THANATOS6立ち読み版
THANATOS6鋭意執筆中です!
ここでブログ読者様限定・名シーン立ち読み企画! フライングで原稿の一部をご覧ください!
(※過激な表現がございます。一部読者の方は不快感を覚えるかもしれませんが、閲覧は自己責任でお願いします)
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チャイムが鳴ったとき、心臓が停まりそうになった。
下着1枚の格好だったから、無視してもよかったのかもしれない。だがドアスコープの向こうに見えたのは同僚の姿だ。――出ないわけにもいくまい。
「……何だよ?」
チェーンをかけたままドアを開けたところ、佐倉宗一は高槻の表情に何かただならぬものを感じ取ったのか、一瞬しかめっ面をした。
「いや、頼まれてたDVD焼けたから持ってきたんじゃねえか」
「ああ、どうも」
差し出されたプラスチックケースをもぎ取るように受け取る。
「用事はそれだけか?」
「いや……最近お前、無断欠勤が多いから風邪でも引いてんのかと思って。実際、顔色悪いぞ?」
「余計なお世話だ」
吐き捨ててドアを閉める。――そんな自分に嫌気が差した。佐倉が悪いわけではないのだ。
「刑事さん、トモダチに冷たくない?」
部屋の奥からせせら笑う声がする。――仕切りもない1LDKだ、下手をすると全て丸見えだ。
「他に一体どうしろって言うんだよ」
「佐倉も混ぜてやればいいじゃん」
「馬鹿言え」
「何、嫉妬した?」
――悪魔め。
ベッドの上に寝そべったまま、少年が笑っている。華奢な裸身を隠すのは灰色のボクサーパンツ1枚だけ。
こんな生活を始めて、果たして何日目だろうか。ローテーブルにはカップラーメンの容器が山積みになり、ゴミ箱はティッシュでいっぱいだ。
「もう、やめないか」
「何で。先に誘ったのは刑事さんの方じゃん」
――ああ、そうだとも。
「真樹と一緒にいたくない」と彼がやって来たとき、受け入れたのは高槻の方だった。少年の気紛れな、ちょっとした家出なのだと思った。
珍しいDVDが見たいと言ったので、見せたのも高槻の方だ。――それがどうしてこんなことになったのか。いつの間にかおかしな雰囲気になって、もう何度絡み合っただろうか。
それ以前に、目の前のこれは一体誰なのか――来たときは、確かに美樹だと思ったのだ。髪もつやつやと黒い。
「ねえ刑事さん、もう1回しようよ」
高槻が答えないと、少年はむくれたが、すぐに口の端を上げて濡れた声でささやく。
「お願い、高槻さん」
――動揺が表情に出てしまったのだろう。返事をしなかったのに、少年は腹を抱えてげらげら笑い出した。
「何だ、こう呼ばれる方が弱いんだ。オーケーオーケー、それならそういうことで。ね、高槻さん? しよ?」
怒りが、ある種の衝動に変化する。高槻は少年の首を押さえ、体重をかけてベッドに押さえつける。細い脚を掴んで開かせ、身体をねじ込む。
「じゃあやってやろうじゃないか。後悔するなよ」
「後悔させてよ、大人のテクでさ。ずっとオレばっか動いてるじゃん。せいぜい昇天させてよ」
からかうように笑う少年の唇を、高槻は強引に塞いだ。
(※この日記は2011年4月1日に作成されたものです)
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高「何だこれはあ!」
真「プロレスごっこだよ。闘龍門! 何だと思った?」
美「いわゆる叙述トリックです。ミステリなら当たり前です。騙される方が悪いんです」
真「だまーす方よりー、だまーされりゃーいいー」
美「この季節にゴミ箱にティッシュが山盛りになっていたら、花粉症がひどいんだと解釈するのが普通でしょう。作者の人は慢性の鼻炎でどこかに出かけるたび喫茶店や飲み屋のテーブルにティッシュの山ができるんですよ」
真「下着いっちょだったのは、多分服を洗濯してて着替えがなかったんだよ!」
美「大体唇を塞ぐ=キスという考え方は心が汚れています」
高「って言われてもなあ! わざとやってるだろ!」
真「だからそれが叙述トリックなんだって」
美「ファンサービスです。所詮ぼくたちは使われる身分です。非実在青少年に人権などないのです」
真「刑事さん、これまでに彼女何人くらいいた?」
高「え。……大学だろ。高校だろ。中学だろ。……小学3年は数に入れていいのか?」
真「リア充爆発しろ!」
美「駄目だよ真樹。この作者の話、爆発ネタ多いからそんなこと言って本当に爆発しちゃったら後で気まずいよ」
真「でもオレ別に言われるほど多くないじゃん!」
