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東電会長「1~6号機安定」大甘の初会見

記者会見で謝罪する東京電力の経営陣(共同)
記者会見で謝罪する東京電力の経営陣(共同)

 東京電力の勝俣恒久会長(71)が、東日本大震災発生から20日目の30日、ようやく会見し、福島第1原発が深刻な状況に陥っていることを謝罪した。1~4号機は廃炉にすると明言したが、“人災”の指摘には「私自身まずさは感じない」と発言。「1~6号機は一応安定している」とも述べ、甘さは否めなかった。会社の将来は「大変厳しい」と認めた。陣頭指揮を執る清水正孝社長は29日夕に倒れ、入院。復帰は未定で、非常時に社長不在が重なる緊急事態にも見舞われた。

 勝俣会長は冒頭、200人を超える報道陣を前に、今回の福島第1原発事故で多方面に不安や迷惑を掛けたとして「おわび申し上げます」と5回、頭を下げて謝罪した。東電側が「統合連絡本部につめている」としていた勝俣会長の会見は地震発生から20日目で、同社最高幹部の会見も、13日の清水社長の会見以来。質疑は2時間以上続いた。

 勝俣会長は、福島第1原発の1号機から4号機までは「客観的に見ると廃止せざるを得ない」と述べ、廃炉の方針を明言。5、6号機は「基本的に機能は維持している。国の意見を伺って」と述べるにとどめた。農作物などへの賠償金は「国の支援をいただき、誠意をもって準備している」と強調したが「(資金は)いくらあっても足りない」と本音も。都内の自宅など不動産を差し出す考えはないか問われ、「プライベートなことは控えたい」と硬い表情になった。7月末までに供給力を4650万キロワットへ引き上げ、今夏の計画停電の回避を目指すと述べた。

 社長時代に「カミソリ勝俣」といわれた鋭さは影を潜め、認識の甘さも見えた。冷却機能が復旧していない福島第1原発について「1~6号機は一応の安定を見ることができた」と発言。「一応の安定」の真意を問われると「炉が変なふうにならない、とりあえずの安定」と説得力に欠けた。炉の状態を「正直、正確に把握するのは難しい」と、ちぐはぐさも。「数週間で戻るのは難しい」と、作業の長期化を示唆した。

 「安定」発言には、原子力安全委員会の代谷誠治委員が「予断を許さないと思うのが普通で、それに対応するのが事業者の役目であり責任」と指摘。5、6号機についても、枝野幸男官房長官が夕方の会見で廃炉になるとの認識を示した。

 対応の遅れや情報伝達のまずさなど、「人災」の批判があることにも、勝俣会長は「私自身はまずさは感じていない」と主張。現場で電気や通信が使えず、手作業も重なり「意図せざる遅れ」だったと主張した。海水の注入も「遅さは感じていない。ちゅうちょもなかった」と淡々と述べた。

 株価が急落した会社の経営状況は「大変厳しい」と認めたが、経営責任については「今は、炉を安定させることに全力を挙げる」とだけ述べた。国有化の声には「民営化であり続けるため、最大限努力をする」と訴えたが、いばらの道には変わりない。

 [2011年3月31日8時22分 紙面から]

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東日本大震災

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