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東京電力・福島第一原発と東北電力・女川原発

『衆ノ雑感』山田衆三のブログ

山田衆三提供:『衆ノ雑感』山田衆三のブログ

2011年3月11日に発生した未曾有の巨大地震と大津波「東北地方太平洋沖地震」は、三陸海岸沖を震源とする日本最大(世界第4位)のマグニチュード9.0を記録し、福島県の東京電力・福島第一原子力発電所で放射性物質漏洩事故を引き起こしました。ところが、福島第一原発より震源域に近かった宮城県の東北電力・女川原子力発電所は、安全に停止して殆ど損傷がなく、被災した周辺住民の避難所にもなっています。

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が震源域で、その左隣のが女川原発、その下の2つのが福島第一・第二原発です。

太平洋沿岸の両原発が明暗を分けた最大の要因は、原発設計時に想定した津波の違いによる立地の差であったと推察されています。両原発とも耐震性に問題はなかったものの、東京電力が福島第一原発で想定していた津波の高さは、最高で5.7m、実際に発生した大津波が高さ14mに及び、海寄りに設置した外部電源用のオイル(重油)タンクや輸送パイプが悉く押し流され、給水ポンプに使う非常用ディーゼル発電機も水没し、原子炉を冷却できなかったことから今回の原発事故に繋がりました。一方、東北電力が女川原発で想定していた津波の高さは、最高で9.1m、下図のとおり海沿いに斜面を設け、海面から14.8mの高台に原発の敷地を整備しており、大津波が一部で斜面を超えたにも係わらず致命的な設備被害を回避することができました。東北電力は、宮城県に大津波を齎した「貞観地震(平安時代の869年に発生し、三陸海岸沖を震源とする推定マグニチュード8.4)」を参考にしており、貞観地震と東北地方太平洋沖地震との類似性も指摘されていることから、“千年に一度”の大津波にも耐え得る原発を志向したことが奏功した訳です。

女川原発の外観写真
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<出所>独立行政法人原子力安全基盤機構
女川原子力発電所における津波に対する安全評価と防災対策

両原発の明暗は、東京電力と東北電力の津波防災に対する認識の差に直結したといっても過言ではないでしょう。今回の原発事故は、天災のように見えますが、実際のところ大津波への危機管理意識が薄かった東京電力による人災であり、東海地震が想定されている中部電力でも今回の原発事故を受け、慌てて静岡県の浜岡原子力発電所の津波対策に取り組んでいるような状態です。東京都千代田区に本店を構える外様の東京電力と違い、郷土に慣れ親しみ先見の明があった東北電力は、自然の脅威を軽視することなく熟知し、常日頃から真摯に万全の津波対策を講じてきたことから、高く評価されるべきであると考えます。
『衆ノ雑感』山田衆三のブログ

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山田衆三

前・公益財団法人日本生産性本部主任研究員、元・特殊法人(現:独立行政法人)NEDO職員
慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了、同志社大学経済学部卒業
ライフワークである資源・エネルギー・環境問題から政治・経済・外交まで幅広いテーマを取り上げる

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