美「確かに、ちょっと驚きました」
高「どういう意味なのか小一時間問いただしたいけど……義務教育期間中はそこそこ喋って走るのが速くて背が高けりゃ何とかなるもんだろ」
美「ああ……ぼくはそれで駄目なんですね」
真「ちょい待ち。人数もアレだけど、それ、期間はかぶってないの?」
高「かぶってない。全員、卒業と同時に泣く泣く別れてそのまま忘れた」
美「え、ひどい」
真「刑事さんに今彼女がいない理由が何となくわかった」
美「ちょっと待って。肝心なのは人数よりも、いつ大人の階段を登ったかじゃないかな」
高「え、それは……プライバシーだろ」
真「湊は明かしたんだから刑事さんも明かせよー男同士じゃん」
高「むしろ、真樹君こそ大人の階段を登ったかどうかはっきりしないぞ」
真「え。それはシュレディンガーの猫箱の中に閉ざしておいた方がいいんじゃないの? 夢があるじゃん」
美「妄想の余地とも言うね」
真「だってオレまだセブンティーンだし? 境界線上の存在だし? 永遠の美少年だし?」
高「いつまで高校二年生でいる気なんだ」
美「ぼく女の人はまだありません」
高「……悪い、それは聞かない方がよかった。で、それとこれと何の関係があるんだ」
真「それが、何かオレたちBLやらなきゃいけないことになったって」
高「……ベーコンレタス?」
美「ベリーアンドレモン」
真「ベストライセンス!」
美「ボックスセットLD!」
高「そろそろやめよう。……BL?」
真「そ。勢いと多数決で決まったの」
美「でも攻受が決まってなかったんです」
真「女性経験では刑事さんが攻?」
美「男性経験ならぼくだよ」
真「ぶっちゃけ後ろでやんなきゃそーゆうの決めなくていいんじゃないの? イチャつくだけならABAみたいな表記、何年か前から流行ってんじゃん」
美「スラッシュ表記もあるよね。具体的な攻受わからなくて誰得だけど」
高「……ちょっと待て。君たちはそれでいいのか?」
真「だって多数決だし」
美「まずはこちらをご覧ください。Twitterで募ったアンケート結果です」
真「うわー80人も投票してるとか引くわー」
美「のべ157人もの読者がぼくたちのBLを期待したんですよ! 実際に投票した人数は80人ですが、ネット環境の都合で投票できなかった人、タイミングの悪い人、極端にシャイな人がいたと推察すれば100人以上の需要があります!」
高「それ以上にシャレを真に受けた人に反感を買う可能性は考えないのか! 美樹君はともかく。真樹君はそういうのにトラウマがあったんじゃないのか!?」
真「まー正直ゲロ吐きそうに嫌だけど、断ったら警視庁の喫煙室に閉じ込められたりしそうだから。死ぬよりかマシだし、猟奇プレイじゃなくていいみたいだし」
高「ていうか何で多数決なんだよ!?」
真「それはどっかのアホが所詮口約束とたかをくくって二つ返事で引き受けたはいいものの今頃になって“腐女子キモイ”とか“自分の趣味丸出し”とか陰口叩かれるのが怖くなって、投票した人に責任を押しつける方法を思いついたっていう。投票過程のログを取っておけば自分のせいじゃありませんよーと言い訳ができると」
美「おかげで責任の所在は無礼講を真に受けた80人のお調子者の皆さん、もとい真摯な気持ちでキャラクターを愛し投票してくださったファンの方々にもれなく分散されますが、結果的にやることは同じです。ある意味ぼくたちも被害者です。――と、いうわけで。ここでぼくが魔法の薬5meo-diptを! これを飲んで皆わけがわからなくなってしまえばいいんですよ!」
高「それ下手したら死ぬ薬じゃないかあ!」
美「でもすごく楽ですよ。何たって拡張する必要ないから」
真「BLってそういうハードコアな描写はなくていいんじゃないの? やおい穴でいいんじゃないの?」
高「それ以前にそこまでやらなくていいだろ!?」
真「実際どーなんだっけ?」
美「某関係者は公的にはノーコメントだけど、個人的に刑事さんの貞操を守ってほしいからいざとなったら“サーバの規約上、猥褻表現は不適切”の呪文を唱えて離脱しろって」
真「出た魔法の呪文“サーバの規約”“サーバのメンテ”“なぜかフォローが外れてしまうエラー”!」
高「呪文とか言うな」
美「ていうかぼくはどうなってもいいんですか。巨大ダコに犯されても今更日常なんですか。ビッチ扱いですか」
高「だって君はわりと公式で」
美「高槻さんのそれは差別です! 偏見です!」
真「正直この件コメントしたくない」
高「皆被害者じゃないか! こんなのやめよう、こんなことをして何になるんだ! 悲しみが増えるだけだ!」
