12年ぶりとなる新しい広島市のリーダーの座を争う市長選は4月10日の投開票に向けて、激戦が続いている。主な候補者の横顔を紹介する。【矢追健介、寺岡俊】(届け出順)
NHK記者として都政を担当し、地方行政に魅力を感じて1995年に広島市議に。3期12年を務め、首長の権限に比べて市議の限界を知り、前回07年の市長選に出馬した。次点で落選して以降、「やはり各分野の現場を知らなければ」と広島の中小企業などを巡った。意外な技術を持つ企業を発見するなど、広島の底力を見つけては政策作りに役立てる。「ずっと広島に居て、広島の経過を見てきた。何が良くてどこに問題があるか、しっかり分かっている」と、“地の利”をアピールする。
告示前は積極的にインターネットを活用。動画で市の課題を分かりやすく解説し、ミニブログ「ツイッター」でも積極的に市民との対話を楽しんでいた。
「住民の暮らしを守るために、一歩も引かない市長になる」。住民の福祉と暮らしを最優先にした政策に取り組むつもりだ。
共産党市議団が昨年、市民約3000人を対象に、生活実態のアンケートを実施した。そこでは、景気の悪化や就職難などに歯を食いしばって耐えている市民生活があった。「住民の暮らしを守る防波堤の役割を発揮したい」と意気込む。
趣味は「貧乏旅行」と笑う。東南アジアを中心に、毎年5月に旅に出る。3、4泊で、経費は5万~8万円と最小限。異文化に触れることや旅先で知り合った人たちとの交流で、新しい発見が必ずある。「語学は堪能ではないが、心は通じ合える」。学んだ大切なことだ。
「対話」と「行動」を掲げ、「市民が主役の社会を目指す」と訴える。秋葉忠利市長の要請で08年7月、総務省から副市長に就任。広島で暮らし、市民と仕事をする中で、「本当に広島を大好きになりました」。
旧郵政省時代から取り組むICT(情報通信技術)を駆使して、人材の育成や雇用の創出、業務を効率化し無駄の削減を進める。県と連携して中小企業の海外進出など新しいビジネス展開を支援する構想も掲げた。
スポーツはするのも見るのも好きだ。小学5年からテニスを始め、広島市のテニス部にも所属していた。サンフレッチェ広島のファンを公言。「仕事が入らない限りは、広島ビッグアーチへ観戦に行っています」
佐伯区選出の市議を務めた2期8年間、公務員の人件費削減を訴えてきたが、実現できなかった。「議員では限界がある」。市政のトップへ挑戦することを決意した。
政策として、「財政再建」を真っ先に挙げる。まずは自分からと、1期4000万円以上の市長退職金の廃止と、報酬半減を掲げる。市職員や議会の人件費にも、段階的に切り込んでいく。一方で市民税の10%減といった減税政策を掲げ、市政の改革に挑む。
趣味のガーデニングが息抜きという。自宅や事務所にある庭には、ツバキ、バラ、パンジーなど色とりどりの花がそろう。長女や長男の誕生日やクリスマスには手作りケーキを振る舞うなど、家庭的な一面も見せる。
広島のまちづくりには対話と実行の間に「納得」が必要と唱える。国の法案作りに長年携わった経験などから「利害を隔てて対立した方々を調整し、自分が役立っていることを実感するのが喜び。元気のもと」と力強い。市長のリーダーシップとは「方向性と動機付けを与えること」と位置づけ、得意の労働行政では「市民のためなら国とやり合うことも辞さない覚悟」。
郷里の広島での思い出を話すと顔がほころぶ。好物は広島菜とお好み焼き。未来の広島像を「都市部がちょこんとあって、郊外に行くと牧歌的な風景」と、都市と村の機能の融合を描く。趣味はゴルフや油絵、コーラス(バス担当)。次女が描いた似顔絵付きハトのイラストを選挙戦で使う。
毎日新聞 2011年3月31日 地方版