『Across The MomoDaLow』製作中止

……という、報せを聞いた。非常に遺憾である。これはイカン。

件の震災が原因であるとも、製作費が底をついた為とも、
ノイローゼになった監督が自由へと疾走して失踪した故とも伝え聞いた。
正確な理由を問質そうとも、プロデューサーのR氏が言葉巧みにはぐらかすのだ。
私は今、昏く深い井戸のような失意の底で、冷たい泥を掬い続けている。
非常に遺憾である。これは、このままではイカン……。


嗚呼、どうすれば良いのだろうか?
私は気付いてしまった……。

私の眠れる獅子が……
地殻の奥底で静かに滾る岩漿の如き……
あの『桃だろう?』の創作に懸ける情熱が息絶えてしまったことに……。


いつまでも嘆いていたところで、何も始まりはしない。
私は作家だ。
ならば、新しい作品を書こう。
獅子奮迅。自らを奮立たせるような作品を!



『浦島だろう?(原作:革命)』

ある鄙びた漁村に、その男は暮らしていた。
親は既に亡く、嫁も無く、従って子供もあろうはずはなかった。

天涯孤独。

夢幻の彼方。夜毎押し寄せる暗黒の浪。
それは一度として凪ぐことはなく、
今も尚、男を冷たい海中へと引き摺り込もうとする。

あの日以来、他人との関わりを避けるように生きてきた。
ひとり。無気力に魚を獲る日々。
生を悔いても腹は減る。生きている……からだ。

男は最低限のものしか望まなかった。
大切なものとて、簡単に失ってしまうと知ったから。
そして、それが如何に耐え難い痛みなのかということも。
不謹慎と謗られようとも、読者諸兄には元気を出して欲しいのです。 革命