皆さんの前に開陳する栄誉を授かった。

しかしビデオゲームの世界は実に奥が深いと改めて感じる。これだけの情報が溢れるこのハイテクメトロポリス時代を迎えてなお、 まだまだ我々の知らない宝が無数に眠っているのである。

時代は時に残酷な荒波となって、多くの輝きを押し流す。四半世紀前に前にまばゆい光を放ったゲームメーカーの本社ビルが 気が付けばコインパーキングへと代わっていると言う無常…。しかし我々の情熱は決して消えることはない。 例え数々の栄光が瓦礫の下に埋もれようと、人は何度でも立ち上がりその宝を掘り返す。

どれだけ沢山シラケ鳥に糞をぶつけられてもクレイジークライマーはビルを登る手を止めないし、 ムーンクレス夕のパイロットは合体し続け、子連れ娘は大五郎を背負い続け、ギルギットペトラ(セク口スのバイク)はペトラ人を救うため走り続けるのだから…。



※言うまでもありませんが当サイトの記事は全部エイプリルフールにちなんだガセネタですのでご注意ください。


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■「これ、配らへんのか?」
ところで、最後になるが私が一通り『セクロクロス』をプレイし終わり深く礼を述べると、Mauntain Inside 組長は私に穏やかな京都弁で問いかけてきた。 「これらへんのか?」
あっけにとられる私をサングラス越しに笑い、氏は先ほどのテープを置いたままカクシャクとした足取りで去っていった。

嗚呼、すごい。やっぱりこの人はビデオゲーム業界のドンだ。
私はそう思い角度350度の深々としたお辞儀で氏を見送ったのだった。
(2011.4/1)

※昨年、予想以上の反響によりサーバーがパンクしまくるなど大変な事になったので、 今年はこっそりわかりにくくやらせていただいております。気づかなかった方スンマセン。