真「んー……この作者わりと、売れるために手段選ばないところあるからなあ……生まれてきたことを後悔するしか」
高「この世には神も仏もないのか! ……そうだ! どうせなら湊警視正も連れてこい!」
真「何、刑事さんはオレらより湊と絡み合いたいの?」
高「そんなことは言ってない! おれたちだけこんな目に遭ってあの人が普通に暮らせるのはなぜだ!」
美「同性愛を普通でないと言うのは差別だと思いますが」
高「無理矢理ポルノに出演させられるのは性別問わず犯罪だ!」
真「昔田中芳樹がそんなよーなこと言ってたよね」
美「湊さんは4位なので流石に圏外です。多数決で決定した意味がありません」
高「それでも1位の真樹君と11票しか違わないんだぞ!?」
真「11票“しか”なのか11票“も”なのかは個人の解釈の自由なんじゃないの? てかこれ以上人数増やしたら視点がボヤケるばっかりだって」
美「BLのお約束で言えば湊さんのポジションは、“メインカップルの恋の悩みを訳知り顔でメッタ切りする老練なバーのマスター”でしょう」
真「じゃあ何か途中一瞬だけ湊をブッ千切った三号は“メインカップルのどっちかに横恋慕して無理矢理キスしたり薬盛って犯そうとするストーカー男”だな。……何でかこいつ男性票が8件も入ってんだけど……」
美「157票中、男性票はのべ30票。……30分の8って多いね……」
真「やっぱオレと湊の票差11って結構でかいんじゃないの?」
高「男性票が30……日本はどうかしてる!」
美「そうでしょうか、あからさまに面白がってタコとか作者本人とかに投票してる人もいますけど。ていうかこれ、9番10番の項目削って月乃さんか小枝ちゃんか藤田先生かカサンドラ先生入れるべきだったね」
真「全然枠足りねーじゃん。“ペットボトルで撃たれた野球部員”とか誰得な票が増えるだけだぜ」
高「それを言い出したらおれがホモになって誰が得するんだ!」
真「あんたに投票した35人」
美「高槻さんは単体萌え票も多いんですから、ちゃんとファンサービスしないと。ぼくの睡眠薬を使ってもよかったんですよ? ゴメオより緩いから安心してください」
高「それでおれに何をしろと!?」
真「誰か誘って禾ロ民とか養老のシ竜とか安そーな飲み屋行ってその薬で酔いつぶれて、目が醒めたら2人ともハダカでしたー何も覚えてないけどお尻が痛いー!? とか言っときゃエロなしでもいけるじゃん? んで、次の日表面的には何にもなかったフリしてぎこちなーい会話を交わすの。最近ニュー速VIPにこれ系のネタ多いの、801板が下火になってネタ職人が移動してるだけなんじゃないかと思うんだけど」
美「いわゆる“朝チュン”だね。朝チュンは猥褻表現とは捉えられないことが多いよ。商業BL作家でも具体的なポルノシーンを描かずにキス→朝チュンで済ませている人、結構います」
真「都条例もクリア!」
美「ただ、相手も飲酒年齢に達してないと問題あるよね。最近そういうのうるさいから。ぼくら、まだ17だし」
真「オレたちの場合はやっぱアレ? 彼女とデートなんだけどどうしたらいいかわかんない教えてーとかっつっていつの間にか本当にキスして、ずるずるその後までやっちゃうとか」
美「もっと年齢が下だったら朝パンツが汚れてるのは病気なのぼく死んじゃうの? いやいやそれは男子として普通のことなんだよ、という保健体育的な流れが使えますが、流石に17にもなってそこまでカマトトぶるのはちょっと。ぼくたち半角板制覇しちゃったし」
高「何で君たちはそんなにその手のパターンに詳しいんだ!?」
美・真「湊のお姉さんがそういうマンガ描いてるから」
真「あいつのお姉さん美人だけど全員それ系だから、家に遊びに行くときは覚悟しとけよ」
美「湊さん、小学生の頃無理矢理スカート穿かされて写真まで撮られてるって聞きました」
高「あの人はしなくていい苦労のデパートだな……!」
美「現在進行形でマンガのネタにされることを思えば、エイプリルフールくらい!」
高「それとこれとは話が別だ!」
美「意外としつこいですね」
真「刑事さん、そろそろ諦めるのに慣れて」
高「いい台詞が台なしだ!」
真「もう面倒だからクスリ盛って緊縛して無理矢理やっちゃってもよかったんじゃないの?」
美「それって去年のゆりっぺ先生と同じパターンだよ」
真「じゃあお休みのキスをねだってみるとか」
美「あのシーン、別にそんなつもりはなかったんだけどなあ」
高「と、とにかく! エイプリルフールです! 真に受けないでください! エイプリルフールですから!」
真「さあ本当はどうかな?」
高「プロレスだって言ったの君じゃないかあ!」